仙人の祈り

心のバイアスと価値観の分散

物事の本質は多面的な視点で見ないと理解ができない。人間誰しもが生活していると何かしらの重力のようなものに引っ張られて、考え方や価値観にバイアス(偏り)を持つようになる。しかしそのバイアスのままで見る世界というのは、利己的で排他的なものとなる傾向があり、酷くなると別の考え方や価値観を攻撃し、蔑むようになってくる。

ネット上でどんどんとエスカレートしている「嫌韓」の動きはそのわかりやすい例であると言えるだろう。ごく一部のバイアスのかかった韓国人による過激な行動を取り上げ、それがまるで韓国人の総意であるかのように報じる。そして匿名のネット民達が油を注ぎ込み炎上させることで、それを見たプレーンな人が、新たに「嫌韓」というバイアスを持つようになる。

dog_and_girl2014私は職業柄、物事にバイアスを掛けない見方をしなければならないため、こういったことに対して特に敏感なのかもしれない。勝ち残る投資家というのは、最終的には「価値観の分散」という領域に達する。組織に固有の価値観を把握し、ポートフォリオに入れる銘柄がバラバラの価値観を持つように意図的に調整をするスキルがキーであることに気づくのである。

こうしておくと、景気ショックなどの不測の事態が起きた時でも、結果的にお互いの組織のキャラがショックを打ち消し合うようなパフォーマンスとなり、比較的ショックが軽く済む。これとは逆に、ポートフォリオが一方向のバイアスに偏った価値観を持っている場合、取り返しの付かないようなダメージを被ることになる。
[ 2014/02/28 18:00 ] 仙人 | コメント(10)

その戦略に必要な戦略 - 新時代のフレームワーク

企業の業績予想をしたり、経営者が事業戦略を練る際によく出てくるのが、マイケル・ポーターの5forces分析である。会社を取り巻く環境分析を「新規参入業者」「代替品」「供給業者」「顧客」「競合企業」の5つの要因に分けて分析し、総合的な競争力が、事業の長期的なROIC(投下資本に対する収益性)を決定づけるとするものである。

この理論は汎用性が高く、今でも実際の現場レベルで活用されているが、より実践的な米国のMBAなどでは、5forcesだけでは事業ごとのROICの差を説明することはできないとする議論が一般的となっている。何故ならば、5forcesは「業界の予想が可能」であり「競争環境の変化があまりない」ということを前提としたものであるからだ。

TheStrategyNeedsAStrategyここでも述べたが、我々はIT革命という大きな波の最初の段階にいる。ITのもたらす効率化のスピードは凄まじいものがあり、あらゆる業界の構造そのものが大きく変わろうとしている。このため従来型のポーターの理論だけで競争環境を分析していても、すべての要素が動的に変化しているため、正しい戦略が取れていないケースが頻繁に見られるようになってきている。

ボスコンが提唱した概念で、米国のMBAでも学ぶ最新の経営学では、この欠点を補うために「業界の予想が可能かどうか」「競争環境の変動が大きいか小さいか」という2つの軸を加える。従来のポーターの世界はこの4つのマトリックスのうちの「Classical(旧来型)」に位置する。しかし、2つの軸を追加して考えると、他に3つの世界があることがわかる。すなわち「Adaptive(適応型)」「shaping(構想型)」「Visionary(ビジョン型)」である。
[ 2014/02/21 18:00 ] 経済社会 | コメント(15)

伸びる会社の法則 - 投資する前に確認したい5つのこと

ダメな会社の5つの法則に続き、今回は伸びる会社の5つの法則についてまとめてみる。もちろん会社は生き物であるし、いつも予想外の変化をするものなので、一概に語ることはできない。しかし、これらに該当していたら伸びる会社である確率が高まるという見方はできると思うので、参考にして頂けたら幸いだ。

収益性が上昇している

虹を越えて201402サービス系の会社であれば営業利益率(営業利益/売上高)、設備投資の多い製造業系の場合はEBITDAマージン(償却前営業利益/売上高)などの収益性の指標は、シンプルでありながら会社の実力が如実に現れる。優秀な経営者がマネジメントをしている会社は、ノウハウの蓄積や無駄の削減などによって収益性は継続的に上昇しているはずであり、事業の競争力が高まっているサインと見ることができる。同様に、在庫や売掛金の伸びもチェックするとよい。これらが売上の伸びより低く抑えられている会社は、ビジネスの競争力が高まっているサインと見ることができる。

経営者がROEの向上を意識している

伸びる会社の経営者はROE(当期純利益/株主資本)の向上という視点で会社を経営している。何故なら株主の利益はROEという指標で表現されるからだ。収益性が向上すると当期純利益が増加するためROEは上昇する。一方で、稼いだお金をより儲かる事業へ再投資したり、配当や自社株買いなどによって株主に資金をしっかりと返還をしていないと、分母の株主資本が増加してROEは低下してしまう。投資家向けの資料などで、ROEの向上を目標に掲げているかどうかをチェックするとよい。
[ 2014/02/14 18:00 ] 投資全般 | コメント(43)

ファンドマネージャーの哀歌 - 都会のメリーゴーランド

朝、オフィスへ着いて昨日のニューヨークで行われたディスカッションの議事録に目を通す。A4一枚にまとめられているのでとても効率が良い。最高機密資料でありながらも、最後にグルメ投資家ロイの「Cityにいれば世界中の旨いものを食えると思っている輩は、ラードでもしゃぶってろ」という発言が思い切りFワードのまま書かれている。レストラン銘柄の話をしていたのか、あるいは自分の足で取材をしなければ意味がないという趣旨の比喩的表現なのか、まったく前後の背景が読めずしばらく悩む。

佐村河内守なる人物の曲がゴーストライターによるものであるということが判明したという話題を見て、今日も日本は平和であるとほのぼのしつつも、先日フェイスが日本コロムビアへTOBをかけていたことを思い出した。直感的にこのタイミングで暴露されたことには何か裏がありそうだなと思ったが、仕事とはまったく関係ないエリアなので、サラッと流すことにする。

merrygoaround2014アナリストから昨日発表された決算の報告を受け議論を始める。気になる銘柄が2、3あり、競争力に変化が起きている可能性があるので、追加で調査してもらうことにする。その間、証券会社の営業から複数の電話があり、企業からのオファーのうち興味があるいくつかのミーティングを受けることにする。その後、香港とシンガポールとつなぎ、情報交換をする。インド出張へ行っていた同僚からの報告を聞いている最中に、ロイの言っていたことが何のことかがようやくわかる。

同時進行で、発注の指示を出す。ベテランのトレーダーが病欠のため、若手トレーダーが執行をする。「○○、L、300K、1,800OB、Super low、disc(1,800円以下で買い、30万株、占有率を下げて、取得日数はお任せ)」という指示を送るが、板を見ていると予想以上に勢いよく買っているので、電話で直接ニュアンスを伝える。出来高が細っているため、買いの勢いを緩めないとインパクトが出過ぎてしまう。ベテランのトレーダーだとこちらの意図と相場の呼吸を読み裁量的にトレードをしてくれるが、経験が足りないとそれが伝わらないので少し面倒だ。
[ 2014/02/07 18:00 ] 雑感 | コメント(16)
筆者紹介

check 小松原 周 (あまね);

ファンドマネージャー・アナリスト。日本株(東京)や米国株(ウォール街)の経験が長く、取材した会社は5,000社を超える。徹底したリサーチと業績予想に基づき投資判断を行うファンダメンタリスト。

*ブログ記事は、どのような場合であっても個別銘柄の投資判断に関して述べることはありません。

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Macoちゃん♀・x・)

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