仙人の祈り

横並びの意識は何処から生まれたのか - 癒えない戦争の傷

日本人の横並び意識が、国際社会での競争力を阻害しているという論調があるが、そもそもそれは何処から生まれて来たものなのか。

社会学の学者などは、江戸時代の士農工商システムがその原因だと言うが、この論理には違和感がある。

何故なら、明治、大正、昭和初期の文学や絵画などの芸術は、明らかにエッジが立っており、横並びの社会を風刺したような表現はどこにも見られないからだ。

この時代は努力さえすれば、何にだってなれるという希望と高揚感に満ち溢れており、抜きん出ることを抑圧する風潮など、その片鱗すら見られない。

Aozora_1948.jpg大きな変化が見られるようになったのは、1930年代の後半くらいからだ。この頃から、戦争のため、国家があらゆる手を尽くして国民から感情を奪い去り、人と違う考え方を危険視し、互いに監視しあうシステムをつくり上げていった。

日本政府は、もともと敵地でのスパイ活動や情報操作が百万の軍隊に勝る力を持っていることを知っており、国民感情をコントロール術を研究し尽くしていた。それが自国民に対して執行されたというのは、戦争が生んだ悲劇の一つであろう。

泥沼の戦争によって日本は多くの人命を失い、国土は憔悴しきり、経済活動を完全に振り出しに戻した。ところが、人々の考え方は元には戻らず、軍事政権によって作られた統治システムも、その枠組みが戦後にまで継承された。

知ってのとおり、日本経済はその後脅威的な復活を遂げた。戦時下の政府は兵器製造に極端に偏った社会資本の配分をしていたが、皮肉なことに、このお陰で日本は製造業の技術力が蓄えられていた。戦闘機の技術者が車の設計を行い、造船工が高精度なタービンブレードを製造した。

しかし、戦後の貧しさを抜け出してもなお、日本人は戦時下の思想を引継ぎ、第二位の経済大国にのし上がってもなお、人々は軍隊のような社会システムを維持していた。

役人が偉く、民間人は彼らの言うことには決して背いてはいけないという日本独特の風潮も、今日に至るまで本質的には変わっていない。

日本人は歴史的には、リベラルな期間の方が圧倒的に長い。そうでなければ、これ程までにオリジナリティ溢れる、洗練された文化を生み出して来なかったはずた。

粋であったり、歌舞いたりすることを良しとする社会であったに違いない。いったいどうすれば本来の思想に戻れるのか?戦争はとうの昔に終わっているのに。
[ 2012/12/05 19:00 ] 経済社会 | コメント(2)
農地改革頃からではないかと・・・
日本や他国を見ても、歴史に残る芸術や音楽や建造物の発展した時代には、国王や裕福な王族など、絶対的な存在が後ろだてにあったような気がします。
日本は、戦後の農地改革で、これまでの地位や財産、土地までも奪われ、余裕を持って暮らしていた人が地に落ちました。
そういった環境で威張っていた人は貧困に喘ぎ、逆に下に見ていた人に助けられたりして、「平均」でいることが生きやすい時代に入ってしまったのではないのでしょうか???
今の日本は超財政赤字で、富裕層から税金をとることに力を入れてるようなので、こういった時代に、余裕のある芸術は生まれにくいような気がします。
でも、AKBとか、逆におたっきーな人達には、黄金期なような気がしますね(^^;
これも振り返ると、歴史の一つになるんでしょうかね。
それでも、サバンナのように、肉食の人は少数でもいるわけで、この世で生きにくさを感じながらも虎視眈々と時代の流れを待ち続け、読んでるような気がします。
いつか分かりませんが、時代はくるくるとまわって、また同じような時代がくるのではないか・・・と、私は思います♪
(・v・)←肉食系寄りの雑食系


[ 2012/12/05 21:24 ] [ 編集 ]
Re;
るんさん、コメントありがとうございます。

非常に素晴らしいコメントを頂きました。当ブログによくコメントを書いてくれる方々は、どうして皆さん博学な人達で、頭が下がります。

農地改革は確かにとてつもない改革でしたでしょうね。実は小松原家もGHQにほとんどの土地を召し上げられてしまい、小作人とまったく同じ土地しか残してもらえなかったそうです。

途中からスーパー庶民になってしまった祖母は未だにそのことを不満に思っているようですが、戦争によってガラガラポンになり、既得権が是正されたのは良いことだったと言えそうですね。

貧富の差がなくなったことと、横並び意識が高いことは、かなり関係が深いでしょうね。今はまた、地盤沈下が置きて貧富の差がで始めてきており、若者程、破滅願望者が増えています。破滅すれば、また横並びの時代が来ると分かっているからでしょうね。

肉食系の方々は、やはり外貨建てで資産を持つべきですね。
[ 2012/12/05 22:01 ] [ 編集 ]
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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