仙人の祈り

バフェットの投資哲学 - 消費者独占力

2011年の暮れ、世界一の投資家であるウォーレン・バフェットは、投資先企業の工場の完成式典出席のため福島県を訪れた。

もちろんこれは、彼自身が日本を訪れることで、世界中の人に日本経済にはバリューがあるというメッセージを発信し、震災でダメージを受けた人々を関節的に支援しようという意図がある。

buffet1.jpgメディアは日本企業の低成長や、株主還元の弱さに加えて、オリンパスのようなガバナンス問題に関してバフェットへ質問を投げかけたが、彼は「日本株は割安であることに変わりはない」とコメントした。

バフェットの発言は市場関係者にとっても一筋の光明のように捉えられた。事実、バフェットの投資会社であるBerkshire Hathaway(バークシャー・ハサウェイ、時価総額18兆円)はその後、日本株への投資を増やした。しかし、それは中小型株を中心に少額にとどまっており、ここに彼の本音が現れているとも言える。

ところで、バフェットが投資する会社とはどのような会社であるのだろうか。その根幹となる考え方を、私なりに要約すると以下のようになる。

1. 消費者独占力を持つ商品・サービスがあるか
2. インフレを価格に転嫁できるか
3. EPS(1株あたり利益)が力強い増益基調にあるか
4. ROE(当期利益/株主資本)は十分高いか
5. 多額の負債を抱えていないか
6. 利益の再投資が、収益性の拡大につながっているか

バフェットというと、コカ・コーラへの投資がわかりやすい(バークシャーは現在もコーラの8.9%を保有する筆頭株主)。上記の項目と照らし合わせると、すべてに合致することがわかる。
例え世界で何があろうとも、誰だって喉が乾く。そこで清涼飲料で圧倒的なシェアを持つコーラへ投資する、というシンプルな考え方だ。

ここからもわかるように、バフェットの投資対象となり得る会社は、日本の大型株にはあまりないことがわかる。消費者独占的でROEの高い大会社が、デフレ下の日本で生まれる訳はない。

例えばトヨタは自動車でGMと並ぶ世界トップの企業だが、自動車そのものが、代替不可能なものではなく、移動する手段なら他にもたくさんある。

任天堂もゲーム機で世界一のシェアを持つ企業であり、これまでいろいろな遊び方を提案してきた偉大な企業ではあるが、ゲーム業界は競争が激しく、今後も成長する保証はどこにもない。

一方で、カミソリの大手ジレットは、地味だが世界で圧倒的なシェアを持ち、あの価格であの切れ味のカミソリを大量に作ることは他社にはもう出来ない。世界的な不景気がやって来ても、男性のアゴからは毎日ヒゲが生えてくる。バフェットはこういう会社に投資をするのである。

故に、日本で投資対象になる企業があるとすれば、ニッチ産業のトップ企業となるだろう。医療用の針や、卵を割る機械や、寿司ロボットなど、それぞれが極めて小さい市場だが、とは言え必ず必要なものを作っている。バフェットのような一流の投資家がワクワクするのは、むしろこういった企業であるだろう。

証券会社の営業マンやアナリストは「今こそトヨタを押し目買い!!」などと言ってくるだろうが、無視した方が良い。彼らは出来高の大きな会社をお客に売ったり買ったりしてもらう方が儲かるから勧めて来るだけであって、お客のことなど考えてはいない。

また、バフェットは市場参加者の95%は「近視眼的」であると批判する。私も以前に書いたが、相場には3匹の動物が存在する。ブルとベア、そしてカモだ。目先の株価の変動に一喜一憂する投資家には、一生資産形成は成らないだろうと彼は断言する。

個々人が四季報やホームページを見て研究し、ファンになれそうな会社に長期投資する。日本株への投資をする際に、バフェット流の投資哲学を参考にしてみてはいかがだろうか。

低迷する日本株市場の中でも、唯一上がっているのは小型株インデックスだけである。お宝があるとするならば、必ずここに眠っている。
[ 2012/12/09 18:00 ] 投資全般 | コメント(2)
ぇえ?
来たんですか?
( ̄▽ ̄)←福島県民なのに!

投資の神様のような方ですよね。
タッチくらいしてくれば良かった…
[ 2012/12/10 19:50 ] [ 編集 ]
るんさん、コメントありがとうございます。

福島県民なんですね。地震も経験していない私が言うもなんですが、きっといろいろなご苦労があったんでしょうね。

バフェットが福島へ訪問した時の記事です。↓
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20111122-OYT1T00317.htm

仰るように、投資の神様です。世界で2番目の資産家ですが、給料は普通のサラリーマン並みで、自分の資産は死後、慈善活動に使うように指示されています。米国では、真のセレブとして、国民的に尊敬されている人物です。
[ 2012/12/10 20:19 ] [ 編集 ]
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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