仙人の祈り

連邦議会選挙の行方 - 民主党は下院を奪還できるか?(和訳)

▼民主党は下院を奪還できるか?

11月6日には大統領選挙と同時に連邦議会選挙も行われる。終盤を迎え議会選挙の注目点の一つは民主党が下院を奪還する可能性である。9月に入り主要世論調査機関による「generic ballot」下院選挙調査(特定の候補ではなく党派支持を聞く)で、民主党支持が増え、共和党支持と同率か1~2%ポイントリードするようになっていることで民主党の下院勝利説が一時広がった。

ギャラップ社がUSAトゥデー紙と共同で行った最新下院「generic ballot」調査(9月24~27日)では民主党支持率が47%、共和党が46%である。ギャラップ調査では今年5月には共和党が50%で44%の民主党を6%ポイント引き離していたが、1%ポイント差とは言え9月には民主党が逆転リードしている。またラスムッセン社の下院「generic ballot」調査(10月1~5日)でも民主党44%、共和党43%となっている。
▼容易でない28議席増

現在下院の議席配分は共和党240議席、民主党190議席、欠員5議席である。
下院の定員は435議席で、過半数の218議席を制するには民主党は28議席積み増さなければならない。ペロシ民主党院内総務は「Drive for 28」というスローガンを掲げて多数党返り咲き(ペロシ氏にとっては下院議長復帰)に向けた選挙運動を展開している。

しかし、大統領・議会選挙予想で定評のある政治世論調査専門家であるチャーリー・クック、ステュアート・ローセンバーグ両氏の下院選挙分析によると、民主党が過半数の218議席を確保するのはかなり難しい。クック氏の調査では共和党が優勢な選挙区は228で既に過半数の218を超している。民主党優勢区は183で、民主党が現在激戦区となっている24選挙区で全勝しても過半数には及ばない。

▼60年間大統領選挙年の下院逆転は皆無

ローセンバーグ氏の調査では両党の戦いは伯仲しているが、それでも民主党の過半数議席獲得は困難である。すなわち共和党の勝利確実な議席は200、優勢議席は22で過半数を超す計222議席確保は固い。一方民主党は勝利確実161、優勢17の計178議席で、残る35議席は接戦となっている。したがって民主党は激戦中の35議席を全て押さえても獲得議席は計213で、過半数に5議席足りない。

歴史的に見ても民主党には分が悪い。大統領選挙の年に下院支配が変わった年は1952年以来1回もない。94年に共和党が54議席上積みし1954年以来初めて下院で多数党に返り咲いて以降2010年の中間選挙まで下院選挙は8回あったが(この間民主党が多数党は07年1月~11年1月)、各選挙での民主党の議席増減数は96年2増、98年5増、2000年1増、02年7減、04年2減、06年31増、08年24増、10年63減である。8回の下院選挙中同党が議席を二桁伸ばしたのは06年と08年だけである。

▼新下院選挙区とオバマ不人気が障害に

今年下院奪還を狙う民主党に逆風なのは、2000年の国勢調査結果に基づき行われた下院選挙区の新区割りの約7割が同党に不利な結果に終ったことである。「ゲリマンダリング」とも呼ばれる下院選挙区の線引きは州議会が決めるが、共和党が州議会で多数を占める州が26州、民主党支配州は15州と開きがあるためだ。支持基盤の黒人やヒスパニック有権者の居住区を分断される等して地盤が弱体化した民主党議員が多い。

もう一つ、中間選挙と違い大統領選挙と同時に下院選挙が行われる年は、有権者の関心は基本的に大統領候補に集中するため、再選を目指す現職大統領であれ、新人候補であれ、大統領候補が不人気だと当該党の下院議員候補も有権者から敬遠、拒否される傾向が強い。

逆に自党の大統領候補が強く、支持率も高ければ、その勢いに乗り下院議員候補が有利に戦え、当選率も上がる。これを「coattail」と称するが、今年は民主党のオバマ大統領への支持熱が冷め、失政批判も根強く、大統領の応援演説を頼む民主党下院議員候補はほとんどなく、「coattail」勝利を期待できる状況にはない。オバマ氏がロムニー共和党候補との初ディベートで敗北したのは下院民主党には痛手が大きい。

一方上院選挙では現在47議席の共和党が2~4議席増やす見通しとなっている。今年の上院改選議席は33で、その内共和党は10議席と少ないから基本的に有利だが、スーパーPAC資金を投入した選挙合戦は激化しており共和党が過半数の51議席に達するかなお流動的である。確実なのは民主党が多数を維持しても、共和党が奪還しても、フィリバスターを阻止できる安定多数の60議席を制する見込みはない点である。
[ 2012/10/12 23:13 ] 経済社会 | コメント(0)
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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