仙人の祈り

金融業界に進みたがるエリートたち - 自分探しの終着点

これまでに東京やニューヨークのキャリアフォーラムで学生に話をする機会が何度かあったが、運用会社を希望するような学生は決まって俗に言うエリートの卵のような学生ばかりであり、私からするととても気持ちの悪い感じがする。

こういった自称グローバルエリートの卵たちは運用会社の他に、ゴールドマン、JP、バークレーズのような外資系証券や、マッキンゼーやボスコンのようなコンサルにも興味があり、自身を高く売れて、かつ潰しの効くところを探している。

私はやれやれと思いながらも、運用の仕事は学校の勉強とは違い、世の中のあらゆることに興味のある柔軟な発想力を持った人間が生き残るというような話をする。一方で仕事には向き不向きがあり、人生における喜びとは決して給料の高い仕事をすることではないし、たかが数百万円の年収の違いのために好きでもない仕事をするべきではないことも強調して述べる。

全体へのプレゼンが終わり、個別のQ&Aできるセッションへ移行すると、私の周りは学生で賑わう。私は採用には一切関わっていないから、遠慮なく何でも聞いていいと前置きをするが、学生からの質問は「将来ファンドマネージャーになるには運用会社に直接入った方がいいのか、証券会社でアナリストなどをやった方がいいのか?」とか「プライベートエクイティへ行きたいが、コンサルでキャリアを積むか、MBAを取るかで悩んでいる」とか、私の話を本当に聞いていたのだろうかという質問ばかりが飛んでくる。

シェールガス革命のポテンシャル - 米国復権の鍵

米国のシェールガスの掘削技術は、米系のエネルギーメジャーやTI(テキサスインストゥルメント)などの一部のIT系企業と政府の間で、10年ほど前から秘密裏に研究開発が行われていた。

プロジェクトは国家のトップシークレットとして扱われ、技術者などの関係者は厳しい管理下に置かれていた。この背景は、技術流出を防ぐということに加え、掘削の副作用として地盤沈下や地震、毒液による環境汚染などの問題があり、技術が確立するまでは情報統制が必要であると政府が判断したためだ。

技術が確立した現在では開発の事実はすべて公になっており、我々もその全容を知ることができるようになった。そして知れば知るほどに、シェールガスはエネルギー業界の版図だけではなく、国家戦略そのものを覆すような革命であることがわかってきた。

まずはシェールガスの値段だ。1K
ワットの電力を生み出すのに必要なコストは石油が約10円、太陽電池が42円かかるのに対して、シェールガスは6円以下となっている。埋蔵量も石油が30-50年と考えられているのに対して、シェールガスは少なくとも160年はあるとされている。

次世代デバイス - ウェアラブルコンピュータの最新動向

米国ではWearable Computer(身に付けられるコンピューター)という概念が次の投資テーマとして注目されている。

これは元々MITのメディアラボで最初に提唱された概念で、超小型のパソコンやセンサー、通信機器を組み合わせて、より近未来的なデバイスを作ろうとするものである。2012年のCESでは各社から多数の試作品が展示されており、盛り上がりを見せてきている。

グーグルメガネこの分野で先行しているのがGoogleのメガネ型ヘッドアップ・ディスプレイ「Project Glass」であり、すでに開発者向けに出荷し、2014年には発売される見込となっている。

写真のように、見た目はメガネだが、スカウターのようにグラスに映像が写り道順を教えてくれたり、そのまま見ている画像を写真や動画として送信したり、テレビ電話をしたり、メモを書いたりできるらしい。

私はGoogleのことだからもっと面白いアイディアやコンテンツを載せてくるだろうと考えている。「メガネで見た人の年収が表示されるソフトを入れて欲しい」と冗談で先方へ伝えたら結構ウケたが、Googleが本気になればそれくらいできるだろうという意味で言った。

我が愛しの日本 - 早く行きたいチェーン店

突然だが、今月末でニューヨーク生活を終え、日本に帰国する予定である。仕事はこれまでとまったく変わらないが、東京の方が何かと便利になってきたこともあり、私が日本に戻ることが昨年のうちから決まっていた。

ニューヨークに未練はないのか?と聞かれるが、残念ながらまったくない。実際のニューヨーク生活というのはSex and the cityのような毎日ではなく、「ニューヨーク生活、哀歌」で述べたように、労働をしなくてはならない庶民には意外と地味なものである。

rainbow over east river雨上がりのイーストリバーに架かる虹はとても美しく、ハドソン川に沈む夕日は優しい気持ちにさせてくれるが、ニューヨークの日常も十分に体験できたし、そろそろ日本に帰って落ち着いた生活を取り戻した方が、心身ともにベターだと感じている。(写真は筆者撮影)

最近は株が上昇してきたために、日本はいくらか明るくなってきているようだ。だが、世界の中での日本の存在感は小さくなったままで、ウォール街では東京市場は相変わらず話題にも上げられない。日本人もフィリピン市場が爆騰していることを知らないだろうが、ちょうどそのような感じである。

楽天が嫌いな5つの理由 - キアコン系企業のララバイ

当ブログを読んで頂いている読者の方であれば、何となく私が楽天が好きではないことを知っているであろう。事あるごとに楽天のことを引き合いに出し、遠回しに小馬鹿にする。

一応断っておくが、楽天という会社や三木谷氏に恨みはまったくないし、私は会えば直接先方に以下に書いたようなことを(小馬鹿にしながら)伝えている。

楽天グループ先方は笑いながら聞いているようで、目が一つも笑っていないのだが、それでも今まで面談を断られたことはないし、断ったこともない。つまりは公認ということだ。

私にとって楽天は、古いタイプの企業文化、組織体制、ビジネスモデルをバランス良く保持し、しかもそれが世間ではインターネット企業にカテゴリーされているために、異彩を放っているように見えてしまう。

体育の時間で一人だけ隣の中学の体操服を着ていたら、誰だって突っ込むだろう。私にとっての楽天とはそういった存在なのだ。しかし世間に同意を求めている訳では決してない。私が、たまたまブスに写ってしまった美人の写真を見て、ブスだと思い込んでいるだけかも知れないのだから。

唯才是挙 - ノスタルジー社会を打倒せよ(その2)

(その1はこちら)西暦200年代前半の中国は、400年続いた漢王朝が弱体化し、群雄割拠する時代であった。三国志として有名な動乱の時代であるが、実はこの時、政治システムだけではなく、文化や学問も、飛躍的な発展を遂げた。

この中心にいたキーパーソンが魏王の曹操である。曹操は政治家としても、武将としても、軍師としても、法律家としても一流であるが、横朔(おうさく)の詩人と後世で称えられるように、俳人でもあり、その他にも、音楽、料理、医学など、ありとあらゆるものに通じている傑物であった。

唯才曹操の成した偉業は数え切れない程あるが、今の時代から見ても斬新すぎる施策が、建安15年(西暦210年)発令した「求賢令」である。この命令の真価は冒頭の4文字にある。そこには「唯才是挙」と書かれていた。唯(ただ)才のみ是(これ)を挙げよ。つまり、家柄や出自、経歴にこだわらずに、ただ才能のある者だけを推挙するように役人に命令したわけである。

当時は儒教が中国の学問の中心であり、役人は儒教家ばかりであった。孝の道を説く儒教にとって、才能さえあれば家柄なんて関係ないという考えは、あり得ないことであった。しかも、才能がある人物を見逃してしまった役人には、国家に機会ロスを与えたとして厳罰を下すと明文化されていた。

「魏武(曹操)は書の達人から、盗みの達人まで、一芸に秀でた者の顔と名を2,000人以上記憶していたが、才のない者は自分の子どもでさえも名前を覚えていなかった」と魏書に記されているくらいであるから、余程のものであったのだろう。

不発弾の目醒めの日 - ノスタルジー社会を打倒せよ(その1)

安倍政権の誕生により政治に実行力が戻ってきた。時を同じくして団塊の世代が退職を始めた今、日本が抱える最大の構造問題にメスを入れるチャンスがやってきている。

まずはノスタル爺たちが作り上げた社会システムは時代遅れの産物であることを皆で共有することが大切だ。日本の社会システムのバックボーンは戦時下の大日本帝国から脈々と受け継がれたものであり、言わばそれは無能なガリ勉が社会を牛耳るシステムであった。

不発弾彼らの失政に次ぐ失政によって日本は長期的な不景気に陥り、そしてその間、適職に付けず、才能を開花させられなかった若い世代は、不発弾となって日本の地に埋れることとなった。

しかし、若者世代はゆっくりとだが力を取り戻し始めている。歴史は繰り返しているようで、時に不連続な変化をする。地に埋れた若い世代には、土砂を洗い流し、再び才能を爆発させるキッカケとなる大波が打ち寄せていた。失われた20年の中で産声を上げたデジタル革命やネット革命である。

価値にお金を投じる - ポチポチ病の処方箋(その2)

(その1はこちら)ポチポチ病への処方箋はやはり、投資とは何かという基本に立ち返ることが一番である。(アゴラ出稿)「お金の教育のススメ」でも述べたが、投機と投資は別のものである。投機とは確率にお金を投じるものであり、投資とは価値にお金を投じるものだ。

結論から言うと投機では勝てない。簡単に考えた方がわかりやすい。確率にお金を投じて勝てるなら、すぐにそこで裁定取引をする人が現れて、完全に中立な確率にまで調整されてしまう。短期売買で儲けている人は、ごく一部の不必要にラッキーな人であり、彼ら自身が今後大負けするリスクがあるのが現実だ。彼らが必死で追いかけているのものは、実は自分の尻尾である。

暴落例として、パチンコはやればやる程、その投下した金額の30%を失うシステムになっている。何故なら、パチンコ屋の粗利益率は30%と決まっているからだ。「トータルで勝っている」と言っている人は、ある一瞬だけを切り取っているか、単に記録と計算が出来ていないだけである。

株に投資する場合は確率にではなく、価値に投資をしているという基本をもう一度考えてもらいたい。そして、その会社のオーナーになるということの意義を感じてもらいたい。

チェックリスト - ポチポチ病の処方箋 (その1)

投資をする時、よく知らない銘柄を、あまり調べもせずに買ってしまった経験はないだろうか?。

電子レンジを買う時でさえ、カタログで機能を確認したり、価格コムで値段を調べたり、家に置いた時のイメージをしてみたりして、少なくとも数時間は悩むだろう。

デイトレーダーのPCしかしそんな人でも株や通貨を買うときには、(電子レンジよりも遥かに高い買い物をしているのにもかかわらず)、あまり考えもせずにマウスをポチっと押してポジションを取ってしまう。そして、意に反して含み損を抱え、頭を抱えてしまう。

これは相場に対峙する個人投資家がかかりやすいポチポチ病という病である。

私の分析によると、ポチポチ病を発症しやすい人にはある程度、自身の性格との関連がある。以下に私が考案したポチポチ病チェックリストを載せてある。何個Yesがあるかを数えてみて頂きたい。

可処分時間の争奪戦 - みんな何に時間を使っているの?

可処分所得という言葉は皆によく知られているが、私は「可処分時間」という言葉をよく使う。

投資を行う上で重要なことの一つは、消費者が今何を考えて、どのような趣味趣向があるのかを探ることであるが、可処分時間という切り口から考えると面白い。時間はすべての人に有限であり、消費者の優先度が如実に反映されるからだ。

時間の使い方スマホの普及に伴って、消費者の時間の使い方はどんどん変化している。特に携帯のデータ通信インフラが世界一発達している日本において、どのようなネットサービスが消費者のココロに刺さっているのかは、世界中の投資家や事業家が注目している。

写真のデータは、この問に対する重要な鍵となるものと言えるだろう。(D2Cのモバイル動向調査2012年8月より、筆者作成)

イノベーションは現場で起きている - オープン経済という考え方

イノベーションは会議室で起きているのではない。現場で起きてる。

多くの大企業は、発明というのはクローズドな研究室で、その道の専門家が時間をかけて行うものだと考えている。研究者は、それが何を目的とした発明であるのか事前に知っており、完成品をパイプラインで消費者へ届けて、彼らが受け取れば「成功」と見なされた。

しかしこのような考え方はもう古い。先進的なアイデアというのは研究所から生み出されるのではなく、消費者の中にいる数多くの専門家から、突如として生まれることの方が多い。何故なら、人々に影響を与えるような発明というのは、往々にして、最初は何に役立つのか分からないという場合が多いからだ。

最初の有線電話は、発明者にとっては遠くの劇場の音声をライブで聴くための器具であった。無線通信会社がSMSを発明した時も、ある小さな情報を一方通行で届けるだけで、何に使えるかは分かっていなかった。この技術を電話やSMSメールという発明に変えたのは、両方とも野に潜む10代の若き専門家であった。

Linux大企業は、知識の普及はせず、むしろ特許という障壁を巡らし、点と点が繋がることを阻害する。彼らは、独占を打ち負かす唯一の競争相手が、野から湧き出るイノベーションであることを知っているからだ。クローズドな世界で作られたMicrosoftが、オープンな世界で改良が続けられているLinuxを執拗に攻撃するのはこのためだ。

社長交代リスト - 会社が生まれ変わる絶好のチャンス

会社の運命の7割は社長が握っていると言われる。

特に製造業系よりも、サービス系の会社ほど、それが顕著に現れる。サービス系の方が裁量の余地が大きいためだ。

「ダメな会社の5つの法則」でも書いたが、社長がイケていないと、組織というのはあっという間に崩壊する。

社長交代リスト超大型のドコモでさえ、会社がダメになった理由は歴代の社長がiPhoneを採用しなかったという一点で説明できる。社長のセンスと能力がいかに大切か分かるであろう。

一方で、ヤフーなどは若い宮坂社長になった途端に、会社の利益を倍にした場合に行使できるストックオプションを経営陣に発行したり、自社株買いを行ったりし始め、機動的な資本政策を取り始めた。

今回は前回の「親子上場リスト」に続いて、昨年に社長交代のあった企業のうち、時価総額上位の銘柄のリストを紹介する(すべて公開情報であり、誰でもつくれます)。

中にはキヤノンのように、会長が院政を行っており、社長はその傀儡でしかない場合もあるが、多くの社長の交代は経営の刷新の機会であり、会社が生まれ変わるチャンスである。

皆さんの投資判断の役立て頂ければ幸いです。

名のない桜

その公園を横切ったのは去年の夏のことであった。

友人が小さなコンペに勝ったことを祝う飲み会があり、数ヶ月ぶりに彼女と顔を合わせた。その後、帰り道がたまたま同じ方向であったため、二人きりで駅の方へ向かって歩いていった。

最先端のビジネスモデル - キーワードは体験産業

経済の歴史を遡ると、それは「コモディティー」から始まる。野菜、動物、鉱物など、基本的に自然から取り出すようなものを売買することが最初だ。

しかしその後に産業革命がやって来て、「商品」が経済の主要な提供品となり、コモディティーは商品をつくるための原料となった。産業経済の始まりである。

中国生産ライン更に最近の50-60年で起きたことは、商品のコモディティー化である。誰がそれを作っても同じものであり、気になるのは値段が安いかどうかだけである。

商品までコモディティー化した世の中で、新しい進化は商品をカスタマイズすることで新しい価値を生み出す商売、つまりサービス経済が生まれた。

しかし近年ではサービス産業ですらコモディティー化が始まっている。携帯電話、ファーストフードレストラン、ネット販売などは、商品としてだけではなく、サービスとしてもコモディティー化されている。誰がそのサービスを受けても同じものであり、気になるのは値段が安いかどうか、である。

次に起こるのはこれまでのパターンから言うと単純だ。つまりサービスのカスタマイズ化が最先端を行くこととなる。

ディズニーランド ロサンゼルス特定の人にピッタリと合った、カスタマイズされたサービスを提供した場合、「すごい」という感想が返ってくるだろう。それは忘れられないイベントとして記憶に焼く突き、つまりは「体験産業」とでも言うべきものになる。
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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