仙人の祈り

相続資産大移動 - 都市部の団塊の世代へ集中

日本の家計の貯蓄率は労働人口が減少に転じた98年から減少の一途をたどっているが、同時に個人金融資産もそれまでの増加が終わり、00年からはほぼ横ばいとなっている。

これらの要因は、不景気ということもあるが、高齢者が貯蓄を取り崩し始めていることが大きい。今後は日本の個人金融資産は、高齢化のため緩やかな減少を始めるだろう。

猫の三世代今後は寿命を迎えて亡くなる高齢者の増加が予想され、その相続資産の規模は毎年50兆円程ある。これは実物資産と金融資産の合計値であるが、金融資産だけで見ても今後10年で合計300兆円以上の資産が次世代へ引き継がれる。

地域間の資産移動の影響も大きい。50-60歳代は田舎から上京し、東京で働いている人口が多い。

このため、埼玉、千葉、神奈川、名古屋、岐阜の順に資産流入があり、東北や中国、四国、九州地方の資金流出が顕著になることが予想されている。
これまで地銀はゆうちょ銀行からの乗り換えの動きにより預金残高を増やして来たが、今後は恐ろしいスピードで預金流出が発生し、場合によっては経営破綻となるリスクがある。

これまでの日本は政府の赤字を家計の貯金が賄ってきた。家計は金融機関を通したものを入れると324兆円の国債を保有し(国債残高の34%)、163兆円の株式を保有する(全上場株式の29%)。

これらのうち3割を70歳以上の高齢者が保有しているが、50-60歳代にすべて相続されると仮定すると、この世代が日本の金融資産の6割強を持つという異常な偏りを見せることになる。

資産を受け継いだ50-60歳代が、国内の消費や投資に使用するなら問題ないが、もしこれらの資産を海外投資へ向けた場合には、政府はファイナンスができなくなるリスクもある。

一方で、彼らが余生で大量の消費を行ってくれれば、大きな景気底上げのパワーとなる。

何れにしても高齢者の資産相続は日本経済を占う上で重要なファクターとなるであろう。企業にとってはシニア向けサービスに新たなビジネスチャンスがある。
[ 2013/01/14 18:00 ] 経済社会 | コメント(0)
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筆者紹介

check 小松原 周 (あまね);

ファンドマネージャー・アナリスト。日本株(東京)や米国株(ウォール街)の経験が長く、取材した会社は5,000社を超える。徹底したリサーチと業績予想に基づき投資判断を行うファンダメンタリスト。

*ブログ記事は、どのような場合であっても個別銘柄の投資判断に関して述べることはありません。

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