仙人の祈り

東京ゲームショー(2013)潜入メモ

先週、東京ゲームショーに行ってきたので、ポイントだけアップしようと思います。この数年は海外にいて行くことができなかったので、個人的にとても楽しみにしていました。

スケジュールの関係上長くは滞在できませんでしたが、ビジネスデーのおかげでそれ程混んでおらず、サクサク見れました。写真と簡単なコメントをアップしますが、重たいので興味ある方は続きをどうぞ。

ビット経済の新ルール - クラウドを制する者が世界を制す

IT革命の前と後では経済の質そのものが大きく変化している。経済学者が謎のデフレに悩んだり、経営者が昔の成功パターンを繰り返して失敗するのは、時代が革命を経た後であることに気づいていないことが要因かもしれない。

このことを「アトム経済からビット経済へ」と表現する人もいるが、このビット経済は「無料経済」と言い換えてもよいだろう。「ムーアの法則」が予言したように、CPUのコストは2年ごとに半分になり、通信速度とメモリーのコストはそれ以上のペースで下落してきた。

ビット経済の新ルール日々の生活や産業界に根付いている「インターネット」の世界は、このCPU・通信・メモリーの3つで構成されているが、これらの価格下落がマイナスの相乗効果を生み出すことで、正味のデフレ率は年率で50%を超えるものとなっている。これが先進各国で起きているデフレ圧力の正体である。

iPhone5SのA7プロセッサーは、一年前に発売されたiPhone5のA6プロセッサーの倍の処理能力がある。数年前に何十万円もした画像加工ソフトや音楽作成ソフトが、スマホのアプリで数百円で売られている。インフレを生み出すアトム経済に対して、我々はデフレを呼ぶビット経済に移行していたのだ。

伝えること - 受け継ぐことの難しさ

「伝」という字は「人」が「云う」と書くが、これは文字のない時代から人は大切なことを口で話すことで継承し続けていた様をよく表している。文字が生まれて書き残すということが可能になった時代となっても、やはり口で直接伝えるということには特別な力が宿っている。

どんな偉人であっても100年も経てばこの世に形を留めることはできず、そして塵芥のごとく忘れ去られる。しかし、その人物が遺したものを伝える者がいる限りは、人々の記憶に残り生き続ける。世に残る仕事や組織、作品を生み出し、それが伝えられ続ければ、ある意味で人は万世に渡って生きることも可能である。

人に忘れられた時昔の権力者たちはそれを血を残すという手段に頼った。中国の歴代の皇帝たちは後宮に何千人もの美女を囲い、自分の血を残すことで関節的に生き続けようと願った。しかし、歴史が証明しているように、そういった権力者の血は実際には何も身のあるものを継承しておらず、直ぐに根絶やしにされていった。

現代でも、会社を興し、まともな考え方を持った創業者の場合はそのことをよく理解しており、血縁による組織の継承を否定する傾向がある。自分の偉業を後世にまで遺すには、自分の得たノウハウや思いを、信頼できる部下に伝え継承してもらうことが、最良の手法であることを知っている。

利き手は後天的か先天的か

左利きの人というのは全人口の10%に満たないらしい。確率的には50%程度になっても不思議ではないように思えるが、ノースエェスタン大学の研究によると、これには人間社会が協調性を重視することが大きく影響しているという。確かに、同じように高い社会性を持つイルカの場合でも、その90%が左ヒレで相手の体を触りコミュニケーションを取ることが知られており、大きな偏りを見せている。

シンメトリー猫これらの研究は利き手というのはあくまでも後天的に決まるというのが結論であるが、一方で動物学者などに言わせるとそれは間違いで、利き手というのは先天的に決まっているものであるという。実際、猫はネコパンチする腕が種によって決まっているし、魚も回避行動を取る時の方向が種によって決まっていたりする。心臓の位置や利き眼など、個体固有の構造に合わせて利き手は設定されている可能性がある。

このようなことを調べていた理由は、私には利き手という意識があまりなく、よくよく考えると大概のことは左右に関係なく同じ動作が出来るということを改めて不思議に思ったためである。鉛筆も、お箸も、歯磨きも、スポーツも、マウス操作も、どちらも左右の違いはなく、時と場合と気分によって使用する手はバラバラである。どちらもシンメトリーに使えた方がバランスが良いという勝手な思い込みが昔からある。

食のガバナンス - 調達に見る企業のクオリティー

先日、六本木の某社を訪問した帰りに、適当に目に入った中華料理屋でランチをしていると、同行していた中国人の同僚が突然目を見開いて「、、、大変なことが起きました」と言うので、地震かテロか下方修正でも発表されたのかと思ったが、何でも厨房にいる中国人の料理人たちの中国語の会話が聴こえてきて、激安の福島産の米と野菜のお陰で利益が上がったので、オーナーが旅行に連れて行ってくれるという話をしていたというのだ。

私は「何だそんなことか」と思い回鍋肉定食を食べ続けたが、同僚は立ち上がると厨房の方へ行き、静かに気迫のある口調で抗議と説教をしていた。「このお店最悪です、ホント信用できない。」と戻るなり私に申し訳なさそうに感想を述べるが、お前がそれを言うなという突っ込みどころはさておき、すぐに文句を言いに行くあたりは流石に中国人だなということと、やはり福島産ということは気にするんだなと思ったりした。

食べて応援私はニューヨーク在住であったため、3.11以降の一連の動きは知識として知っているに過ぎないのだが、当然、サクッと昼飯を食べるようなレストランであれば、福島産の食材は使っているだろうと勝手に了承しているところもあったので、今更サプライズはない。問題の震源地からそれ程離れていない東京に住んでいる時点で、食べ物だけ東日本を避けて通ることなど出来ないと思っている。

ところで、日本の食品やレストランを営む上場企業に会った時には、毎回のようにこの点についてはヒアリングするようにしている。福島産を使うなと言っている訳ではなく、どの位の労力を割いて食の安全性を担保しようとしているのかを聞くと、企業のクオリティーがよく見えてくるためだ。私の口から企業名を出して具体例を述べることは出来ないが、概して言うと、やはり大企業ほどキチンとした取り組みを行い、小さい企業ほど不透明(というか確信犯)である傾向があるのは否めない。

「いつかはゆかし」 - 臭い金融商品にご用心

「いつかはゆかし」という金融商品が、切込隊長のブログを発端に以前から盛り上がっているが、傍観者としては面白いネタとなっている。

実は、私は2005年頃、「いつかはゆかし」を運営しているアブラハムとかいう会社の代表の高岡氏とその仲間たちに会ったことがある。当時会社を創業したばかりで出資者を募っていた彼らは、私たちに有力なVC(ベンチャーキャピタル)を紹介&推薦して欲しいという意図で、どういう訳か我々の前でプレゼンをする機会があった。

Surströmmingその時の事業計画は、HPを見る限りは、今現在やっている富裕層向けの投資助言(といっても単なるファンドの紹介)と同じものであるが、プレゼンが始まった途端に、何とも芳ばしい香りが部屋中に全開となり、同僚が顔を真っ赤にして下唇を噛み締めながら資料をめくっていたのを見て、私も(笑いを堪えて)腹筋が痛くなったのをよく憶えている。

「100年後も語り継がれ、孫の世代まで誇れる会社に」とか「僕たち東大・三井物産出身のお坊っちゃま軍団のネットワークは最強」とか「富裕層や金融界の著名人との幅広い人脈」とか、まるで(世界一Fishyな缶詰として有名な)シュールストレミングをバケツでブッ掛けられたような清々しいプレゼンであった。
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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