仙人の祈り

起業学のススメ - みんな知らない起業の実務

先日、投資家からベンチャー起業家へ転身したA女史に久しぶりにお会いする機会があり、起業から現在に至るまでのストーリーを聞かせてもらったのだが、やはり会社を興すというのは、雇われサラリーマンでは決して経験できない喜びや苦しみがそこにあるのだなと感じた。

「弊社の企業理念は」「コア・コンピタンスは」とプロパー社員が悠々とプレゼンしているのを聞くと無性に腹立たしくなる、とは某上場企業の創業者の言葉だが、実際の起業というのは、そのような絵空事を語る以前に、地を這い、草を噛み、泥水をすすり、最後には気力と運だけで押し切る場面が数え切れないほどある。

分からないことだらけ1127もともとお嬢様育ちであったA女史にとってもそれは例外ではなく、金欠のあまり親に金を借り、猫の餌のグレードを下げ、最終的には自分の生理用品まで買えなくなるなど、創業間もない頃の話というのは壮絶エピソード満載である。人生にレバレッジをかけて挑む起業家にとっては、それすら笑い話にできる強さが必要なのであろう。

一連の話の中でも私が最も感銘を受けたのは、会社が本格的にテイクオフするキッカケとなった、とある仕事を受注した時の話である。
[ 2013/11/27 18:00 ] 経済社会 | コメント(12)

ソフトバンクに学ぶ - 富を創造するは揺るぎなき信念

ソフトバンクの企業価値は9兆円を突破し、今や三菱UFJフィナンシャルグループと並び、これより大きい日本企業はトヨタ自動車を残すのみというところまで成長した。プロの投資家にとってソフトバンクという会社は好き嫌いの分かれる銘柄として有名で、外資系や海外投資家は好意的に見る人が多いが、一方で日本の伝統的な金融機関系の投資家は同社を嫌う傾向がある。

ソフトバンクの評価は極めてシンプルで、詰まるところ孫さんが好きか嫌いかという議論に集約される。前者は孫さんの事業家としてのセンスや実行力を評価し、後者は孫さんの型破りな言動をアンフェアなものとして受け止める。意見や見解はいろいろなものがあるだろうが、どちらが正解であったかと言えば、答えは明白である。ソフトバンクの企業価値を見誤ったプロの投資家は、何が間違っていたのか真摯に受け止める必要があるだろう。

巨艦20131118孫さんの出自について記載することは省略するが、彼は子供の頃から、所謂日本の一般的な子供が乗るレールの上を歩んでいなかったと言える。教育熱心な親と特殊な環境下にあって、自主独立の精神と、新しい価値を生み出すために不断の努力をしなければならないことを学んでいた。彼の血は韓国人でも、心はむしろこの国の基礎を築いた明治以降の日本人のように、未来への希望と躍動感に満ちているように見える。

現在のソフトバンクに至る過程で最も重要な出来事と言えば、2006年のVodafone日本法人の買収であるだろう。すでに固定通信の企業買収を終えていたソフトバンクは、社運をかけてVodafoneの買収を敢行した。当時の関係者は誰もが口を揃えてこの無謀すぎる挑戦を嘲笑い、馬鹿にしていたが、次世代の通信の主役となる携帯事業への参入できるタイミングは、今思えばこの時しかなかった。
[ 2013/11/18 18:00 ] 経済社会 | コメント(24)

アベノミクスの正念場 - 規制緩和の断行が必要

アベノミクスから1年が経過し、市場の熱は冷めてきている。日銀が異次元緩和に踏み切り、政府からは日本再興戦略が発表されたものの、上半期の企業決算を見る限りはネガティブサプライズばかりであり、未だファンダメンタルズに改善の兆候は見られない。

解雇規制、農業改革、混合医療など、規制改革をすべき分野の改革は進まず、一般医薬品のネット販売ですら妥協案に落ち着いている。社会保障費の抑制策は何一つ決められず、膨張を続けている。TPPは国内の世論が形成されないまま臨んでいるため、国際交渉が下手な政府が、諸外国に丸め込まれるリスクも高まっている。

崖っぷち1112政府は企業に国内での設備投資を促すが、企業は法人税引き下げなどのお膳立てがないのであれば、海外投資やM&Aを優先した方が効率的であると考えている。家計においては、このまま給料が上がらずに消費税の増税となれば、間違いなく消費は冷え込み、デフレのブラックホールに吸い込まれていく。

政府は景気を支えるためには追加的な財政政策を打つしか選択肢が取れなくなり、再び借金を増加させることになる。これでは、皆が良く知る自民党とあまり変わっていない。市場は日本の実質GDPを2013年度に+2.8%と予想しているが、その後は14年度+0.5%、15年度+0.8%と、従来通りの超低空飛行が続くというシビアな見方をしている。
[ 2013/11/12 18:00 ] 経済社会 | コメント(28)

会社計画には癖がある - 保守的な会社とイケイケの会社

10月末から11月は、機関投資家と上期の決算発表を行った企業経営者が集中的に接触をする期間である。会社側は決算説明会を開催したり、主要株主や機関投資家を個別訪問し、上半期の総括や事業戦略などを意見交換する。私も連日のように経営者たちと会っており、まさに分刻みのスケジュールをこなしている。

下方修正を発表した会社の経営者は深妙な顔つきで「ご期待に応えられず、大変申し訳ありませんでした」的なトーンで話をしてくるが、ほとんどの場合は事前に予想していた上で行動しているので、そのようなことはまったく気にしていない。ただし、期初に想定していた会社計画と比べて、どのようなことが起こり計画未達となってしまったのかは、慎重に聞く。

予想と現実の差会社計画というのは、経営企画部が鉛筆を舐めて叩き台を作るものであるが、ほぼすべての会社はその後の経営会議で「下方修正になったら恥ずかしいので、これよりちょっと保守的な数字にしておこう」とか「こんな弱気な数字では内外に示しがつかない、もっと強気な計画を発表しよう」とか、経営者によって脚色が加えられている。

毎回上方修正する会社と、毎回下方修正する会社があるが、それらは毎度の「お約束」のようなものであり、実態は本当に良かったのか、悪かったのかは、その都度内容をヒアリングしないと分からない。今回の決算の場合の多くは、保守的な数字を出したつもりだが、実際にはちょうどその計画線での着地となってしまい、実勢的に経営者が期待していた程ではないという会社が多い。
[ 2013/11/05 18:00 ] 投資全般 | コメント(30)
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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