仙人の祈り

私が還る場所 - 圭吾

ハッブル宇宙望遠鏡によって発見された129億光年かなたの銀河「GN-108036」。私は学者ではないが、民間でのバーチャルECUの開発経験があることを買われ、現在、「赤外線天文衛星」や「すばる望遠鏡」で撮影した画像データを解析し、星形成のメカニズムを研究するプロジェクトの手伝いをしている。

宇宙とは過去のこれまでの映像が時系列で納められた、広大な映像ライブラリーのようなものである。不思議なことだが、129億光年かなたの銀河を見るということは、129億年前の、宇宙が誕生して間もない頃の姿を見ていることになる。我々人類は、すでに過去を見ることに関しては、ある意味で究極まで達している。

宇宙物理学などとはまったく無縁のキャリアの私であるが、プロジェクトチームのおかげで勉強をするようになり、その深遠の果て無き世界を知れば知るほど、もっと早くにこの世界(本当の世界)に出会っていたら、これまでの人生の選択も、少しはまともなものとなったのではないかと、後悔の念が湧いてくる。

若気の至りと言えばそれまでだが、人付き合いでの失敗、仕事での失敗、お金での失敗、時間の使い方の失敗と、どうして人は失ってから気づき、失敗を犯してから反省するものかと、しみじみ思えてくる。もっと自分を俯瞰して見る視点を持っていたら、晴れやかな気持ちで、命の炎を燃やしてきただろう。
[ 2014/08/28 18:00 ] 雑感 | コメント(9)

大衆迎合のネット社会

ネット時代になって情報の垣根がなくなったにもかかわらず、何だかリアルの世界のヒエラルキーが、そのままネットの世界にも反映されているように感じるのは、私だけだろうか。

実名を強制するFaceBookがそれを助長しているのかも知れないが、ネットがリアルの世界での自己アピールに留まると、自制が効く反面、ツマラナイものになってしまう気がする。

0822_2014氷水をかぶるセレブや有名人よろしく、あれが米国発でなかったら誰も真似しなかったと考えると、少し切ない気持ちになる。(同じく難病の)「副腎白質ジストロフィー」のために「素手でドリアを食べよう」と日本人が投稿しても、決して盛り上がらなかっただろう。

ニュースにしろ、音楽にしろ、流行にしろ、ネットの力によって嗜好が大衆迎合することで、低いレベルで「妥協点」という名の「均衡点」が形成されてしまうことが増えている。そして新しいコンテンツもそこに合わせてつくられるため、悪循環から抜け出せなくなる。
[ 2014/08/22 18:00 ] 経済社会 | コメント(1)

強いチームの5つの条件

競争力のない会社の利益はゼロになる。たとえ現時点では競争力があったとしても、何もしなければ他社に追いつかれてしまい、やがて利益はゼロになる。結局のところ、儲かり続けるためには、競争力を磨き続けるしかない。

競争力を磨き続けるためには、継続的にイノベーションを起こさなければならない。継続的にイノベーションを起こすには、強いチームをつくらなければならない。日本企業の長期的低迷の原因は、最終的にはここへ行き着く。

5_2014では、継続的にイノベーションを生み出す強いチームというのは、どのようなものか、今回は筆者の考える必要条件を以下にまとめてみた。

少人数である

イノベーションは大所帯の組織から生まれることは滅多にない。一方で、1人では、知識や経験、思考力が不足し、良いアイディアが思いつかない。イノベーションを起こすのに最適なチームの編成は、多くても5人くらいがちょうど良い。これ以上の人数となるとノイズが増え、むしろ効率が悪くなる。
[ 2014/08/14 18:00 ] 経済社会 | コメント(7)

真の医療・介護「改革」とは -「お荷物になるべからず」- 才谷彩加

現在の日本の財政状況が逼迫しているのは、誰の目からも明らかだ。諸問題で解決を急がれるものは多いが、中でも医療費改革は重要であろう。しかし、現行の改革案を目にすると、パッと見は綺麗だが、生命力を感じない造花に写り、「改革」という言葉に未来への活路を見出せない。そこで、医療に取り組む私の立場から、この問題の解決策を探ってみた。

少子化に加え、老人が増える中、医療費は年々かさみ、さらに財政を窮地に追い込む。これは日本だけの問題か?欧米諸国はどうなのか?これを調べてみると、興味深い記事が目に飛び込んできた。実は欧米では、寝たきり老人は少ないらしい。理由はシンプルで、年をとったら食事ができなくなるのは当然で、内服のみで対応し、胃瘻や点滴といった高度な延命治療は施さず早くお亡くなりになるからである。

国民が、これを当たり前のこととして認識しているのが、日本とは大きく異なる点であろう。お年寄りをいたわるという道徳的な日本のあり方は素晴らしい。しかしそれが、家族のプレッシャーになっているのも事実で「何もしなくていいから」と、その気遣いが、寝たきりの老人をかえって寝たきりにする温床にもなる。また、介護疲れから共倒れを招き、心中など痛ましいニュースも後を絶たない。

近年では、対策として安静よりも、軽い運動が推奨されており、ようやく生きることの意味を考え始めたようだが、これでは財政的なリミットには間に合わないであろう。日本の平均寿命は世界一だが、それに続く欧米と、さほど年齢がかけ離れているわけではない点も興味深い。
[ 2014/08/10 18:00 ] 経済社会 | コメント(8)

空振りしそうな政府の「イノベーション音頭」

「世界で最もイノベーティブな国はどこかですか?」という問いがあるとする。その答えは「米国」である。「理由は何故か?」と問われれば、それは「企業の収益性が最も高いから」である。これに異論を唱えることは誰にもできない。

日本が「技術立国」としてイノベーションと高収益性を有していたのは1960年~1990年頃までの話である。繊維に始まり、自動車、機械、半導体など、当時はまさに破竹の勢いであった。ところが現在は、米国の半分ほどの収益性しかない。

gladiator_hillary_2014かつての栄光から一転、先進国で最も収益性の低い国となってしまった理由は、意外にもシンプルだ。それは、世界のゲームルールが変わったためである。1990年頃から、イノベーションの主役が、「モノ」ではなく「コト」に置き換わってきた。

かつてのように「モノ」から付加価値を得られた時代には、日本人の農耕民族チックな習性がピタリと合っていた。「同質性への回帰」「事なかれ主義」「清貧の思想」などは、右脳を退化させ、「ものづくり」を行うには最適だった。そうして「規模の経済」を世界で最も享受してきた。
[ 2014/08/08 18:00 ] 経済社会 | コメント(5)

アベノミクスの背信者たち - 内需系企業は変われるか

「若い人が集められない」という声が日本の内需系企業で日増しに大きくなってきている。当初、このような現象は「建築業」や「運送業」で観察されていたが、やがてそれが「居酒屋」や「レストラン」にまで広がり、最近では「家電」や「小売」の経営者までもが「人手不足」に悩んでいる。

その一方で、製造業の請負・派遣業は人員が増加の一途を辿っており、時間当たり賃金は過去最高値を付けている。円安で攻勢に出ている外需系企業が、いち早く給料を上げ、やる気のある若者を確保していることが見て取れる。つまり、外需系が高い賃金で内需系の人員を奪い取っている、という構図だ。

inflation_Japan2014若者の本音を代弁すれば、「運送業」は疲れるし、「居酒屋」は夜のシフトが多いし、「家電」も土日が潰れるので割に合わない。同じ給料なら「カフェ」や「アパレル」などを選好し、高い給料を貰えるならば工場の生産ラインも我慢する。「時間を切り売りする」ことに関して、労働の供給者側である若者は、意外にも費用対効果をドライに考えていると言える。

このような状況の中、取材をしていて感じることは、内需系企業の経営者たちは、日銀とタッグを組んで円安誘導をしているアベノミクスに対して、あまり良い感情を持っていないということだ。「円安→輸入原価増→利益減→人件費を上げられない→労働力を確保できない→売上減→利益減」という悪循環から抜け出せず、政策の偏りに不満を漏らす。
[ 2014/08/01 18:00 ] 経済社会 | コメント(4)
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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