来年の世界経済の動向を考える上で、注目するべきは、やはり中国であると考えている。近年の急成長は、ある意味で歴史の必然と言えるもので、十分な土地と、人口をもった中国に、世界の工場としての順番が回ってきたことが要因である。
しかし、広州・深センのような第二次産業の集積地帯における工員の給与は、すでに3,000元/月を越えるレベルにまで上昇しており、その役割は、東南アジア諸国へとバトンタッチする時がきている。

途上国から中進国になることは簡単なことだ。安価な労働力、それだけで達成できる。だが、中進国から先進国になることは非常に難しく、それを明確に実現した国は日本しかないと言われている。
中国の識者たちは、日本の高度成長期になぞらえて、「この現象は当時の日本のこれにあたる」とパターン認識をすることで、次に起こる現象を予想しようとしている。だが、これはまったく、的外れなアプローチである。