仙人の祈り

日本は成熟国としての道を模索するべき

日本人選手のすばらしい活躍でリオ・オリンピックは盛り上がっているが、一方で日本経済の方に目を向けると、あまり直視したくない現実が横たわっている。

財政政策・金融政策と「あらゆる手段を動員して」望んだ世紀の一戦において敗色が濃厚となるなか、政府や日銀関係者の内にも、厭戦(えんせん)ムードが漂いはじめてきた。

外国人投資家がこれを見過してくれるわけもなく、国債を売り(金利上昇)、内需株を売り(食品、医薬品、不動産、サービス)、円を買い(円高)、いわゆるアベノミクスの失敗を織り込み始めている。

結果を一言で述べるならば、日本国民や企業は、政府・日銀の施策が、将来の負担増(増税)として返ってくることを知っており、期待インフレを引き上げるような行動は取らなかった。取ってはくれなかった。
[ 2016/08/20 18:00 ] 経済社会 | コメント(18)

中国は「中進国の罠」から抜け出せるのか

来年の世界経済の動向を考える上で、注目するべきは、やはり中国であると考えている。近年の急成長は、ある意味で歴史の必然と言えるもので、十分な土地と、人口をもった中国に、世界の工場としての順番が回ってきたことが要因である。

しかし、広州・深センのような第二次産業の集積地帯における工員の給与は、すでに3,000元/月を越えるレベルにまで上昇しており、その役割は、東南アジア諸国へとバトンタッチする時がきている。

yellow_GUNDAM途上国から中進国になることは簡単なことだ。安価な労働力、それだけで達成できる。だが、中進国から先進国になることは非常に難しく、それを明確に実現した国は日本しかないと言われている。

中国の識者たちは、日本の高度成長期になぞらえて、「この現象は当時の日本のこれにあたる」とパターン認識をすることで、次に起こる現象を予想しようとしている。だが、これはまったく、的外れなアプローチである。
[ 2015/12/15 18:00 ] 経済社会 | コメント(45)

小売店の縮小にみる将来の人口減少

最近の日本の企業動向の中では「イトーヨーカドー」や「ヤマダ電機」のような業界トップ企業が、次々と大規模な店舗縮小を発表していることを興味深く見ている。

人口が減少する国で、店舗面積を縮小していかなければならないことは、当然のことのようではあるが、実際の店舗の整理縮小というのは、机上の計算ほど簡単にはいかない。

no_cloud2015余談だが、大型店を閉鎖する場合は、土地の貸借契約や、従業員の異動・解雇に加えて、空いた店舗のテナント探しなども行わなければならず、一筋縄ではいかない。閉鎖する店舗が比較的新しい場合には、店舗除却損などの特損も発生するため、決算にも影響が出る。

しかし、逆に言えば、経営者としてはそれを押し切ってでも、店舗の縮小をせざるを得ない状況に追い込まれていると言える。日本の小売店舗面積は、ついに昨年マイナス成長に転じた。もちろんこれは始まりにすぎない。
[ 2015/11/27 18:00 ] 経済社会 | コメント(26)

集団が体制に依存するリスク

歴史的な観点から国の統治体制を見ると、長く続いた独裁者による専制政治は国民によって打倒され、民主主義へと変遷していった。それが膨大な犠牲の上に成立してきたという背景からか、現代における「民主主義」とは、絶対的な正義であり、史上最も進んだ統治形式であるという風潮がある。

もちろん、私も民主主義の方がよいと思う一人である。ただし、「よい」と言うのは、「好き」か「嫌い」か、で言うところの「好き」という意味であって、それが「優れている」か「優れていない」か、と聞かれたら、「専門家ではないのでよくわからない」と答える。

domino2015もしも私が公人であって、こんなことを発言したら大変なことになりそうだが、私が言いたいのは、どのような制度にも完璧なものなどなく、どのような崇高な理念や価値観にも、絶対的なものなどないということである。

同じようなことが、企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)にも当てはまる。会社の重要な意思決定は取締役会という、いかにも民主的な多数決の場で決定され、そこに社外取締役も入れることで、より広く公正な判断ができるようになるとされている。
[ 2015/09/18 18:00 ] 経済社会 | コメント(29)

ギリシャの「Xデー」とその後のシナリオ

ギリシャの救済プログラム(ELA)の期限切れが迫るなか、依然としてギリシャ政府とユーロ圏の債権団との議論は終着点が見えておらず、予断を許さない状況が続いている。ここで今後のギリシャ問題を、重要な日程とともに、あらためて整理してみたい。

【6/30】この日は、上記の救済プログラムが終了し、かつIMFへの€1.5bnの償還期限を迎える。一般的にはこの日がXデーのように報じられているが、実はそうではない。何故ならIMFのような公的機関の債務不履行は、格付け機関の評価として「デフォルト」とは見なされないため、イベントのトリガーは発生しないからだ。

greece2015【7/17】この日は、ギリシャ国債の利払い€0.07bnが発生する。この支払いができない場合は、民間の債権者への支払い不能と見なされるため、間違いなく「デフォルト」となる。しかし、金額が小さいことと、30日間の支払猶予が設定されているため、現状の混沌とした状態の中では、それほど大きな問題とはならないだろう。

【7/20】この日は、ECB(欧州中央銀行)が保有するギリシャ国債€3.5bnの償還日であり、大きな山場を迎える。6/30に終了する救済プログラムが延長されていない限り、返済は不可能であり、ギリシャ政府は、この数日前から国内銀行への資本規制を導入し、預金の移動が禁止されることとなるだろう。
[ 2015/06/22 18:00 ] 経済社会 | コメント(17)

ネットとリアルの境界線

この度の著書における一部のネット界隈での盛り上がりは(ex. 痛いニュース)、曖昧となったままで浮遊する「ネットとリアルの境界線」に関して、興味深い問題提起となっているように思える。

言うまでもないことだが、私は五月さんのアクションを全面的に支持している。五月さんからは、自身のブログで述べていることと同じ要旨で、事前に相談頂いており、私も情報開示請求を行うことに賛同している。

Amazon-review2015ネット上では、Amazonのレビューで☆を低くつけた人に対して、情報開示請求を行っているかのような引用をされているが、これは事実ではない。本当の目的は、創作話で人を貶めるようなアンフェアな行為に対して、異議を唱えることにある。

ネットの匿名性は、人の内面にあるマイナスな感情を、増幅して引き出してしまう。リアルであれば「社会性」という名のストッパーがかかるが、ネットの場合は、まるで自分だけが透明な存在であるような錯覚に陥り、巧みな嫌がらせができてしまう。
[ 2015/06/17 18:00 ] 経済社会 | コメント(32)

日本の貧困率増加とその元凶

厚労省が公式発表している日本の貧困率は、年々増加の一途をたどっており、足下では16%の世帯が、貧困層に分類されている。

この貧困の定義はOECDで定められた統計的な基準によるものであるが、具体的には、日本の場合、世帯当たりの手取り収入で240万円、労働者一人当たりで120万円がそのボーダーラインとなる。ちなみに意外かもしれないが、日本のこの16%という貧困率は、加盟34カ国のうちメキシコ、トルコ、米国についで、第4位という不名誉な状態にある。

the-difference-in-Mexico2015さらにこれを性別・年齢別にわけて、それぞれを時系列で見ていくと、日本社会のゆがみが見えてくる。直近20年の変化では、24歳以下の男女の貧困率が大きく上昇(約+10%)する一方で、65歳以上の男性の貧困率は大きく低下を見せている。つまり、すでに社会問題となっているように、若者世代の困窮が、数字の上でも確認される状態となっている。

この要因の一つとしては、これまでの不況や、それによる就職難、非正規社員の拡大などがある。しかし、あまり知られていないが、もっと大きな理由としては、政府による所得の再分配が、まったくと言ってよいほど機能していないことが、この問題の根底にある。
[ 2015/04/21 18:00 ] 経済社会 | コメント(7)
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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