仙人の祈り

スマホ普及で消える市場 - 草刈場に生えるペンペン草

スマホの保有比率は米国や日本で急速に拡大しており、それぞれ、62%、35%となっている。当然、この流れが止まることはない。

ところで、スマホが普及する一方で、縮小する市場がたくさんある。一言で言うと、写真のような状況だ。少しムカつく絵だが、これが現実だ。スマホ市場を切り開いたアップルに先見の明があり、日本勢は草刈場となっている。

smart_phone_beat_everything.jpgスマホの普及で最も打撃を受けているのは、世界シェア70%を持ち、日本の電機業界最後の砦と言われていたデジタルカメラ業界だ。しかしiPhone5の画素数は800万画素もありクオリティは十分で、かつ画像をそのままメールで送れるという、デジカメにはない利点もある。

カメラ映像機器工業会によると、2012年のコンパクトデジタルカメラの日本の出荷台数は、前年比7.5%減の740万台に落ち込む。

スマホの普及は誰の目にも明らかであるにも係わらず、Fujiもオリンパスもソニーも、スマホが登場する以前から不採算であったデジカメを未だに辞める決断が出来ない。これが日経企業の決断力のなさである。

この他、デジタルビデオカメラ、携帯音楽プレーヤー、カーナビ、携帯型ゲーム機、携帯型テレビなども同じ運命にあるが、誰も辞めない。一応断っておくが、先に辞めたら負けというルールはない。

私の試算だと、これらの市場は年間で4兆円程の規模がある。これが縮小する分、サムスンやアップルなどのスマホメーカーの売上が増加している。

「日本勢のシェアの高い電子部品は今でもスマホに使われている」と言う人がいるが、それはもう昔の話で、村田のアルミ電解コンデンサーなど一部を除いては、中国•台湾にどんどん取って変わられている。

ここだけの話、シャープ最後の希望であった省電力液晶パネルのIGZOも、スペックが高過ぎて価格が折り合わず、iPadへの採用が見送りとなってしまった。シャープは年度内に2,000億円のリファイナンスをしなければならないが、存続が危ぶまれる厳しい状況が続くだろう。(過去記事: シャープは倒産する

こだわる消費者にはスマホでは不満だろうが、大多数はスマホ程度の画質のカメラ、スマホ程度の音質の音楽再生、スマホ程度のちょっとしたゲーム、スマホ程度のweb閲覧で十分というライトユーザーだ。

こうなってしまった要因は、日本人が能力的に劣っているからではない。官僚的な組織と評価体系が、柔軟性やクリエイティビィティを失わせてしまっているためである。

数ヶ月前になるが、ドコモの財務部長のK氏と食事をした。K氏は将来はドコモの社長候補と言われていた人物だが、数年前から「iModeを捨てて、iPhoneを採用するべし」と社内で言い続けていたため、ついに左遷されてしまった。

当時の経営企画部長のK氏(現社長)や、端末開発部長のN氏(現常務)はiModeの立役者であり、アップルの軍門に降ることを拒否していた。時代の変化が読めない人が出世し、会社のことを思って進言し続けた優秀な社員が左遷されたのである。ドコモの没落は起こるべくして起きているのである。

日本は年齢序列のシステムを見直さなければならない。功なく、頭の堅い年寄りが決定権を持つシステムでは、世界では戦えない。(関連記事: 規模と成果のパラドクス)。草刈場となった堺や亀山では、ペンペン草が風に揺られて唄っている。
[ 2012/12/01 20:00 ] 投資全般 | コメント(5)
Surface
マイクロソフト社のタブレット型PC(?)Surfaceの日本発売が遅れに遅れているが、あえて日本の発売を延期しているのにはどんな理由があるのか、いろいろな憶測が飛んでいる。

周回遅れとなっている日本のPCメーカーの開発期間に配慮したためとか、マイクロソフト社自体がXBoxの轍を踏まないため、要求基準が厳しい日本のユーザーにバグなどのできるだけない状態で提供するためとか、いろいろとりざたされている。

しかし、ハッキリしていることはそれなりに大消費地であるはずの日本市場をマイクロソフト社が、今回は明確にパッシングしたことであり、その背景としては日本に存在する有形無形のいろいろな規制の存在がそうさせていることを我々はもっと自覚するべきであると思う。
[ 2012/12/02 15:35 ] [ 編集 ]
Re;
ルルさん、コメントありがとうございます。

Microsoftの中で日本市場のプライオリティが低下しているようですね。今後ともこのようなニュースは増えて来そうですね。

前のエントリーで紹介したチポトレも、アジアへ進出する場合は中国と言っています。海外で流行っているお店がアジアでは中国にしかない、という時代になりそうですね。(´・_・`)
[ 2012/12/02 18:36 ] [ 編集 ]
シャープIGZOの情報ソースはどちらでしょうか?差し支えなければご教示を
[ 2012/12/05 13:24 ] [ 編集 ]
コメントありがとうございます。
この情報ソースに参照先はありません。つまり、私が関係者から直接聞いた話です。
或いは、このような推測はプロであれば、誰でも可能です。何故なら、日本のタッチパネルの回路形成を行っている会社やITOフィルムメーカーが決算説明会で言った発言を聞けば想像できるためです。市場では織り込み済みかと思います。
[ 2012/12/05 14:48 ] [ 編集 ]
お返事ありがとうございました。今後もブログを楽しみにしております。
[ 2012/12/06 13:21 ] [ 編集 ]
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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