仙人の祈り

最先端のビジネスモデル - キーワードは体験産業

経済の歴史を遡ると、それは「コモディティー」から始まる。野菜、動物、鉱物など、基本的に自然から取り出すようなものを売買することが最初だ。

しかしその後に産業革命がやって来て、「商品」が経済の主要な提供品となり、コモディティーは商品をつくるための原料となった。産業経済の始まりである。

中国生産ライン更に最近の50-60年で起きたことは、商品のコモディティー化である。誰がそれを作っても同じものであり、気になるのは値段が安いかどうかだけである。

商品までコモディティー化した世の中で、新しい進化は商品をカスタマイズすることで新しい価値を生み出す商売、つまりサービス経済が生まれた。

しかし近年ではサービス産業ですらコモディティー化が始まっている。携帯電話、ファーストフードレストラン、ネット販売などは、商品としてだけではなく、サービスとしてもコモディティー化されている。誰がそのサービスを受けても同じものであり、気になるのは値段が安いかどうか、である。

次に起こるのはこれまでのパターンから言うと単純だ。つまりサービスのカスタマイズ化が最先端を行くこととなる。

ディズニーランド ロサンゼルス特定の人にピッタリと合った、カスタマイズされたサービスを提供した場合、「すごい」という感想が返ってくるだろう。それは忘れられないイベントとして記憶に焼く突き、つまりは「体験産業」とでも言うべきものになる。
業績が絶好調に推移している東京ディズニーランド(オリエンタルランド)は体験産業の最先端を行っている会社と言えるだろう。

ウォルト・ディズニー本人がここまで先読みしてビジネスを構想していたかは別として、「ディズニーランドは完成することはない」という言葉は、まさにサービスがカスタマイズされ続けることをよく表した名言であると思う。

オランダの干拓地欧州人はディズニーランドをよくバカにする。「アメリカ人はあの幻の世界、まやかしの魔法の王国で満足する連中だ。欧州人はリアルでナチュラルな本物の体験が好きなのだ」と言う。

しかし欧州人の言うナチュラルも、ある意味ではまぼろしである。古代の森を裸で歩いているならともかく、靴も、服も、携帯電話も人工物であり、100%ナチュラルな体験というものは存在しない。

オランダ人にナチュラリストが多いというデータを見て、よく言われるジョークがある。それはオランダという国そのものが、すべて海から干拓した人工物であるからだ。オランダ人は森の木が一列に整列している様子を見て美しいと言うが、それは巨大なディズニーランドとどこが違うのか?、という訳である。

つまり、体験産業においては、ナチュラルかどうか、本物か偽者かということはどうでもよく、自分にピッタリのサービスを受けて感動できるかどうかというところが重要になってくるということだ。

偽iPhone5中国人はパクリ商品ばかりを作るが、最先端の体験産業においてはこれは肯定されるべきものかも知れない。

偽物のiPhoneであっても、買った人がそれで感動するのであれば、それ自体は十分に価値のあるカスタマイズされたサービスと言えるからだ。

スターバックスはこの考え方の申し子のような企業と言えるだろう。彼らは広告というものを一切しない。「知りたかったら、ここにきて体験して下さい」と言う。彼らは体験産業が最先端にあることをよくわかっている。

コーヒーが、「コモディティー」の豆として扱われる場合、コップ一杯当たり3セントの価値しかない。しかしそれを焙煎してスーパーで売ると、15セント程度の「商品」になる。それを普通のお店で淹れて提供すると一杯で1ドルの「サービス」になる。

スターバックス一号店しかしそのコーヒーをいれる場所を、シダー材使用した内装、フカフカのソファー、気さくな店員の対応があるスターバックスの雰囲気で囲むと、その体験だけで2-5ドルの値づけが出来る。

お客は本物の一杯のコーヒーという「体験」に対して対価を支払っているのだ。体験を売って付加価値を得る場合、売値は飛躍的に上げられる。

投資をする際には、その企業がどの経済ステージの中でビジネスをしているのか、意識して見ると面白い。キーワードは体験を売っているかどうかである。
[ 2013/02/01 18:00 ] 投資全般 | コメント(1)
Re: ふーん
るんさん、コメントありがとうございます。

応援のメッセージありがとうございます。ブログを書き始めた理由は自分自身の頭の整理やメモという意味合いもあります。読者に受けることのみにフォーカスするならば、私の本業に近い話をすればよいのかも知れませんが、まあそれはやはり違うと思ったりもします。

私の場合は無数にある金融系のブログと違い、リアルにプロの投資家なわけです。そこら辺の難しさがありますね。まあ、楽しんでお付き合い頂けるるんさんのような読者がおられるのが、書くモチベーションになってます*・*・'(*゚▽゚*)'・。

ちなみに当ブログは永年無料ですので、ご心配なく笑。
[ 2013/02/03 09:49 ] [ 編集 ]
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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