仙人の祈り

ユーロ問題の大本命、スペイン経済のリスク

私はかねてからスペイン経済が如何に深刻な状態にあるかを述べてきましたが、欧州ソブリン問題はいよいよ本命のスペインの問題に対峙せねばならなくなってきました。私の悲観的な見方は先日発表された1,000億ユーロ規模の同国銀行への救済策と、本日発表された銀行のストレステストの第一次結果を受けても、大きく変わりません。

スペインは、アイルランドが抱えた住宅バブル崩壊後の金融システム危機とギリシャやポルトガルが苦しむ経済競争力の劣化という問題を併せ持つ超問題児です。スペインに対する不安を軽減する材料として、多くのアナリストが比較的低い債務/GDP比(65%)をしばしば持ち出しますが、この数字を鵜呑みにしてはいけません。ここに未払いの政府債務、公的機関債務(例えば、公立病院の製薬会社への支払いの肩代わり保証)、将来年金債務、スペイン開発金融公庫が抱える債務、さらに銀行保証を加えて再計算すると、実質の債務負担はほぼ100%に達します。

既に同国金融機関の状況については、日を追って窮状が明らかになっており、銀行貸付のうち、既に貸付総額の2割以上が不履行状態にあります。

これに追い討ちをかけるのが、経済ファンダメンタルズで、政府もIMFもスペインの経済見通しについて楽観的に過ぎます。例えば、欧州向けが67%占める輸出について改善見通しを持つことは極めて難しいですが(相手国は1位フランス、3位ポルトガル、4位イタリア)、政府は来年以降7%増を見込むという甘すぎる試算をしています。

ギリシャ同様、若年層の失業率が50%に達している事実も見逃せません。持家比の高い(82.3%)同国では、当然ながら若年層家計の債務負担が恒常的に高く、失業問題はこの傾向をさらに後押ししています。加えて、欧州の中でも教育水準が低く、相対的に強いと呼べる産業はありません。

こうした構造問題を踏まえると、“実質的な”債務/GDP比は2年内には150%を越える可能性があり、外国人投資家がスペイン債を叩き売ってくるリスクがあります。今回の銀行救済だけでは、スペインを救うことはできません。
[ 2012/06/22 02:22 ] 投資全般 | コメント(3)
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[ 2012/06/22 06:03 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
いつもコメントありがとうございます。投資先を見る限り、KBさんはかなり経験豊富な投資家ですね。
私は巨大ファンドを運用する立場にあるので、他の方とは時間軸がちょっと違うかもしれませんが、現在はポートフォリオのベータを1以下にしているので、私も相場は下がってくれた方が楽ですね。ダウ構成銘柄で言えば、Disneyなどに強烈ベットしているので、相対的に助けてくれています。

相場はいつもわからないというのが本音ですが、株に関してはPERなどのバリュエーションが拡大することはないということには自信があります。今年度のS&P500のEPS成長率は7-8%がいいところですので、それ程上を見れるような状態ではないとは思っています。

引き続き要人のコメントによって一喜一憂するような相場をイメージしています。
[ 2012/06/22 07:16 ] [ 編集 ]
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[ 2013/12/13 11:21 ] [ 編集 ]
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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