仙人の祈り

-別アーカイブ  [ 2012-12- ] 

明治大学の経営戦略 - バンカラからハイカラへの道

この10年で最も経営的な成功を収めた大学は明治大学である。

明大の受験者数は今や日本でトップとなっている。合格倍率の上昇によって、必然的に偏差値も上昇傾向にあり、そして偏差値が上昇することで、ブランド力が更に向上するという好循環が生まれている。

さて、そもそも明治がこのような集客力を得るようになったのは何故だろうか?それは、大学側の大幅な構造改革とブランド戦略の勝利によるものである。

北川景子 明治大学大学全入時代を迎え、日本では大学が「受験生に選ばれる」時代に移行している。大学の顧客である18歳の人口は1992年の205万人をピークに、2011年には120万人と約4割も減少している。

一方で、その間に進んだ規制緩和により、大学数も同期間で250校以上も増えている。このため、大学間における学生獲得競争は激化しており、「定員割れ」の私大は4割に達している状況だ。

このような状況の中で、明治大学は東京6大学という知名度に甘んじることなく、いち早く集客力を高めるための戦略を思案し、これを実行してきた。代表的なものでは以下のようなものがある。

1. リバティータワーの建設

駿河台の伝統ある旧校舎を取り壊し、98年に近代的な「リバティータワー」を竣工した。綺麗で近代的なビルによって、古臭くて男臭いイメージを払拭した。

2. 特命教授の任命

地方のキーとなる高校教師を探し出し、明治大学「特命教授」という肩書きを授与した。実際には何ら経済的なベネフィットがある訳ではないが、地方の高校教師に教授という肩書きを与えて、明治大学の素晴らしさを生徒に布教してもらうということを、組織立てて行った。
[ 2012/12/31 18:00 ] 投資全般 | コメント(0)

企業誘致が最大のハードル - 日本カジノ化計画(その2)

(その1はこちら)超党派で構成される「カジノ議連」の会長である古賀一成氏は「パチンコ議連」の会長も兼務していたが、今回の衆院選で見事に落選した。というよりも、パチンコ協会政治アドバイザーを務める"パチンコ族議員"は、見事に洗いざらい落選した。業界寡占化の道筋が視野に入ったため、彼らはもう用済みということかも知れない。

一方で「カジノ議連」の方の役員には安倍総理、麻生副総理と、そうそうたる面々が名を連ねており、カジノ法案可決の方向性は変わらなそうだ。私が聞いたところによると、会長であった古賀氏の後任には、野田聖子を充てるらしい。以下に記載するように、今後は、実務上の問題をどうクリアするかがポイントとなってくるが、それには野田氏が適任と自民党は考えているようだ。

問題の一つ目は場所だ。フジテレビの経営陣は「カジノを建設するにあって、お台場以上の好立地は日本になく、数多くのイベント運営の実績のある当社がカジノの運営者として適している。」と息巻いている。

ラスベガス1228しかし、カジノの誘致を狙うのはお台場だけではない。大阪府もUSJの向かい側の広大な空き地に誘致を働きかけているし、沖縄も同様に動いている。また、東京都の中でも、お台場ではなく羽田を押す声もある。つまり、どの街をカジノ化するかが、実はまったく決まっていないのだ。

一見するとお台場が有利ではあるが、交通の便が悪いことや、近くに住宅や学校もあり、反対の声が出ている。一方で大阪では観光客に対する訴求力に欠ける。沖縄は魅力的であるが、治安の悪化を懸念する行政側が、沖縄県民がカジノに入場できないようにする計画案を提出するなど、どこも決定力に欠ける状態だ。
[ 2012/12/29 18:00 ] 投資全般 | コメント(6)

エコパチで進む業界寡占化 - 日本カジノ化計画(その1)

パチンコ業界は年々縮小しており、「レジャー白書」によると、その市場規模は2007年の23.0兆円から2011年には18.9兆円となっている。特に近年の落ち込みが激しく、2011年のパチンコ人口は前年比25%減の1,260万人という厳しい結果となった。

この主な要因は、当然ながら不景気によるものであるが、ソーシャルゲームの台頭もその一因にある。そんな折り、2012年の春に(偶然にも)勃発した「コンプガチャ問題」は、DeNAやGreeが邪魔でしょうがなかった彼らとっては、久々に明るいニュースとなった。

pachinko_monkeyとは言え、このままでは食べていけないマルハン(店舗数:269店)、ダイナム(344店)、ガイア(209店)などの大手は、生き残りのために知恵を絞った。そして行き着いた答えが、「株式の上場」と「ECOパチンコ」という手段であった。

株式の上場はすでに突破口が開けた。これまで東証に何度上場を申請しても却下されてきたダイナムが、東京での上場を諦め、2012年8月、迂回して香港での上場に成功したのである。これに続けとばかりに、現在、大手10社が香港で上場を申請中である。

日本のパチンコ業界というのは寡占化がまったく進んでいない(上位10社の市場シェアは売上で25%、パチンコ台で12%しかない)。大手は株式上場によって市場から資金を調達し、その資金で生き残れそうなローカル企業を次々に買収していくつもりだ。今後数年で、業界は一気に寡占化が進むことになるだろう。
[ 2012/12/27 18:00 ] 投資全般 | コメント(4)

日本男子のデート事情 - 焼き鳥屋でプレイボール

日本におけるデート事情は男子と女子との間で大きな隔たりが生じている。

この要因は、男子の方の考え方が大きく変化してきているにも係わらず 、女子の方が昔のまま変化していないことによる。

20-30歳台の日本人男性は、長期化する不景気による就職難や、非正規雇用の増加、低賃金化などによって収入と将来の見通しが最悪の状態となっている。

一方で女性の方は、同様の環境にいるものの、過去からの時系列の比較では、男性ほど堕ち方の変化率が小さい。女性の方はもともと非正規雇用や一般職の率が高いためだ。

NG_dinner_on_the_first_date.gif「初デートでファミレスに連れていかれた」とか、「デートで割り勘なんてあり得ない」と怒る女子の投稿がネット上でよくネタにされる。(写真:初デートでNGな食事ランキング)

しかし男子の方の言い分としては、日々の生活でお洒落なレストランに行かなくなったことや、余程の勝負どころでもなければ、高いコストをかけるメリットがなくなってしまっているのが実情である。

男子というのは生物学的には女子の前では見栄を張りたいものだが、不景気によってその見栄すら捨てて、身の丈に合った正直者になるしかないところまで追い詰められているのである。

バブルの頃とは違い、男子はボール球に手を出す余裕はなくなっている。内角高めに甘く入ったスライダーでも来なければ、フルスイングが出来ないのだ。
[ 2012/12/25 18:00 ] 経済社会 | コメント(0)

リアルな日本を知るために - スティーブへの助言

友人のスティーブ(ユダヤ系米国人)は大の旅行好きであり、このクリスマス休暇は日本で過ごしている。

彼は日本の歴史や文化遺産などにも造形が深く、主要な観光地は一通り訪問したことがある。

今回はよりリアルな現代の日本が知りたいという思いから、私にオススメの場所を聞いてきた。そこで(半分冗談で)以下のような話をした。

1. ショップ店員を観察する

フランフランデパートをプラプラ歩き、いろいろな店を見るとよい。小奇麗な格好をした女性の店員が何やら不思議な言葉を連呼ながら歩き回っている。これは「どうぞごらんくださいませ」という呪文で、「Please enjoy your shopping」という意味だ。

注目すべきはその声だ。すべての女性が、まるでテープを再生しているかのように、まったく同じ声のトーンで言葉を発している。教育されている訳ではない。店員が独自で習得し、同じ声を発するようアジャストしていく。

2. 牛丼を食べる

吉野家日本のファーストフードとして定着した牛丼を食べる。大きな駅の駅前にオレンジ色の「吉野家」か、黄色の「松屋」がある。後払いの吉野家の方が分かりやすい。

カウンターにあるメニューに英語表記はないが、ビーフボールのミディアムをオーダーし、「なまたまご」「つゆだくで」と店員に言えば分かる。

お茶を一口飲んで、目の前の箱から箸を取る。するともう商品が手元に運ばれてくる。この早さにビックリするだろう。
[ 2012/12/23 18:00 ] 経済社会 | コメント(0)

失政からの開放感に浸る株式市場 - 一夜の恋で終わらないために

この3年間は日本株の参加者にとっては我慢の連続であった。それは例えるならば、一夜の恋の勢いでダメな男と結婚してしまった女性のようなものだ。

結婚後、旦那 (=民主党)は奥さん (=市場)に対する愛はほとんどなかった。結婚する前は、羽振りの良いことばかり言ってお金をチラつかせていた旦那だが、結婚してみると旦那の収入や貯金は全部嘘であることが分かった。

couple_on_the_beach.jpgもともと男運が悪いと自分を卑下していた奥さんであったので、このようなこともどこか慣れっこになっていた。旦那の収入が少なくとも、自分が稼げば何とかなると思って、一生懸命働いた。

そんな辛抱強い奥さんに対して、旦那は一度たりとも優しい言葉を掛けてはくれず、DVすることさえもしばしばあった。こんな日常に奥さんもすっかり嫌気が差し、疲れ果ててしまっていた。

3年経ったある日、借金だけ残して旦那が夜逃げをした。それでも、長い苦悩から解放されて奥さんは少しほっとしていた。そんな折、旦那の元同僚と名乗る男 (=自民党)が訪ねてきた。

どこかバブルの匂いのするその男は、奥さんの耳もとで甘い言葉を囁く。「君は本当によく頑張った。僕ならきっと君を幸せにしてあげられる。さあ、これがその証、銀 (=日銀)の指輪だ。」
[ 2012/12/21 18:00 ] 投資全般 | コメント(3)

コネチカットでの惨劇 - 銃では防衛できない負の連鎖

コネチカットで発生した銃乱射事件は、子供20人を含む、26人が犠牲になるという悲劇となった。

私もたまに事件が発生した街の近くに本社を置くスチュアート社(Shelaton Hotelを運営)に行くが、あの辺りは自然豊かで美しい地域だ。

今回のような事件が起きると必ず一般人の銃の所持を禁止するべきという世論が出るが、結局、共和党の支持基盤である「全米ライフル協会(会員400万人)」が猛反対するため、いつまで経っても話が進まない。

gomart.jpg写真のように、共和党の下院議員は、「銃を所持していれば、校内で銃声を聞いたとき 、教員が銃を取り出して反撃できた」と、銃の有用性を強調する。アメリカ人の銃に対する考え方は、世界標準から大きな隔たりがあることがよく分かる。
[ 2012/12/20 18:00 ] 経済社会 | コメント(0)

「何故夜空は暗いのか」 - 素朴な疑問は進化の源泉

小学生の頃、星空を見ていると「何故、夜は暗いのか?」とふと疑問に思ったことがある。早速、先生に聞いてみると、「夜は太陽が沈むのだから暗いに決まっている」と答えが返って来た。

それでは納得のいかない私はこう聞き返した。「宇宙には何千億もの恒星があるのだから、本来ならば空のすべてが星で埋め尽くされていて、明るいはずではないか?」。この質問には先生も答えを持っていなかったらしく、「そう言うのを屁理屈というのだ」と怒られた。

star111.jpgその後も身近な人に事あるごとに同じ質問をしていったが、誰も答えを知らなかった。結局、私がこの問の本当の答えを得たのは、大人になってからである。アインシュタインの一般相対性理論や、他の学者の本にその答えがすべて書いてあった。要約すると以下のようなこととなる。

1. ビックバンによって生まれた宇宙は加速して膨張を続けている。より遠くの星ほど速く地球から遠ざかっており、まだ光が届いていない。

2. 宇宙は有限であり、星の数も有限である。また、ダークマターによって銀河は一様に広がっておらず碁盤目状に存在する。

3. 光は距離の-2乗で拡散する。このため、地球に届いている光は極めて弱く、肉眼では見ることが出来ない。

このように、身近なところにある素朴な疑問が、実は誰も正解を知らないということがある。新しいビジネスモデルやサービスも、よく考えると誰もやっていなかったというようなことが多い。好奇心や探究心から生まれる「何故?」は、万物の進化の源泉といえるだろう。
[ 2012/12/19 18:00 ] 雑感 | コメント(6)

安倍政権の本当の狙い - ロシアへの急接近

安倍政権の最優先事項は日銀に対する圧力ではない。総裁は換えるだろうが、日銀法を改正することは日本の総理大臣の力では出来ないし、本人もそれをよく分かっているはずだ(過去記事: 911に潜む影)。為替に関しては、口先介入だけで円高を防ぐことが最も効率が良く、今後とも強いトーンで言葉が発せられるだろうが、それ以上のことはしない。

gasplant111.jpg本命として狙うのは外交戦略の整理と、新しい道筋であるだろう。まずは日米同盟の強化を図る。そして次にはロシアのプーチン大統領へアプローチをしていく。中国・韓国との関係が悪化しいている今、相対的に国民感情も冷えていないロシアへ歩み寄り、東シベリアの資源の共同開発計画を立ち上げる可能性がある。

これはロシア側から見ても利点がある。ロシアは欧州経済の低迷や、米国のシェールガス革命などによってエネルギー政策の方向転換を迫られており、新しい国家プロジェクトが必要である。自民党は森元首相の時代からプーチン大統領との関係を築いており、執行部は対ロシア交渉は森氏に陣頭指揮を任せると決めたところだ。
[ 2012/12/17 18:00 ] 経済社会 | コメント(6)

アマゾンに怯える大手出版社 - 電子書籍のカルテルは違法行為

2007年11月、北米でキンドルを始めたアマゾンは開始時に9万点の書籍を揃え、現在では140万点以上を販売し、そのほとんどを紙の書籍価格よりも3-4割安く販売している。競合として戦いを挑んだソニーは一瞬にして敗れ去り、途中参戦した大手書店のバーンズ&ノベルも返り討ちにされた。

そして5年の歳月を経て、ついにキンドルの日本上陸が発表された。準備に相当な時間をかけただけに期待感も膨らんでいたが、11月25日、日本版キンドルの全貌が明らかとなると消費者はガッカリした。タイトル数は5万しかなく、価格も書店で並ぶ本と大きく変わらなかったからだ。

ソニーの「リーダーストア」の品揃えは約6万8000点、楽天の「コボストア」は約6万5000点、紀伊國屋書店の「ブックウェブ」は約5万9000点で、どこで買っても価格は同じである。アマゾンらしさがまったく見られない。

ereader111.jpgこの理由は日本の出版業界の「再販制」という悪しき商習慣に起因する。再販制というのは言葉を変えれば、出版社が決めた価格以外で本が取引されることを禁止する価格カルテルである。

アマゾンが米国で圧倒的な販売量と低価格を有するのは、すべての販売権をアマゾンが保有する卸売りモデルであるためだ。ところが国内出版勢は、再販制が崩れてしまうことを恐れ、アマゾンに寝返らないように事前に申し合わせをしていた。
[ 2012/12/15 18:00 ] 経済社会 | コメント(0)

日本の傾斜産業 - ワースト5

20代、30代の多くのサラリーマンにとっての最大の誤算は、自分が就職した業界が傾斜産業であったことであろう。厳しい倍率をくぐり抜けて大手に入ったとて、それ程給料は高くないし、会社の将来が安泰な訳ではない。

選挙活動中の民主、自民、第三勢力も、公約として2%-3%のGDP成長率を掲げるが、国民の9割は信じていないと言う状態だ。それもそのはず、構造改革に乗り出し、今よりも世界経済が好調であった小泉政権時代でさえ、日本のGDPはマイナス成長であったことを忘れてはいけない。

Ave_Payroll_Japan.gif米国でさえゼロ金利が長期化し、出口戦略の議論にも至っていない。もはや日本が大きく復活するようなことは(革命的な社会システムの改変を除いては)ないと言ってよい。

今回は、そんな中でも最も苦しい業界を、私の独断でランキングする。どれも構造的な問題を抱えており、回復のメドはない。就職や転職の際には参考にしてもらいたい。

第五位 出版業界

言わずと知れた傾斜産業の大御所。ラノベのシェア90%を誇る角川を除いて、御三家(集英社、講談社、小学館)は終わっている。集英社はジャンプですら部数が落ちている。小学館などはドラえもん以外に売るものがない。再販制によって守られていただけで、何の付加価値もない。

第四位 紙・パルプ業界

新聞・雑誌が売れないお陰でいいことがない。電子化によって紙の需要はどんどんなくなっていく。トイレットペーパーでも売るしかないと思ったら、中国から安い古紙が入ってきており、それさえダメ。
[ 2012/12/13 18:00 ] 投資全般 | コメント(2)

企業の存在意義とは何か - JR東に学ぶ収益性と公益性のバランス

東日本大震災の発生から翌月の4月29日、東京-秋田間を結ぶ「こまち」が復旧し、運行が再開された。

こまちは盛岡と秋田間は在来線の特急扱いとなり、地上を走るのが特徴であるが、当地の人々は震災からの復興の象徴的な出来事としてとても喜び、ツイッターでこまちに手を振って歓迎しようと呼びかけられた。

komachi115.jpg私はこの動画をJR東の経営陣の一人から教えられた(クリックでYoutubeへ飛びます)。彼らが米国の投資家をIRで回っていた時に、私のところへも足を運んでくれてミーティングをした。後日メールで送られて来たのがこの動画である。

私は従来から鉄道会社ほど、巨大な資産を持て余している会社はないと考えている。誰よりも価値の高い土地を持ち、誰よりも集客力を持つ圧倒的有利な存在であるのに、彼らが出す利益が少な過ぎると思っているからだ。

JR東はその観点では最も進んでいる会社である。旧国鉄でありながら、官僚的な色合いは薄く、他の民営化した企業と比べても、経営が近代的である。エキュートなどに代表されるように、駅ビルの再開発に積極的であるし、Suicaなどの高度な決済システムを見たら、海外の人はみなビックリするだろう。

ただ、それでも不採算の路線や、収益性の悪い小売や宿泊業など事業も多く、経営効率化の余地がたくさんある。また、設備投資や外注費の査定が甘く、回収出来ていない案件が数多くあることが実績値から容易に汲み取ることができるため、それらを追求した。
[ 2012/12/11 18:00 ] 投資全般 | コメント(4)

バフェットの投資哲学 - 消費者独占力

2011年の暮れ、世界一の投資家であるウォーレン・バフェットは、投資先企業の工場の完成式典出席のため福島県を訪れた。

もちろんこれは、彼自身が日本を訪れることで、世界中の人に日本経済にはバリューがあるというメッセージを発信し、震災でダメージを受けた人々を関節的に支援しようという意図がある。

buffet1.jpgメディアは日本企業の低成長や、株主還元の弱さに加えて、オリンパスのようなガバナンス問題に関してバフェットへ質問を投げかけたが、彼は「日本株は割安であることに変わりはない」とコメントした。

バフェットの発言は市場関係者にとっても一筋の光明のように捉えられた。事実、バフェットの投資会社であるBerkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ、時価総額18兆円)はその後、日本株への投資を増やした。しかし、それは中小型株を中心に少額にとどまっており、ここに彼の本音が現れているとも言える。

ところで、バフェットが投資する会社とはどのような会社であるのだろうか。その根幹となる考え方を、私なりに要約すると以下のようになる。

1. 消費者独占力を持つ商品・サービスがあるか
2. インフレを価格に転嫁できるか
3. EPS(1株あたり利益)が力強い増益基調にあるか
4. ROE(当期利益/株主資本)は十分高いか
5. 多額の負債を抱えていないか
6. 利益の再投資が、収益性の拡大につながっているか

バフェットというと、コカ・コーラへの投資がわかりやすい(バークシャーは現在もコーラの8.9%を保有する筆頭株主)。上記の項目と照らし合わせると、すべてに合致することがわかる。
[ 2012/12/09 18:00 ] 投資全般 | コメント(2)

Google検索ランキング - 埼玉の一位は「貧乳」

Googleより、2012年の日本国内の検索ワードランキングが発表されたが、なかなか興味深いものであった。

まず、総合ランキングでは例年通り1位が「yahoo」、2位が「youtube」となっている。「いい加減ブックマークしろよ」と突っ込みたくなるが、まあそれは置いておこう。

面白いのは、反対にヤフーの方の検索ランキングを見ると、Googleは5位になっていることだ。Googleからはヤフーへ最も行き、ヤフーからGoogleへはそれ程行っていない。

つまり、日本人は「ヤフーが大好き」ということだ。ヤフーの検索のクオリティーは最悪だが(Googleの検索エンジンを借りているが、日本の広告主に有利になるように作り変えている)、メールやニュースを見に来ているという人が多いのだろう。事実、日本人で毎日ネットを見ている人のうち84%(4,905万人)が、ヤフーを見ている。

昨年3位であったMixiは6位に後退し、代わりにFacebookが3位となったが、日本におけるSNSのシェア変動を象徴している(逆にMixiやっている人がまだいることにビックリしたが)。

4位は「amazon」、5位に「楽天」とECサイトが続く。楽天の売上成長率は10%まで落ち込んでいるのに対して、Amazonは同40%も伸びている。こちらも日本におけるECの勝ち組がAmazonとなることを示唆している。楽天がAmazonに勝てるわけがない。
[ 2012/12/07 18:00 ] 雑感 | コメント(0)

横並びの意識は何処から生まれたのか - 癒えない戦争の傷

日本人の横並び意識が、国際社会での競争力を阻害しているという論調があるが、そもそもそれは何処から生まれて来たものなのか。

社会学の学者などは、江戸時代の士農工商システムがその原因だと言うが、この論理には違和感がある。

何故なら、明治、大正、昭和初期の文学や絵画などの芸術は、明らかにエッジが立っており、横並びの社会を風刺したような表現はどこにも見られないからだ。

この時代は努力さえすれば、何にだってなれるという希望と高揚感に満ち溢れており、抜きん出ることを抑圧する風潮など、その片鱗すら見られない。

Aozora_1948.jpg大きな変化が見られるようになったのは、1930年代の後半くらいからだ。この頃から、戦争のため、国家があらゆる手を尽くして国民から感情を奪い去り、人と違う考え方を危険視し、互いに監視しあうシステムをつくり上げていった。

日本政府は、もともと敵地でのスパイ活動や情報操作が百万の軍隊に勝る力を持っていることを知っており、国民感情をコントロール術を研究し尽くしていた。それが自国民に対して執行されたというのは、戦争が生んだ悲劇の一つであろう。
[ 2012/12/05 19:00 ] 経済社会 | コメント(2)

就職戦線異常あり - ドラフト3位でも行きたい業界に進むべし

「就職戦線異常なし」という映画が昔あったが、その後、日本経済が失速して20年、学生にとっての就職戦線はどんどん後退している。98年や02年度程には悲惨ではないが、近年も大卒の5人に1人が正規雇用されずに、就職活動期を終えている。

shushokusennsennizyounashi.jpg就職活動と言うと、どうしても学歴と内定率との相関性を気にする学生も多いだろう。有名企業20社へのアンケート調査では、全社が「学歴不問」と回答しているが、これは建前であって、実際には大学名は信頼性のあるデータとして合否のかなりの部分を占めている。

近年は特にその傾向が強まっている。採用側がリスクを負えなくなって来ているのと、人事部の人員も縮小している企業が多く、大学ごとにセミナーを開催する場合、どうしても有名大学を優先せざるを得ないということもある。

一般的なリクルーティングの際の基準として、旧帝大と早慶上智をAランク、MARCH・関関同立をBランクとして扱い、それ以下の偏差値の大学は"その他"として振り分けているようだ。

このようなことを聞くと、世の中的には批判の対象となりそうだが、致し方ないことだろう。企業側も、有名大学出身者が必ずしも、仕事で成果を上げられる人材であるとはまったく思っていないし、下位大学出身者にも優秀な学生がいることは百も承知である。

短い面接だけでは、その人の特性を理解することなどそもそも不可能であり、それならば、受験勉強を頑張ったかどうかという唯一確かなバロメーターを基準に選考するというのは、それ程変なことではない。
[ 2012/12/03 20:00 ] 経済社会 | コメント(0)

スマホ普及で消える市場 - 草刈場に生えるペンペン草

スマホの保有比率は米国や日本で急速に拡大しており、それぞれ、62%、35%となっている。当然、この流れが止まることはない。

ところで、スマホが普及する一方で、縮小する市場がたくさんある。一言で言うと、写真のような状況だ。少しムカつく絵だが、これが現実だ。スマホ市場を切り開いたアップルに先見の明があり、日本勢は草刈場となっている。

smart_phone_beat_everything.jpgスマホの普及で最も打撃を受けているのは、世界シェア70%を持ち、日本の電機業界最後の砦と言われていたデジタルカメラ業界だ。しかしiPhone5の画素数は800万画素もありクオリティは十分で、かつ画像をそのままメールで送れるという、デジカメにはない利点もある。

カメラ映像機器工業会によると、2012年のコンパクトデジタルカメラの日本の出荷台数は、前年比7.5%減の740万台に落ち込む。

スマホの普及は誰の目にも明らかであるにも係わらず、Fujiもオリンパスもソニーも、スマホが登場する以前から不採算であったデジカメを未だに辞める決断が出来ない。これが日経企業の決断力のなさである。

この他、デジタルビデオカメラ、携帯音楽プレーヤー、カーナビ、携帯型ゲーム機、携帯型テレビなども同じ運命にあるが、誰も辞めない。一応断っておくが、先に辞めたら負けというルールはない。

私の試算だと、これらの市場は年間で4兆円程の規模がある。これが縮小する分、サムスンやアップルなどのスマホメーカーの売上が増加している。

「日本勢のシェアの高い電子部品は今でもスマホに使われている」と言う人がいるが、それはもう昔の話で、村田のアルミ電解コンデンサーなど一部を除いては、中国•台湾にどんどん取って変わられている。

ここだけの話、シャープ最後の希望であった省電力液晶パネルのIGZOも、スペックが高過ぎて価格が折り合わず、iPadへの採用が見送りとなってしまった。シャープは年度内に2,000億円のリファイナンスをしなければならないが、存続が危ぶまれる厳しい状況が続くだろう。(過去記事: シャープは倒産する
[ 2012/12/01 20:00 ] 投資全般 | コメント(5)
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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