仙人の祈り

就活生への心のケア - 社会はもっと支えてあげるべき

「どういうキャリアで今に至るのか?」といった質問を大学生から頂くことがよくあるが、残念ながら私は回答者として相応しくはないので、何と答えたらよいのか毎回迷ってしまう。

私が彼らの歳の頃は、海外で夢の実現と明日の食い扶持を稼ぐことばかり考えていて、自分がサラリーマンになれるなんて思ってもいなかったし、ましてや機関投資家という職業があることすら知らなかった。つまり、逆の意味で住む世界が違った訳で、彼らがその頃の私に会っていたら、相手になどしてくれなかったはずである。

就活セミナーに並ぶ学生私から見た学生の印象というのは、「金融業界に進みたがるエリートたち - 自分探しの終着点」でも述べたが、何というか「自分の内側にいろいろと溜め込み過ぎ」ていて、片付けられない人の部屋のように、不要なプライドや感慨が多くて、新しい作業をするスペースが限られているように見える。

就活に失敗しただけで人生が終わったかのように落ち込む学生が多く社会問題となっているが、日本の学生は社会が用意したレールの上に乗って来ただけなので、大人が思っている以上に彼らの価値観は狭く、若い割りには発想が凝り固まっているということを改めて認識した方がいいかも知れない。

ことに純日本製の人材は、精神的な巣立ちが遅く、己の自由と責任で人生を歩んでいくような覚悟を持てずに、3年生になったら皆がしているので、取り敢えず就活をしているという学生がほとんどであるだろう。私のように世間体も気にせず海外をプラプラするようなタイプは例外中の例外だ。

とは言え「今の学生は」とか言うつもりはまったくなく、この問題が近年になって再びクローズアップされるのは、不景気によって企業が採用を絞っているからであって、学生の内的な質というのは、日本の社会システムが変わっていないのだから、実は昔から大きくは変わっていないのではないかと思う。

企業は将来稼いでくれる人材を少ない情報から目利きしなければならず、合否の差は「何となくフィーリングが合いそう」程度のものであろう。答えのあるテストで選別されて来た学生から見ると、極めて理不尽で曖昧な選考基準であるが、落ちた本人たちはまるで自分が否定されているように感じて落ち込んでしまう。

家庭や教育の現場で学生たちにしてあげられることは、就活などその程度のものであると教えてあげることかも知れない。クローズドな環境で育ってきた若者が、社会という広野に突然放り出されるわけだから、狼狽してしまうのは当然のことだ。

自由競争の広野では、歴戦の猛者との競争に晒されるため、突然自分が最下級戦士に落ちてしまったような無力感に襲われる。ただ、その猛者たちも、数えきれない挫折や敗北を味わい、それでも試行錯誤して生き延びてきたわけであって、お城を出た直後から勝ち続ける人などまずいないことを強調しておく必要があるだろう。

大人からすると「そんなの当たり前じゃないか」とか「敢えて教えずに自身で気付かせるのが優しさ」という意見もあるだろう。しかし繰り返しになるが、景気という前提条件が昔と違うため、最初から味わう挫折も深くなっていることは考慮してあげてもよいだろう。未来ある若者に立ち直れないほどのダメージを与えて再起不能にしてしまうのは、誰も望んではいないはずだ。

日本社会は若い世代に対するケアが、後回しになる傾向がある。就活はその不公平さを切実に味わう大きな山の一つであり、そのような社会にしてしまった大人たちは、せめて心のケアやアドバイスを手厚くし、次の世代の戦力を育てて行く発想が必要であるだろう。

私であれば、「広野には豪腕の戦士や、悪知恵のはたらく魔法使いなど、今の自分では太刀打ち出来ない相手がたくさんいる。それでも素晴らしいことに、敗者復活戦には無制限に挑戦できる。自分が腕を磨いて挑戦し続ければ、突破できない壁などない」ということを学生に伝えたいと思う。

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[ 2013/05/06 18:00 ] 経済社会 | コメント(5)
私が若者なら…支援よりも…
数年前、友人の男子に誘われて時間の使い方?というセミナーに参加した時のこと…皆さん高学歴の大企業出身なのに、不安だらけで悲観的なことに驚きましたが、学生ならさらに不安は大きいでしょう…
20代限定とは知らずに帰りたくなりましたが、たちまち囲まれ質問攻め…
どうしたら、そんなに自由で楽しく遊び、仕事も家庭も子育ても趣味もできるのかとセミナーそっちのけでした…
私は逆にどうしてそんなに不安なのかと聞いたら、周りにそんな人がいないので、本当にそんな世界があるのか?と聞かれたのです
私はあるし望めばできると答えました
その時の皆さんの輝いた瞳は今も忘れられません…
夢や希望がなければ、パワーを持て余し、鬱に…

数パーセントでも…
稀な例でも…
仙人さんのような例があると、具体的に教えてあげることが必要ではないかと…
自力で満足いく生活を手に入れるのは、難しいけれど…だからこそ手に入れた人の話を聞きたいんだと思うわ
若者を救うのは、支援よりも…現実に楽しく生き生きと生きている大人の姿を見せること…かも…と、その時強く感じたっけ…

[ 2013/05/06 19:56 ] [ 編集 ]
間違いだらけの小さな神様
朝、一日の始まりに太陽の光を目に入れる。

ベランダの片隅に半畳にも満たない植木鉢の集まりがあり…。
その小さな小さなガーデンの、私は小さな神様だ。

4月は忙しかった。
(新卒社員が1ヶ月も保たずに無断欠勤の上辞めてしまったのだ…。)

ほったらかしだったと水をやると、ハーブ達がざわめき出す。
「土が足りません。」
(大きい鉢への植え替えは休みが出来たらするからね。)
「もっと、日光が欲しいです!」
日の当たらない鉢は場所を移動をしてみる。

ローズマリーは大きく枝が伸びているが不満がある様子。
今年も花を咲かせてくれない。

背丈1mにも伸びたディールが黄色の花火のような花をたくさん付けていた。
眺めながら自分の間違いに気付く。 (去年と反対の間違い!)
去年はイチゴの肥料を間違い、葉は大きく育ったが実が付かなかったのだ。
葉を食べる予定のディールに、こんな綺麗な花が咲いてしまうのは、
私の肥料のやり間違い。
ちぇ、でも… (君はもうすぐピクルスにしてあげるからね。)

辞めた新人は社長に無断欠勤の反省文を要求され、
でも、反省文は書けず、長い憤懣の文章を残して去ったとの事。

後に残された面々は
「全然仕事を解っていなかった。」  とか
「私は一生懸命教えたのに…。」 など言っているけれど
何がミスマッチだったのか、本当の所はわかっていない。

私には、プライドだけが高く小生意気な娘だった。
でも、それは必要な事!

仕事にミスは許されない。
仕事が出来るようになると言う事は
専門知識だけではなく「絶対自分は間違っていない!」という自信が必要だ。
たとえ間違っていたとしても…、
自分が間違っているかもしれないと思いながらでは精神的に続きはしない…。
(だから、もっと勉強しなさい! 自分で考えて! 何が必要なのかを!)

失敗から学び、成功体験を捨てる事が出来れば怖い物は何もない…。

彼女のミスを繕い、上への橋渡しもしてみたけれど、
週1~2日しか会わなかったから、
彼女に私のやっていた事が理解できたとは思っていない。

長い手紙を残した彼女の心は折れてなかったと願う。
まだまだ、次はあるのだから…。

そんな事を考えながら植物達の相手をしていたら
去年、うちに仲間入りしたボイセンベリーに蕾が付いていた。

針のような棘に気をつけながら、肥料を入れてやる。

(今度こそ間違えていませんように…。)






[ 2013/05/07 06:16 ] [ 編集 ]
Re: 間違いだらけの小さな神様
仙女の踊りさん、ひなこさん、コメントありがとうございます。

私は自分で到達したかった場所を見つけたので、なりふり構わずにそこへ到達することだけを考えて生きていた期間がありました。他人から見ればまったく理解できない価値観だったと思いますが、、、。ただ、面白いことに、それを知ったとある有名ファンドマネージャーは、何故かそれを高く評価ました。私が今の仕事をするキッカケというのは、そういったある種の偶然によるものなんですね。

若手ほどミスマッチが置きやすいですが、ある程度のものはしょうがないのかも知れません。ただバイトではなく、ある道のプロになろうとしているのですから、それなりの気構えで来て欲しいというのはあるでしょうが。会社も、ごく一部の使える社員が、他の社員を養っているような組織ばかりですので、本当に利益をもたらす社員をゲットするというのは、ある種の偶然のようなものかも知れません。
[ 2013/05/07 13:14 ] [ 編集 ]
高校卒業してからすぐに働きに出て4年。大学に行った連中の何人かは就職活動につまづいたようです。

そのうちの一人は職にありつけなかったことを人の恥のように言ってましたが、能力も仁徳も自分より上なのにそこについては考えていないようでした

ものすごく鬱な感じだったので働く以外の食い扶持として株や金融関係の勉強を勧めたり諭吉先生の学問のすすめを読むよう言っておきましたがこれはフォローになってないかなと今書いてて思いました

自己啓発本ってこれ一本で足りると思うんだけどなあ学問のすすめ
[ 2013/05/11 23:25 ] [ 編集 ]
Re: タイトルなし
名無しさん、コメントありがとうございます。

現代の日本は65歳まで働けることを考えると、若い頃の入り口で多少の不運があっても、本人次第ですが何度だってやり直せるチャンスがあると思います。新卒入社でそのまま定年まで働く可能性は低く、自己研鑽を続けていないと職が続かない時代になっています。学問のススメはまさに初心に返って心の姿勢を正せる本ではないでしょうか。
[ 2013/05/12 00:32 ] [ 編集 ]
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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