仙人の祈り

相対的な価値 - 数字で追えない幸福

砂漠の真ん中で遭難し喉が渇いている旅人に、夢か幻か、冷たい水を売る行商人が通りかかったとする。必死に水を求める旅人に、行商人は無情にもこう言う。「水を売ってあげてもよいが、代わりに貴方の腎臓を一つ頂く。それでもよいか。」

裁定取引が成立しないような効率的な開放経済を論じる時に、教科書ではよく「一物一価」という前提が出てくるが、当然、現実の世界にはいろいろな障壁がありそうはいかない。特にこの旅人と行商人のように、行商人(供給者側)が圧倒的に有利な場合、その価値は等比級数的に吊り上がる。

沖縄の海1つまり、価値というのは、その人の状況や価値観に大きく依存しているため、「必ずしも一定ではない」どころか、厳密には「同じ価値は存在しない」と言える。高級マンションに住んで悠々自適なセレブ生活を夢見る人がいる一方で、高級マンションに住むセレブにとっての夢は、丈夫な体で汗水流して働くことかも知れない。この場合はもはやお金では解決できないことろにゴールがあるが。

アインシュタインは相対性理論の中で、この宇宙にあるすべての事象は、それぞれ別の時空の中にある相対的なものであると述べている。経済に関連する学問が実態経済で機能していないのは、未だに机上の市場原理を信奉しているからであって、価値とは常に人それぞれ、相対的なものという前提が必要である。
[ 2013/08/30 18:00 ] 経済社会 | コメント(27)

仕手株の調べ - 祟り神の旋律

当ブログへ個人投資家からいろいろな質問を頂くが、その中でも驚いたことの一つが、意外にも多くの方々が仕手株に手を出しているという事実である。もちろん私は立場上、個別の銘柄に関する投資判断を公にコメントすることはできないが、仕手株に手を出してはならないということだけは、明確にアドバイスできる。

仕手株の定義は曖昧であるが、一般的には企業の業績(ファンダメンタルズ)の裏付けがないにも係わらず、話題性や思惑だけで大きな出来高と価格変動性を持つようになった株と言うことができるだろう。最近の日本株市場ではスマホやゲームのアプリ関連の銘柄に多く散見される。

祟り神仕手株は某ポータルサイトで無責任な予想をする相場師や、夕刊フジのようなゴシップ紙などでまず焚きつけられる。それまで市場でまったく見向きもされていなかった株が、新たなネタによって誇大に煽られ、マネーゲームの材料として悪意に取り憑かれる。そして「もののけ姫」に出てくる「祟り神」のように狂いだす。

私が繰り返し述べていることであるが、日々の値動きを見て、爆騰している銘柄に目が行ってしまうのは仕方のないことだが、勝ちたいと思うなればこそ、投資の本質を冷静に考えなければならない。丁か半かの確率へお金を投じることは「投資」ではなく「投機」と呼び、そこから利益を得るブローカーが存在する限り、参加者が勝利することはない。(参考記事: お金の教育のススメ
[ 2013/08/23 18:00 ] 投資全般 | コメント(36)

資本主義の大前提 - 努力が報われる社会へ

当たり前過ぎるようなことを言うが、努力というのは大切だ。多感な学生時代に机に向かって一生懸命に勉強をした若者が、偏差値の高い大学へ進学し、給与の高い会社へ入るという社会構造は、ある意味ではフェアな世界であると思う。

そのような彼や彼女も、社会人になってからも継続して努力を積み重ね自己研鑽をしていかないと、競争社会の中では生き残れず、やがてその仕事を失うことになる。結局は、常に努力をしている人が評価されるように世の中はできており、資本主義社会ではこれは大前提の一つだ。

日の丸弁当ただ、このような競争のある社会において、それに対するリターンという見方で考えると、日本の場合少しおかしなことになる。国税庁が発表しているサラリーマンの平均年収のデータを見てみると、1997年度の467万円をピークに下降し続けており、2011年度には409万円と14年間で12.4%も下落している。

同期間のCPI(消費者物価指数)がおよそ4%下落していることを考慮すると実質8%程度の下落であるが、日本のような大きな規模の経済において平均年収がこのように下がるというのは、なかなかに衝撃的な変化である。
[ 2013/08/16 18:00 ] 経済社会 | コメント(57)

頻発する「バカ発見器」 - ネットによる前頭葉の機能低下

最近、コンビニやレストランの冷凍庫入ったり、ハンバーガーのバンズの上で寝そべったり、店の食材を盗んでいる画像を自らアップして晒すという、いわゆる「バカ発見器」がフル稼働している。

この手の話は、以前に「メガ盛り」ブームによって話題となって以降、しばらくは下火となっていたが、猛暑で頭が錯乱状態になってしまったのか、最近の動きは「顔出し」という新たなファクターが加わり、従前よりもパワーアップしている。

アイスケースの猫さん世間の反応は「どうしてそのような無意味な自己アピールをするのか?」というごく当たり前の疑問であるが、私が思ったのはネットや携帯の普及によって、仮想と現実の境界線が曖昧になってしまっている若者が増えているのかも知れない、ということだ。

スマホ中毒の若者が増えていることが社会的な問題となっているが、完全に自分の姿を隠した上で何でも発することができるネットの世界では、リアルの世界での規範も他人の目も気にしなくてよい。本来ならば前頭葉で抑え込むような脳内で湧き上がる衝動も、思うがままにアウトプットできてしまう一方で、それを抑止する力は何もない。
[ 2013/08/07 18:00 ] 経済社会 | コメント(19)

重要な決断をする時 - 大切なのは他人の意見を「聞かないこと」

正しい情報を得て自ら考えるということは、投資に限らず、人生を歩む上でもとても大切なことだ。その昔、著名ファンドマネージャーである師匠から「重要な決断をする時、大切なのは他人の意見を聞かないこと」と教えられたが、それは数え切れない程の成功と失敗を経て得られた、弟子への金言であった。

人生の選択一般的には重要な決断をする時ほど誰かに相談したくなるものだが、残念ながら他人が自分以上に自分のことを理解していることは絶対にないし、大抵は中庸的な結論へ導かれるだけだ。結局、親も兄弟も、配偶者も、友人も、先輩も、同僚も、自分以外の誰かが、自分の直感に勝るアドバイスをくれることはない。

相談することによって、自分の本心を確かめる作業を手伝ってもらったり、社会的なリスク&リターンがどれ程のものなのかを冷静に分析することなどは出来るかもしれないが、他人の意見や提案はそれ以上のものには成り得ない。それが例え、自身が歩もうとしている道の成功者であっても、決断まで他人に委ねてはいけない。

100%のリスクは自分にあるのに、それを自ら選択する権利がないとしたら、それはあなたの人生ではない。逆に言えば、すべてのリスクを取っているあなたが行った決断以上に価値のある決断など、この世にはないということだ。タラレバのない人生には、最大限の努力と、内なる勇気と信念が求められる。(自戒の念を込めて)

***当エントリーは2012/10/29のエントリーを加筆修正して、再掲載したものです。
Ceronでの記事はこちら
[ 2013/08/03 18:00 ] 雑感 | コメント(17)
筆者紹介

check 小松原 周 (あまね);

ファンドマネージャー・アナリスト。日本株(東京)や米国株(ウォール街)の経験が長く、取材した会社は5,000社を超える。徹底したリサーチと業績予想に基づき投資判断を行うファンダメンタリスト。

*ブログ記事は、どのような場合であっても個別銘柄の投資判断に関して述べることはありません。

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