足元でビットコインの注目度が上昇してきている。ビットコインとは2009年頃からネット上に流通するようになった仮想通貨のことであり、中本哲史という謎の人物(一説には京大の数理解析研究所教授である
望月新一氏)が08年11月に「銀行など第三者の介在しない取引を可能にする、新しいP2Pの電子マネーシステム」について述べた論文がキッカケとなり誕生したというのが定説となっているが、実際のところは定かではない。
最初にこの存在に気づき、そのポテンシャルを評価し始めたのは、ネット業界において情報感度の高い人たちであった。その代表例となるのが、ハイテクベンチャー業界で著名な双子の兄弟であるキャメロン・ウィンクルボス氏とタイラー・ウィンクルボス氏であり、両氏は2012年の夏から大量にビットコインの購入を開始、これに続くようにして新興ハイテク企業向けのベンチャーキャピタルなども参戦を始めた。

本格的なブレイクを迎えるキッカケとなったのは、シリコンバレーの投資家たちが動き始めてからであり、彼らもやがてビットコインこそがSNSに続くウェブ革命であるという考えを持つに至った。ペイパルの創業者が設立したインキュベーションファンドは2013年5月、ビットコインを使った決済を行う最大手のビットペイ社に200万ドルを投資、次いでツイッターを見出したユニオン・スクエア・ベンチャーズも同5月に同業のコインベース社に250万ドルを投資した。
2012年夏に5ドルであったビットコインの価格は、一連の動きによって堅調に右肩上がりに上昇を続けていたが、先日の「米国上院国土安全保障・政府問題委員会」においてビットコインに関する公聴会が行われ、法務省からこれを肯定するコメントがなされ、FRBのバーナンキ氏からも前向きなコメントが公表されるなど、事実上の米国首脳部からお墨付きが出たことで価格は急騰し、現在では1,000ドルを越える価格で取引されている。