仙人の祈り

2014年の注目点 - 無料経済と創造力

2013年も終わりに差し掛かってきました。今年も多くの経営者とディスカッションをし、新たな学びを得ました。ブログでも度々書いてきましたが、やはり「ビット経済」「ニューエコノミー」などの言葉にあるように、IT革命が爆発的な広がりを見せ始めてきているという実感が、最近の私の中でのホットトピックです。

半導体の進化、デバイスの進化、通信インフラの進化などが「無料経済」を形成し始めており、強烈な「デフレ圧力」としてマクロ経済で捉えられるまでになりました。特に若い世代にとって「情報」は、もはや無料で得られるものであり、情報を保有したり販売したりすることによる付加価値というものはなくなりました。

林檎地図これからの世界で自分を差別化するには「創造性」がより重要になってきています。無料の情報を加工して、新たな付加価値を創造する仕事が「新ホワイトカラー」として重宝されるようになると思います。「東大生より芸大生が欲しい」と私に相談を持ち掛けた経営者がいましたが、時代の変化を象徴した言葉であると感じました。

無料経済は消費者から見た「可処分時間」の使い方にも如実に現れています。「スマホゲームの勃興」「プラットフォームの覇権争い」などのテーマで記事を書きましたが、従来では有料であったサービスが無料化し、それらを流通させるプラットフォーマーに富が集約する時代となりました。欧米勢はこの部分で優位にいます。
[ 2013/12/24 18:00 ] 経済社会 | コメント(15)

お金の価値と人生の価値

投資をする人は「お金が欲しい」という目的が第一義的にあるわけであって、何もレジャーやボランティアでやっているわけではないだろう。もちろんそれでいい。結局のところ、まともに勉強して、まともにリスクマネーを投じない限り、まともなリターンを得られないし、市場でまともな会社が評価されて株価が上がる(資本コストが下がる)ことが、まともな社会の発展のために寄与することになる。

しかし、往々にして身銭を切って投資を行う個人投資家というのは、その先の目的を持っていない。「何故、お金持ちになりたいのか?」と聞かれて即答できる人は何割くらいいるだろうか?仕事を辞めて、豪邸に住んで、綺麗な格好をして、美味しいものを食べて、、、そう思う人が多いかもしれない。ただ、もし貴方が投資家として大成して実際にお金持ちになったとしたら、その願望はどうでもいいものになっているはずである。人はお金を得るほどに、お金を超えた価値を知ることになるからだ。

Slum_community201312マレーシアの貧しい家庭で育った友人のMは、子供の頃、病気に苦しむ母親の治療費を稼ぐために、近隣の住人たちに「何でも屋」を申し出てお金を稼いでいた。貧しい村であったため、隣人も決して裕福ではなかったが、多くの人は善意で彼に仕事を与え、時には食べ物や薬を恵んでくれた。Mはその後、猛勉強をして某アイビーリーグで経営学修士を取得し、ウォール街の投資家として優れた成績を収めるようになった。しかし、若くして大金持ちとなった彼は、ある日突然引退し、全財産をマレーシアで自身が設立した基金へ拠出してしまった。

基金は小さな子供のいる貧しい家庭に対して医療費や学費を支援するものであり、条件として、その子供が将来お金持ちになった場合に、再び同基金にお金を拠出してもらう設計となっている。また、基金の特別条項には、子供の頃のMに施しを与えてくれた村人の名前が記載されており、彼らが病気になった際に全ての医療費を支払うことも明記されている。彼は村人たちの一杯の飯の恩を忘れずに大人になり、それに報いることを人生の目的の一つとした。
[ 2013/12/16 18:00 ] 仙人 | コメント(13)

世界経済のデフレ懸念 - ニューエコノミーと2極化のサイン

アベノミクスが始まって以来、日本経済はインフレ率がキーファクターとして注目されているが、世界経済に目を向けると、むしろデフレ懸念が台頭してきている。インフレが終了しデフレに向かうことを「ディスインフレ」と言うが、日本を除く先進国経済はすべてこの状態にある。

代表的な例として米国を見てみると、リーマンショック前は+5%を超えていたインフレ率は、バブル崩壊によって一気にマイナス圏まで落ち込み、09年半ばには-2%となった。その後、徐々に切り返し11年後半には+4%弱までインフレが進んだが、その後再び低下し、現在は1.0%近辺にある。

2極化した都市こうした状況の中、ECBは先日利下げを発表しており、デフレトレンドを止めるべく更なる金融緩和を決断した。FRBのバーナンキやイエレンも「Tapering(漸減)」と「Tightening(引き締め)」はまったく別のものであることを繰り返し述べており、インフレ率が低位安定している限りは、超低金利政策は正当化されるとしている。

このように、世界経済は未だ低成長と「デフレ懸念」に悩まされているというのが実態だが、株価の方は好調が続いているため、ファンダメンタルズとトーンが随分と異なるように見える。もし株価が示唆するものが正しいとした場合、市場はこのまま低インフレ率、低成長が長期的に持続する経済を受け入れている可能性がある。
[ 2013/12/10 18:00 ] 経済社会 | コメント(9)

ビットコインまとめ – 欧米型金融システムに対するアンチテーゼ

足元でビットコインの注目度が上昇してきている。ビットコインとは2009年頃からネット上に流通するようになった仮想通貨のことであり、中本哲史という謎の人物(一説には京大の数理解析研究所教授である望月新一氏)が08年11月に「銀行など第三者の介在しない取引を可能にする、新しいP2Pの電子マネーシステム」について述べた論文がキッカケとなり誕生したというのが定説となっているが、実際のところは定かではない。

最初にこの存在に気づき、そのポテンシャルを評価し始めたのは、ネット業界において情報感度の高い人たちであった。その代表例となるのが、ハイテクベンチャー業界で著名な双子の兄弟であるキャメロン・ウィンクルボス氏とタイラー・ウィンクルボス氏であり、両氏は2012年の夏から大量にビットコインの購入を開始、これに続くようにして新興ハイテク企業向けのベンチャーキャピタルなども参戦を始めた。

bitcoin_miner1204本格的なブレイクを迎えるキッカケとなったのは、シリコンバレーの投資家たちが動き始めてからであり、彼らもやがてビットコインこそがSNSに続くウェブ革命であるという考えを持つに至った。ペイパルの創業者が設立したインキュベーションファンドは2013年5月、ビットコインを使った決済を行う最大手のビットペイ社に200万ドルを投資、次いでツイッターを見出したユニオン・スクエア・ベンチャーズも同5月に同業のコインベース社に250万ドルを投資した。

2012年夏に5ドルであったビットコインの価格は、一連の動きによって堅調に右肩上がりに上昇を続けていたが、先日の「米国上院国土安全保障・政府問題委員会」においてビットコインに関する公聴会が行われ、法務省からこれを肯定するコメントがなされ、FRBのバーナンキ氏からも前向きなコメントが公表されるなど、事実上の米国首脳部からお墨付きが出たことで価格は急騰し、現在では1,000ドルを越える価格で取引されている。
[ 2013/12/04 18:00 ] 経済社会 | コメント(12)
筆者紹介

check 小松原 周 (あまね);

ファンドマネージャー・アナリスト。日本株(東京)や米国株(ウォール街)の経験が長く、取材した会社は5,000社を超える。徹底したリサーチと業績予想に基づき投資判断を行うファンダメンタリスト。

*ブログ記事は、どのような場合であっても個別銘柄の投資判断に関して述べることはありません。

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