仙人の祈り

500円玉について考える - 最も得した企業はどこか?

日本人にとっての500円玉の価値について少し考えてみた。

500円札500円は昔は岩倉具視が描かれた立派なお札であったが、1982年に硬貨に格下げされた。当時のインフレ率や国の勢いを考えると、500円ごときはコインが相応という感覚だったのだろう。

だがその後、バブルが崩壊し、日本はまさかの長期的デフレに陥り、500円玉の経済的な価値は一転して上昇していった。政府・日銀の完全なる読み違いである。

そのことは2000年に発行された新500円玉によく表れている。どこの国に斜めから見ると透かしが入っている硬貨があるだろうか?微かに黄金色に輝く新500円玉を見た時、国民は500円の存在が格上げされたことを無意識下に焼き付けた。

このような幾つかの決定的な読み違いによって存在する500円玉は、世界のメジャー通貨の中で最も高い硬貨として存在している。
「ワンコイン」という言葉は「たかだか硬貨1枚」というお買い得感を伝えるキャッチコピーとして定着した。しかしデフレの鬼と化した企業は激しい値下げ合戦を繰り広げ、500円という価格帯はむしろ主戦場となった。

松屋では、牛丼並に豚汁と卵を付けるとピッタリ500円(税込)となる。弁当屋やレストランも、激安ランチとして500円は重要な価格帯である。一般開放されているMKタクシーの社食では500円バイキングなるものまで存在する。

ITサービスでも500円は重要な分岐点となっている。ココナラというサービスでは、様々なスキルを持ったプロが500円で仕事を提案している。

ニコニコ動画のプレミアム会員は月額500円であるし、エイベックスがドコモ向けに提供する映画チャンネルのビデオストアや、同じくソフトバンク向けに提供するUULA(ウーラ)も月額500円で映画見放題である。

消費税の段階的な引き上げが予想される日本では、各社の出方が気になるところだ。500円(税込)を維持して気合いを見せるか、収益を重視して500円(税別)で妥協するかは、経営者も悩むところだろう。

ちなみに米国では$20札が日常で最も意識される紙幣であり、$5札はスルーされている。小渕元首相は米国に習って、2,000円札を発行したが、まったくもって定着せず、すぐに世の中から抹消された。

日本の景気浮揚策にあきれたNYタイムズからは「冷めたピザ」という捨て台詞まで吐かれる有様で、首相は心労のため倒れてしまった。

日本の通貨政策はことごとく外れており、今では新500円玉にその残骸が残る。ワンコインによる価格競争は消費者には有難いことであるが、デフレ経済の中では結局は誰もメリットを受けていない。

coach coin waret私の知る限りメリットを受けたのは米国最大のブランドであるCoach(コーチ)だ。コーチにとって日本は最も収益性の高い地域であるが、その理由は粗利益率が80%もあるお財布(小銭入れ)が飛ぶように売れているからということは、あまり知られていない。
[ 2013/01/18 18:00 ] 経済社会 | コメント(0)
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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