日本の国民年金は「賦課方式(通称;仕送り方式)」と呼ばれる制度で成り立っている。つまり、年金受給者へ支給されているお金は、現役世代の保険金から賄われている。
現在の国民年金制度に対する疑義の多くは、この仕組みに由来していると言える。焼け野原となった戦後の日本では、この方式しか選択の余地がなかったというのが本当のところだが、仕送り方式の国民年金は労働者が伸び続けることを前提としているため、現状の日本ではどうしても世代間不公平が生じることになってしまう。
国によれば終戦の年(1945年)に生まれた人で、平均寿命まで生きた場合、負担額の5.8倍(230万円を納めて、1,300万円を受け取る)の年金がもらえる計算となるが、現在35才未満の人は同1.5倍以下にしかならないという。
これらのことを知ってか知らずか、年金の未納者は25才-35才の若者に最も多く、全体では労働者の5%が未納となっている。「どうせ自分たちがもらう頃には、年金システムが破綻している」というのがロジックであろうが、結論から言うと、国民年金システムが破綻することはなく、むしろトータルでは未納者の方が損をする可能性が高い。
確かに、未納者が保険料を支払わないと、その分は高齢者に回る資金が不足してしまう。しかし国は将来の年金の支払いに備えるために「年金積立金」と呼ばれる200兆円の潤沢な資金を持っている。そのため、国は未納者によって生じた不足分は「年金積立金」を利用して、高齢者に支払うことになる。そして未納者には将来年金を支払う必要がないため、基金としては損はしない仕組みになっている。
また2009年から、若年者層の負担を軽減させるため、高齢者に支払われる年金の半分が税金から支払うように仕組みが変更された。つまり未納者は、消費税などの税金は国に支払っているのに、国から年金をもらうことができないため、結局、税金の払い損になってしまう。
この他にも、保険金は税額控除されるという税制メリットや、「障がい基礎年金」、「遺族基礎年金」のオプションが付いていることなどを考えると、現状では納付者の方がメリットがある。ちなみに、民間生命保険会社が提供している私的年金はもっと利回りと条件が悪く、それこそ詐欺商品である。
現在は現役世代が16,000円を毎月払い、65才以上の受給者が66,000円をもらっている。ただし、あと15年程すると団塊の世代が寿命を迎えるため、負担額が山を越えることとなる。このため、現状程度の納付と支給金額であれば、何とか制度の維持は出来そうだ。
(追記)保険金を納付していない生活保護受給者が、保険金を支払ってきた人と同等の保護を受けられるというのは、正直どうかと思うが、、、。