ファンドマネージャーである私が言うのもなんだが、日本で販売されている投資信託の9割は詐欺に近い商品であり、買ってはいけない。
巷では投資信託の広告や勧誘で溢れかえっている。証券会社や銀行がやたらと投資信託の購入を勧めて来るはずだ。「プロのファンドマネージャーが運用する」「小額でリスクを抑えた分散投資が出来る」「これから注目の投資テーマに投資できる」「配当が毎月もらえる」などが宣伝文句であるが、これらはすべてが善良なる個人投資家から資産を搾取するための罠であると考えてよい。
理由は主に以下のようなものがある。
1)コストが高すぎる。投資信託は購入時に2-3%の販売手数料を販売会社に取られる。そして年間1%程の運用報酬を毎年取られる。更に途中で解約した場合には、迷惑料として1-2%を支払う必要がある。この世界的に低金利の時代に、これらのコストを支払って余りあるパフォーマンスを出せる投資信託(ファンド)など、世の中に数える程しかない。
2)実力のあるファンドマネージャーが運用していない。ファンドマネージャーは世の中に数多くいるが、実力があるファンドマネージャーはそれ程いない。日系の大手の運用会社はほとんどが証券会社や保険会社の傘下の運用会社であり、ごく普通のサラリーマンである。彼らのインセンティブは低く、故に向上心がない。また、大きなリスクを犯して大負けしてしまうことを恐れて、リスク&リターンが小さくなるように行動する傾向がある。
3)設定時が相場のピークであることが往々にしてある。最悪のファンドの形態の一つである「テーマ型ファンド」の多くは、すでに誰でもそれを知っている程にブームを迎えた状態で設定される。例えば、新興国の株が爆騰して話題となった頃に、「これからは新興国の株の時代だ」と言って新興国へ投資するファンドがローンチされる。ファンドマネージャーの先見性がないことと、ブームになっているテーマの方が一般投資家受けがよく、売りやすいからだ。
4)四半期分配や毎月分配という詐欺。「このファンドからは配当が頻繁に出る」という謳い文句のファンドがよくある。しかし、その配当の原資は投資先の企業から得た配当金ではなく、投資信託の元本から拠出されていることがほとんどである(業界ではこれを"タコ配"と呼ぶ)。基準価格が10,000円のファンドが翌月10円の配当を出したとする。他の条件が何も変わっていないことを所与とすると、次の日の基準価格は9,990円になるだけである。ファンドの分配金は(税金を考慮すると)投資家にとってマイナスの効果しかもたらさない。
以上のように、投資信託とは個人投資家からお金を搾取するための商品でしかない。一部の独立系の運用会社などでは、長期投資に資する良質な投資信託を販売していることもあるが、そのようなケースは稀だ。投資を行いたければ、直接現物を買うのがよい。営業マンの身勝手な誘いに騙されてはいけない。
himote