仙人の祈り

ITテクノロジーの驚異 - 高度化する地下組織(その1)

テクノロジーの進化は我々の暮らしを豊かにしてくれるが、それは常に諸刃の剣である。

日本人はそれ程驚異と感じていないかも知れないが、IT技術の進歩によって、我々は知らずのうちに大きな犯罪の被害者となるリスクが高まってきている。

タージマハルホテル2008年11月、174名が犠牲となったムンバイ同時多発テロでは、テロリストがインド社会の富裕層ばかりを狙った事件として世界を戦慄させた。しかし、この事件の裏にはもう一つの側面がある。

テロリストがタージマハル・ホテル最上階のスイートルームで隠れている人物を見つけて詰問をすると、男は自分は単なる高校教師であり人違いだと訴えた。しかし、テロリストはその言葉を意にかけず引き金を引いた。

インドで2番目の大富豪であったその被害者は、FaceBookで顔写真を公開しているばかりではなく、自身の行動パターンを記載していたのである。FaceBookはテロリストに計画の遂行を決定づけるツールとなっていたのである。

実名登録・実写真登録が原則となっているFaceBookは、使われ方によっては極めて危険な存在となる。この他、TwitterやLINEなどのソーシャルサービスや、オンラインゲーム、オンライン銀行・証券、Googleなどにも我々は個人情報を提供しているが、本当にその情報が守られたものであるかどうかは担保されている訳ではない。

テロリストにとってはこれらの情報には千金の価値がある。最近でも、セキュリティの甘かったソニーのゲームサーバーがハッキングされ、20万人の個人情報が盗まれるという事件があったが、これは氷山の一角でしかない。
恐ろしことに、ITテクノロジーの進歩によって、一つの犯罪がとてつもなく規模の大きなものとなっている。今や一人のハッカーが、数十万人から情報を盗む時代である。特にサーバーがクラウド化されているSNSやゲームはセキュリティが弱く、ハッキングされやすい。

犯罪者集団にはメキシカンマフィアのように、国家レベルのITテクノロジーを有する組織があり、もはや国単位で、それぞれの法律で取り締まることには何の意味もなさない状況に陥っている。

彼らは麻薬密売だけではなく、優秀なエンジニアを雇い、あらゆる情報犯罪のための投資を行っている。盗聴を避けるために、独自の電波棟を保有し通信ネットワークを築いている程である。メキシコ警察では歯が立たない。

日本も同様だが、取り締まる側のITのレベルが低く、この手の犯罪に対しては全くの無防備な状態となっている国が多い。情報犯罪組織に取っては格好のターゲットだ。日本のサイバー警察も民間のプロを採用し、対抗できる戦力を保持する必要があるだろう。
[ 2013/01/06 18:00 ] 経済社会 | コメント(0)
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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