仙人の祈り

EU首脳会議の内容の整理

先ほどのエントリーを書いた直後に、「某証券のツイッターでメルケル首相がユーロ圏の銀行の預金保護に合意した」や「WSJが非公式EU首脳会議で仏伊首脳がユーロ共同債を可能な解決策と述べた」などと噂が流れ、相場は一気に下げを戻しましたが、これについて私から補足を加えておきます。
まず、メルケル首相のコメントというのは出所も怪しく(まさかのツイッター?)、信じない方が無難でしょう。

ユーロ共同債発行の議論が進むとの期待が高まっているという方も、恐らくその可能性は低いでしょう。ユーロ共同債をドイツが簡単に受け入れる訳ありません。

ここで予想される議題を整理します。

まず、ファンロンパイEU大統領が、同会合の議題として用意していると述べているのは、あくまでもEUの成長戦略です。会合に向けて、事務方の欧州委員会が用意しているのは、欧州投資銀行の100億ユーロの資本増強や、同行が発行するインフラ整備プロジェクト向けの債権をEUで債務保証する案などです。これについて、EU各国の賛否を問う、というのが主な議論になると思われ、6月28、29日の正式会合(EU首脳会談)で最終決定を目指しています。ただし、これ自体は、ギリシャの資金繰りを直接救済するものではありません。

また、オランド・仏大統領など、フランス側が、ユーロ共同債を取り上げたいとの意向を先週末より示していますが、ドイツ側が議題として取り上げないとのコメントを出しています。準備期間が全くない状態で、ドイツの反対もあるため、EU諸国のシェルパ(事務方官僚)間による事前の調整がつかず、議案が出て来ない(議論されない)公算です。

そもそもは今回は非公式会談であって、6月28、29日の会合に向けての、準備会合の位置付けであるため、正式な共同声明やプレス向けスピーチが省かれる可能性が高いです。なお、23日は会合後に、EU首脳の夕食会が予定されており、そこで、「ユーロ圏の最近の展開」についてオープンな議論をする、としていますが、ここの場は、何らかの合意を目指すものではありませんし、協議内容は公表されません。この点についても、首脳たちの談話が出てくるかどうか、という所だと見られます。独仏などでギリシャ問題や財政規律に関する議論がすれ違った場合、メルケル独首相とオランド仏大統領でそれぞれ違った見解が表明されるでしょう。

今後のユーロ圏、EU関連日程
現在正式に予定されている会議は、以下の通りです。
6月21日:ユーロ圏財務相会合
6月22日:EU財務相理事会
6月28、29日:EU首脳会談
7月9日:ユーロ圏財務相会合
7月10日:EU財務相理事会

これらの日程が近づくたびに、ギリシャに対する救済策が提示されるのではないかとの期待が高まると見られますが、6月17日のギリシャの再選挙とその後の連立作業、新政権の財政赤字削減に対する対応を見ない限り、EU側から何かポジティブなアクションは出て来ない可能性があります。

昨年10、11月も、「EU関連の会合前に期待値が高まり、会合後に失望」という展開が見られましたが、同種の展開の可能性もあり要注意です。
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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