仙人の祈り

イノベーションは現場で起きている - オープン経済という考え方

イノベーションは会議室で起きているのではない。現場で起きてる。

多くの大企業は、発明というのはクローズドな研究室で、その道の専門家が時間をかけて行うものだと考えている。研究者は、それが何を目的とした発明であるのか事前に知っており、完成品をパイプラインで消費者へ届けて、彼らが受け取れば「成功」と見なされた。

しかしこのような考え方はもう古い。先進的なアイデアというのは研究所から生み出されるのではなく、消費者の中にいる数多くの専門家から、突如として生まれることの方が多い。何故なら、人々に影響を与えるような発明というのは、往々にして、最初は何に役立つのか分からないという場合が多いからだ。

最初の有線電話は、発明者にとっては遠くの劇場の音声をライブで聴くための器具であった。無線通信会社がSMSを発明した時も、ある小さな情報を一方通行で届けるだけで、何に使えるかは分かっていなかった。この技術を電話やSMSメールという発明に変えたのは、両方とも野に潜む10代の若き専門家であった。

Linux大企業は、知識の普及はせず、むしろ特許という障壁を巡らし、点と点が繋がることを阻害する。彼らは、独占を打ち負かす唯一の競争相手が、野から湧き出るイノベーションであることを知っているからだ。クローズドな世界で作られたMicrosoftが、オープンな世界で改良が続けられているLinuxを執拗に攻撃するのはこのためだ。
最近の流れとしては、このようなクローズド vs. オープンの流れの中で、この中間の世界にチャンスを見出した人々が成功している。近年ブレイクした、Web2.0系のインターネットサービスやソーシャル系のゲームなどは、この典型例であるだろう。つまり、オープンな世界をクローズド化(組織化)することで、両方のいいとこ取りをしたわけだ。

ティモシー・チェンは"盛大(shanda)"という中国最大のPCゲーム企業を立ち上げた人物である。現在3億人の加入者がおり、常時4百万人がプレイしている。盛大のゲームの特徴は、ユーザーが自分で登場人物をつくり、ゲームの中のコンテンツも、大部分をユーザーに作ってもらうことにある。

盛大盛大はルールや規則や道具や場所を提供するプラットフォーマーに徹しており、故に社員も500人しかいない。400万人の内の1%がアイデアを提供する開発者になれば、4万人のクリエイターを抱えるのと同じである。彼はオープンなリソースを組織化することに専念することがベストと考えたのだ。

日本でも価格コムや食べログ、クックパッド、ニコニコ動画など、コンテンツそのものをユーザーに作ってもらい、会社はそれを組織化することに徹している成長企業が多い。04年に言語化されたWeb2.0という概念だが、これを体現した企業は、現在でも高成長を維持している。(チェーンメールで押し売りしてくるEC企業はクローズドなネット企業であり、この対極にある。)

民間だけではなく、国も同様の考え方で、効率性を高めることができるはずだ。例えば、教育の場合 、生徒の1%が教育の提供側に回れば、サービスの向上につながる。元気な高齢者の1%が医療サービスの手伝いをしてくれれば、国費の削減ができるであろう。

世界をオープン化された市場と見なせば、イノベーションもコンテンツを提供者も、飛躍的に増加させることができる。ケインズ経済学のように、消費者が需要し労働者が供給するという従来の考え方は、とうの昔に過ぎ去っているのである。

私が勝手に名付けるが「オープン経済学」のような新ジャンルが実態経済を把握する上で必要である。マクロ、ミクロ、需要者、供給者などで分けている経済学などは、頭の堅い学者の能書きでしかなく、実態経済を把握するには不十分である。
[ 2013/02/07 18:00 ] 経済社会 | コメント(2)
オープン、必要ですね~
どちらの世界にも属してましたが、社会に出て痛感したのは、研究オンリーのヒトは、自分も含めて、プライドだけは高くある意味カタワだと思いました。

理想はアメリカのように社会に出て世の中見てから研究に戻る方が、機器も使いこなし素晴らしい実績が出ると思います…が、ネックはやはり資金ですね( ̄▽ ̄)
その流れ、仕組みを国と企業が作ると、小松原さんの仰るように、発展が加速するのにな~と思います。
軍費よりも、税金の一部をココに投資し、足元から強い日本にして欲しいですね。

あ、謹慎してないし♪(´ε` )
[ 2013/02/08 09:35 ] [ 編集 ]
Re: オープン、必要ですね~
るんさん、コメントありがとうございます。

両方経験された方というのは、強いですね。1人の知恵よりも、100人からの知恵の方が優れていて当然ですから、ネットやデジタル機器の普及によってそれが加速されてしかるべしでしょうね。

投資でいっても、株価というのはそれこそ何万人の知恵でプライシングされているので、それなりに正確に株主価値を表していると私は考えています。
[ 2013/02/08 12:01 ] [ 編集 ]
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筆者紹介

check 小松原 周 (あまね);

ファンドマネージャー・アナリスト。日本株(東京)や米国株(ウォール街)の経験が長く、取材した会社は5,000社を超える。徹底したリサーチと業績予想に基づき投資判断を行うファンダメンタリスト。

*ブログ記事は、どのような場合であっても個別銘柄の投資判断に関して述べることはありません。

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