仙人の祈り

原油価格の暴落と中東勢復権の可能性

原油価格の暴落は、ロシア経済に飛び火し「逆オイルショック」とも言うべき信用不安の連鎖を想起させたが、中銀の政策金利引き上げや、為替介入、FOMCにおけるハト派的な文言の継続などにより、一旦は落ち着きを取り戻した。今後の動きが気になるところだが、その行く末を考えるにあたっては、今回の騒動の要因を「金融」と「実需」という2つの側面から見る必要がある。

まずは金融だが、リーマンショック後の先進国の度重なる量的緩和により、行き場を失ったマネーの一部は、原油先物市場に流れていた。事実、NYMEXとICEの原油先物市場における買い建玉(期近物)は、リーマンショックの前の約10倍に当たる50万枚まで積み上がっており、FRBが量的緩和策の終了を模索し始める中で、同市場は破裂寸前の風船のような状態となっていたのである。

oil_strage201412次に実需だが、政情が落ち着いたイラクとリビアが原油の増産を開始してきたため、この一年だけで世界の原油の供給は2.7%も増加した(需要は0.8%の増加のみ)。両国とも採掘のキャッシュコストは$40と、競争力の高い油田を保有しており、増産をすればするほど儲かる状況にある。近年の米国のシェールオイルに加えて、中東勢が増産をしたことで、世界の原油は供給過多に陥ってしまったのである。

このように量的緩和の逆回転リスクと、需給バランスの崩れが決定的となったことで、投機家にとっての絶好の攻撃のチャンスが出現したことが、原油価格の暴落を招いた主要因である。メディアは、世界最強の油田を有するサウジアラビアが、敵国やシェールオイルを潰すために減産を拒否していることが要因であると報じているが、それは勝手な想像に過ぎず、真偽のほどは明らかでない。
[ 2014/12/21 18:00 ] 投資全般 | コメント(13)

完全ではない民主主義の統治システム

『世界には40人しかいない』と、昔ある人から教わったことがある。ネットやメディアを通じて見る世界は、日々激しく変動しているように見えるが、自分を中心とした日常の世界には、実のところ40人ほどの出演者しかおらず、その他のものは背景画のようなものにすぎないことを比喩している。

私が衆院選を見ていて思ったことは、有名な政治家であっても、それはあまり変わらないということだ。後援会や支持者、その他大勢の関係者に取り囲まれていても、その人にとっての世界は、親族や親友、恩人、仇敵などの一部の登場人物しかいない物語であり、極論すると、その他は熱のない言葉や数字でしかない。

20141207民主主義、社会主義、独裁主義、血統主義など、どのような統治システムであっても、国民にとって望ましい為政者が続くわけではないことは、歴史が証明している。その人の本質を形成する40人との繋がりや関係性まで考えると、そのパターンは無限大に近く、どのようなシステムによっても管理することは難しいと言える。

民主主義は為政者を国民が選ぶことで、その思想的なアイデンティティーが保たれているが、注意しなければならないことは、それが常に絶対的に正しい選択であるとは限らないということだ。為政者が表立って約束していることの他に意図することがあったとしても、有権者がその真意を見破ることは、なかなかできない。
[ 2014/12/17 18:00 ] 経済社会 | コメント(4)

日本の経営者が知るべき「チーム」の力

「組織とチームの違いをご存知ですか?」と聞いて、まともに答えられる日本の経営者は、いったい何%いるだろうか。

往々にしてダメな経営者というのは、「組織」のことは分かっていても「チーム」のことは分かっていない。自分が組織の中での叩き上げで社長になったのだから無理もないことであるが、それでは海外の競合他社に勝つことはできない。

teambuilding201412組織というのは「営業部」とか「海外業務部」とかいったように「決められた仕事」を実行する部隊の総称である。一方で、チームというのは、会社が今よりも一段の競争力を上げるための開発や、イノベーションを起こすための「プロジェクト」を担当する人たちの総称である。

『その件については、社内のプロジェクトを立ち上げて、鋭意取り組んでいる』という言葉はよく聞くが、その「プロジェクト」にアサインする「チーム」はどのように築いたのかを問うと、現場に指示を出しただけで何も考えていないという経営者が多い。
[ 2014/12/07 18:00 ] 経済社会 | コメント(5)
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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