仙人の祈り

ネット広告に侵される「プライバシー」

ベネッセによる個人情報の流出事件が社会問題となっているが、今回の事件を機にDM(ダイレクトメール)に社会的なメスが入ったことは、郵便受けがいつも不要なDMに支配されている一消費者としては、大変ありがたいことである。

私の場合、恐らくは、新聞屋や、EC業者や、クレジット会社などが裏で情報を横流ししているのであろうが、見ず知らずの組織に、氏名や性別、人種、年齢、住所、職業まで知られていると思うと気分が悪いし、ゴミ箱直行なので紙の無駄でもある。

x-pose201407企業による個人情報の取り扱いに関しては、本質的にはDMだけでなく、今後はいろいろな方面へ問題が波及していくだろう。消費者は会員カードをつくったり、アンケートに答える度に個人情報を取られるのに対して、企業側への厳格な罰則規定がないため、安全性がまったく担保されていない。まずはこの辺りの法整備が進みそうだ。

一方で、インターネット上で勝手に吸い取られている個人情報までは、今回は踏み込むことはできないだろう。最近流行の「ビックデータ」は「個人を特定できないように加工してあるのでOK」という企業側の論調が支配的になってきているが、何処で何を見て、何を買って、その後どうしたか、などの詳細なデータは十分に個人情報と言えるものであるし、それらを繋ぎ合わせれば、実際には個人を特定することも可能となる。

ベネッセに学ぶ - ホールディングス体制の危うさ

『会社名に”ホールディングス”が付く会社は慎重に見た方がよい』と以前にコメントしたが、今回のベネッセ・ホールディングス(HD)による顧客データの流出騒動はこの法則にピタリと一致する事例と言えるだろう。

この話題はセンシティブな時期にあるので、すべてを語ることは控えたい。ただ、外部から企業を観察する一投資家としては、ノーサプライズというのが正直な感想である。そのくらい同社のガバナンスはザルであるという認識を持っていた。

benesse_promo_poster2014最初に違和感を覚えたのは今から3年ほど前であった。ベネッセの成長ドライバーであった中国の「こどもチャレンジ」(楽智小天地)の成長率が、僅かに期待を下回り始めていた。その後、私の情報網から同事業の現地での評判があまりよろしくないという報告も上がってきた。

私はこれらを受けて、ホールディングスの経営陣に会う度に中国事業の進め方や、責任者の仕事ぶり、現地の事業パートナー(福利会)との関係等について多くの質問を投げかけたが、毎度満足のいく回答は得られなかった。

Googleに見るIT革命の行方

少し前まで「テクノロジーの進化」と言えば、半導体の微細化や液晶の薄型化、省電力化に象徴されるようなハードの進化を指すことがほとんどであった。株式市場でも、半導体大手の月次や、装置メーカー、化学メーカーの最新動向などに一喜一憂していたものだが、今ではあの手の山師たちは何処へ行ってしまったのか、正直言ってよくわからない。

それに変わって近年では「テクノロジーの進化」と言えば、ITサービス系のソフトの進化を指すことが当たり前になってきた。中でも、トップランナーというか、すでにルールメーカーの地位を確立しつつあるのがGoogleである。検索エンジンとして世界制覇を完了したのは周知の事実であるが、彼らは今、ITの力で世界を変えるような壮大なビジョンを有している。

ITrevolution_by_google2014その前段階として、近い将来に制覇を狙っている分野に関しては、すでに私たちにも見えるかたちで動きを示している。それを簡単にテーマごとにまとめると、「プラットフォーム・OSを制する」「インターフェイスを制する」「クラウドを制する」「通信インフラを制する」「エネルギーを制する」「デバイスを制する」と大別できる。

例えば、Androidを搭載したGoogle Glassで見たものにウインクをすると、その商品をGoogleで検索でき、内容を見て欲しいと思ったら「買い」と声を出せば、その場で購入できる。Googleは自社のプラットフォームからECサイトへ送客をし、成果報酬を徴収する。これらのデータ通信そのものは、すべてがGoogleの仮想通信ネットワークインフラによって成されており、Ciscoのルーターなどをまったく経由していない。

ネット革命の最先端 - 次世代インターフェイスの可能性

「ネットとリアルの融合」ということで「オーツーオー(Online to Offline)」という言葉を最近よく目にするが、インターネットはすでに私たちの実生活になくてはならないものとなっているため、「ネット」というものを敢えて一つのカテゴリーとして切り出してフォーカスすることは、それ自体が古臭い気がする。

後世の歴史の教科書から見れば、我々が目にしているものは17世紀の「産業革命」と並んで、21世紀に勃興した「インターネット革命」と呼ばれるようなものであり、2010年代はまだその途端にすぎない時代として語られることだろう。つまり、急速な生活環境の進化は、まだ始まったばかりにすぎない。

telepathy201407いろいろな会社を取材していて最近感じていることは、どうやら「インターネット革命」の現時点での最先端は「インターフェイス」にあるようだ。消費者がリアルの生活の中でインターネットを活用することは定着したが、現在はネット世界への「入口」を、いかに効率化することができるのかに注目が集まっている。

先日発表されたAmazonのオリジナルスマホの「Fire Phone」はその一例と言える。欲しい商品にスマホをかざすと、搭載されたカメラで映像や音声を認識し、その情報をAmazonデータベースと照合することができる。つまり消費者は、スマホに文字を打って検索するという手間を省き、リアルの生活から簡単にオンラインショッピングができるようになる。
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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