「ザッカーバーグ氏とミーティング」でFaceBookがIPOをした時の話を書いたが、その後の展開は概ね予想通りのものとなった。私がFaceBookの公開価格が高すぎると発言したことで、半ばミーティングが強制終了となったのは事実であるが、その前にこういった質問もしていた。
「貴方がFaceBookで作り上げた独自の仕組みとはどういったものか?。私は少なくとも8年前からOrkutというSNSを使っていたし、日本では誰もがMixi、GreeというSNSを利用している。御社の独自性はどこにあるのか?」
残念ながら、その時の回答としてはオープンソースであることや、他言語対応していることなどしかなく、予想外の話というのは聞かれなかった。それは言わなかったのではなく、本当に何もなかったのである。
ネットサービスの浮き沈みは早い。FaceBookはすでに先進国ではアクティブユーザーが減少し始めており、成熟期に入っている。「SNS疲れ」という言葉がそれをよく表しているが、実名登録で職場の人とつながり始めた時点で、若者にとってはFaceBookの魅力は減退し始めているのである。
私が言いたいのはFaceBookはSNSのデファクトであり続けることには変わりはないが、単純なSNSというジャンルそのものがもう成長の限界を迎えているということだ。
FaceBookはNYから東京、仕事関係から幼馴染みまで、幅広く連絡を取り合えるツールとしてはとても便利である。しかし、ユーザーはパブリックな人間関係には、それ以上のものは求めていない。これが、FaceBook上でコンテンツが育たない理由である。
投資家としての関心は、次の時代の寵児となるサービスは何かということだが、私はその答えは「ディープ」で「クローズド」なつながり方ではないかと考えている。
「最先端のビジネスモデル」でも述べたが、キーワードはカスタマイズされたサービスである。ネット上でのソーシャルな付き合いを一通りやったユーザーの次の興味関心は、特定の分野でのディープなコミュニケーションを提供してくれるサービスに移り始めている。
FaceBookと類似した機能を人数限定で公開する米国発の「Path」や、日本からもカップル2人だけの専用アプリ「Pairy」、共通の趣味を持った人でクローズドなコミュニティをつくる「みんなの交換日記wakka」などがユーザーを伸ばしている。
ゲームの世界でも、「どうぶつの森」や「モンハン」のヒットに同じトレンドが見られる。発売から何年も経ったオンラインゲームのFF11では、今なお多くの月額課金ユーザーがプレイしている。WiiUやPS4、Xbox720などの次世代の据え置き型ゲームも、強化するのはクローズドなコミュニティ機能である。
ここでも述べたが、現代人のココロは孤独で一杯であり、皆つながりを求めている。一方で、オンとオフは明確に分けて、会社の人とは最低限の交流で留めたい。このような社会心理的な背景を踏まえると、今後のヒットのキーとなるのは、ディープでクローズドで、自分にはピッタリくるようなカスタマイズされたサービスであると考えられる。
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岩田社長はプレゼンが上手なので、良い印象を持たれることが多いですが、残念ながらこの2-3年の任天堂はイノベーションが起きていません。
それはソフトを見ればよく分かります。この数年のソフトはすべて過去のヒット作の続編だけです。恐らく、クリエイターのマネジメントがうまくいっていないのだと思います。
ちなみにWiiUは足元でも販売は悲惨な状況です。円安効果で株価は少し戻していますが、少なくともWiiUは消費者に支持されていませんね。