仙人の祈り

気圧の変化と気持ちの変化 - 謎の飛行機頭痛とともに

飛行機での移動は何度繰り返しても好きになれない。上空にいる時は機内の気圧が低いためか、血の巡りが悪くなり、気分が陰鬱になってくる。

もっと酷いのは着陸に向けて飛行機が降下し始める時で、地上が近づくにつれて機内の気圧が上がり、眉間の奥の副鼻腔のあたりがその変化に対応できずに激痛を返してくる。経験上、行き先が海沿いの空港であるほどにその痛みが大きくなることがわかっているのだが、それが何故なのかは現代の科学では未だ解明されていない(多分)。

移動中このことは私の周囲の人間にいつも訴えているのだが、理解してくれる人は誰もいない。「耳栓をすれば?」とか「寝てればいいんだよ」という返事はまったく頂けない。それで万事解決するくらいなら誰も苦労はしない。今のところ考え得る策としては、与圧ができるヘルメットを開発し、移動中ずっと装着するというものであるが、そのようなことはまず航空法が許してくれまい。

これまでに、唯一この悩みを共有できたのは、カナダのオタワ空港の待合室で出会った初老の紳士だけであった。私が雑誌を捨てる前に、折り目を付けて記事を切り取っていると、近くにいた彼が話し掛けてきた。元大手エナジーで掘削機の開発をやっていたらしく、私がそれっぽい記事を読んでいたことと、雪でフライトが遅れており暇だったことが重なり、たわいもない会話のパス回しをしていた。

「シカゴで働いているのか?」と聞かれたので、「シカゴ経由でニューヨークへ帰る」と答えると、紳士はいぶかしげな表情を浮かべる。「(直行便がたくさんあるのに)どうしてわざわざ遠回りをしてシカゴへ行くのか?」と聞かれたので、事情を説明した。直行便だと海沿いのJFK空港行きが多いので、敢えてシカゴ経由で陸地にあるラガーディア空港を使うのである。

答える私も到底信じてもらえないであろう話をするので面倒だなと思って話していたのだが、突如として紳士が大きな声で笑い始めた。そう、彼も同じ理由で同じ便を選んでいたのである。まさかオタワ空港の待合室でそのような偶然の出会いがあるとは思ってもみなかった。

ただし盛り上がったのは最初だけで、結局のところお互い何の対処法も見出していないことがわかると、何だか少しガッカリした気分になってしまった。それでも同志に出会えたことはレアな体験であるので、これまでの傾向と対策をシェアし合って、自然なかたちで別れていった。

その時もらった名刺で後から分かったことは、彼はその道では有名な研究者であり、某州立大で教鞭を取る先生でもあったようだ。彼が面白いと言っていた「シェールガス」がその後全世界を沸かせるエナジー革命になるとは、その時まったく思いもよらぬことであったが、お陰でそのポテンシャルにいち早く気づくことができたのは幸いであった。

話をもとに戻そう。着陸時の悶絶は別として、飛行機での移動には少なからずメリットもある。それは、切り離しによって生まれる一時の空白というか、「離」を得ることで客観的に周囲を見つめる視点が冴え渡るということである。

私自身は本質的に怠惰な人間であるし、面白いことをしたいという情熱は人一倍強いが、世間で言う「向上心」とは無縁であって、人生を厳しい上り坂に例えるような生き方はしたくはないと思っている方ではある。

しかし地上での毎日というのは、どちらかというとエリートっぽいというか、激しい競争社会で生き延びていくバトルロワイヤル的な発想の世界に引きずり込まれてしまって、週末でも仕事をしたり勉強をしたりしていないと、むしろ落ち着かなくなってしまう。

地上から離れて落ち着いて考えると、そういった「がむしゃらさん」である自分が見えてくることがある。「そんなに仕事が大切な人生でしたっけ?」とか「大切ランキングの順番が変わってません?」という声が自分の中から聞こえてくる。そこまで大切ではなかったのに「大切にしないと居場所がない」という思い込みに支配されていたことに気づく。

窓の外の世界はそう言った地上の人間界の出来事がいかに小さなものであるのかを教えてくれる。雲の合間に見える町や道路は、広大な大地の中では豆粒のように見える。そして遥か上空を見上げると、昼間であるというのにすでにその先は薄暗く、空色の先には宇宙が透けて見えている。

気圧の僅かな変化だけで頭が痛くなってしまうので、宇宙飛行士になることは断念せざるを得ないが、このまま重力を無視して宇宙遊泳ができたらどれほど素晴らしいかと思う。この先の未来には、誰もが気軽に宇宙旅行を楽しめる時代がくるだろう。そしてその時代の人々は、自分たちの祖先がいかに視野の狭い人々であったかを哀れむに違いない。

そんなことを考え始めると、会社の企業価値とか国の政策とか、組織の在り方とか、人の性とか、そんなことはどうでもよいことであると思えてくる。崇高な理念も、素晴らしいアイディアも、大きな革命も、自然の雄大さと宇宙の真理から見れば、何だかとてもスケールの小さな出来事であることに気づく。それこそが「離」というものであるのだろう。

それではまた。
北極圏上空より、読者の皆様へ。小松原 - 拝。
[ 2014/06/11 18:00 ] 雑感 | コメント(9)
うっわ〜〜っ!!
私も飛行機が苦手で、それだけが1番のネックでした〜!!

で、私がとる対策は

①ホテルは激安でビンボー旅行でも、ゆったりできるよーに飛行機はビジネス以上(狭い席でのたうちまわらず、隣の人に迷惑かからないよーに)
②シャンパンを2杯飲んで寝る(弱い上に、気圧の影響で酔ってバタンキュー)
③到着するまで、一切食事は要らないし、起こさないでと伝えて耳栓とアイマスクをセット
④もちろん窓際、笑
⑤長いフライトだとお腹空くので、出発前にオニギリとお茶買います!

だから、機内食を食べた経験が少ない…((((;゚Д゚)))))))え!なら旅行なぞ行くなと??

副鼻腔は、骨格関係なく狭い人と広い人がいるから、どっちのタイプが痛みを伴いやすいのか、研究したら楽しいでしょうねぇ…
副鼻腔って四つあって、目の上が痛くなるのか、目の奥が痛くなるのか?
毎回同じ場所が痛くなるなら、もしかしたら原因が分かるかもしれないですよ
実は副鼻腔のCT画像の論文書いたことあるので、チョット詳しいカモ?d( ̄  ̄)
もしくは、自覚症状なくても慢性の炎症を持ってたり??
私は痛くなるより、狭い場所が苦手で、気分悪くなるタイプなんですけどね(T▽T)←周囲には、贅沢病と罵られています、違うのに…泣
[ 2014/06/11 21:22 ] [ 編集 ]
向上心
おはようございます。

向上し続けることは素直に尊敬します。

今の自分は家事育児でそんなパワーは何処にもなく、
自己啓発本でいう人生マイルストーンや
キャリアパスへの深い考察を避けつつ、
長距離運転で妻と漠然と家族などの将来像話すのが楽しみです。

知らない幸せがあってもよいかな。

よい一日でありますよう。
[ 2014/06/12 06:48 ] [ 編集 ]
たずね人
歳は40代後半の自称イケメンで性別男子、
聞いてもいない事をベラベラ喋る!
時折空に向かって、えっ!〇〇だって・・・と誰もいないのに一人で誰かと会話してる!
精神を相当病んでます!見つけた方は優しくしてあげて下さい!無視すると症状が悪化します。

※無視されると症状が悪化します!・・・副鼻腔・・・脳内温度か圧力調整だろうな・・・なんとか絡もうとし・・・

※壁さん!少し落ち着きました安静にしています、また何かあったらイジッテ見て下さい!健康にはやっぱエコ贔屓ですよね~!無視はいけません心臓に悪いです!解りましたか~?

※ここはドクターが多いのか?悔しい!美味しい御返してる~!私も負けずに負けずに・・・か・か・体でおかえし・・・これを無視されるとキツイ~

※私は医者ではありませんがお医者さんごっこは大好きです!ハイ服を脱いで・・・・・頂きま~す・・・これは無視して下さい~!



[ 2014/06/12 08:27 ] [ 編集 ]
耳鼻科系の問題
飛行機に乗っていると耳鼻科系の問題を訴える方が多いようです。かくいう小生も8時間を超えるようなフライトでは濡れマスクを着用したり、酒が弱いので抗ヒスタミン剤を眠り薬代わりに飲んだりして急場凌ぎをしていますが、どれも効果はイマイチのようです。もっとも不必要な飲み食いは慎んだ方が良い点は、全く同感です。

こうした問題を起こすのは、どうやら飛行機の構造上の問題が大きいようで、機体がジュラルミンなど鉄系でできているため、機体の寿命を延ばす意味で錆防止の観点から機内の湿度を限りなくゼロに近づけていることが原因のようです。ですから機内の温度を上げると湿気が生じてしまいますので温度も限りなくゼロにするため寒い上、喉も鼻もカラカラになってしまうのです。

最近登場したボーイング787機は、構造がカーボンでできていることから上記のような問題が生じないので機内の温度や湿度をある程度上げても問題がないようです。ですから次回のご旅行は、ボーイング787機が就航している航空会社を選ぶのも良いかも知れません。

[ 2014/06/12 21:43 ] [ 編集 ]
存在意義は、頭の軽量化などハッキリ解ってないそうですが、ここで発生する疾患を見てると、単独より口耳鼻から入ってくる病原菌で引き起こされるものが多いです
だから無いほうがいいのか?と思いきや、頭の中は重要な器官が密接してますから、私はそれらを外界の衝撃から守るための緩衝材の役目の方が大きいんだろなーと思ってます

小松原さんは、目の上なんですね?
CTで骨の構造が分かり、MRIで炎症なのか、デキモノで圧迫されてるのか判断つきます
小さい医院より、MRIのある大学病院を勧めます
(でも、東大とか国立より日大とか私立系が、私は好きです)脳神経外科か、耳鼻咽喉科だろな

「金に糸目はつけないから、全部検査して治して下さい!ちょー困ってるんだもーん」
と、言えば、バッチリでしょう♪( ´θ`)ノ

鳥にも副鼻腔があるとこみると、進化してもなくならない場所かもしれないですね( ̄▽ ̄)
[ 2014/06/13 08:11 ] [ 編集 ]
自称イケメンのカモっち、見てみて〜っどんな人??笑
と、自称イケテル女が言ってみる(´・Д・)」

でも、実際お互いみたら
「ホントに自称じゃねーかよっ!!ぶわ〜かっ」
ヽ( ̄д ̄;)ノヽ( ̄д ̄;)ノ
って殴り合いになったりして笑

あ、貴重な昼休みが…
_φ( ̄ー ̄ )=3←ムシできない優しいヒト
[ 2014/06/13 13:12 ] [ 編集 ]
航空性中耳炎
着陸時の痛みは、「航空性中耳炎」という症状だと思います。

顔の奥にある、耳と鼻をつなぐ管の事を「耳管」と言います。
ここの通りが悪くなると気圧の変化に対応できず、聞こえが悪くなったり痛みが生じます。


耳鼻科では「鼓膜マッサージ」と称して鼻から管を入れて空気を送り
鼓膜を動かす治療法が有りますが、これは鼻を摘まんで息を送る
潜水時の耳抜きの方法と同様で、自分でも簡単に出来ます。
飛行機での着陸時は耳管の通りの悪い人には、まさに空気中で潜水最中でして
抜いても抜いても圧がかかってしまう状態です。
幼児と同乗していて着陸時に急に泣き出し、お母さんがあやしても駄目な場合は
大体この状態です。小児は成長の発達過程で副鼻腔が広がるのですが炎症も多いです。

ガムやキャンディで顎を動かし唾を飲み込む事により、鼓膜側の自然口を開く事は可能です。


また正常な時は気付きませんが、副鼻腔は粘液を1日1ℓも流していると言われています。
副鼻腔は複雑な形状で空気中のゴミや細菌を取り除き、温め湿度を加えた状態で
酸素を肺に送ると言う免疫上重要な役割が有ります。
1ℓの粘液で取り除かれたゴミや細菌は喉から胃に入ったり、鼻水や痰となるのです。


ちなみに産まれたばかりの赤ちゃんには前頭洞は存在しません。
副鼻腔も頭の成長と共に複雑な形に広がります。
多分、活動に必要なエネルギーを安全に産生するには、それなりの内腔面積が必要なのでしょう。
まだ解明されていないだけで、体の器官に遊びなどないのだと思いますよ。


地上で蟻の様に生活していても、気圧の変化を敏感に感じてしまう人も居ます。
大抵前線が通過する前日から症状が出るそうで、そちらの方が興味深いですね。



小松原さんの症状は目の上との事ですので前頭洞あるいは篩骨洞の自然口が閉塞しやすいのだと推測出来ます。ですので正確には「航空性副鼻腔炎」ですね。
パイロットの場合は急降下で意識を失う場合も有り、外科的手術で開放口を広げたりします。


私が思い当たる対処法は、着陸のサイン前に点鼻薬を使用する。
これは鼻詰りの市販品で大丈夫で、これには必ず血管収縮剤が配合されており、
点鼻すると腫れて肥厚した鼻粘膜が血管が細くなることにより
通路が出来てスーっと鼻が通って楽になります。
普通に俯き加減で点鼻しても良く成らない場合は、
「懸垂頭位」と言う仰け反り姿勢で点鼻を試して見て下さい。
こちらは嗅覚障害の方の点鼻方法です。
副鼻腔や嗅覚細胞の位置はネットで簡単に検索出来ますが、
人の顔がそれぞれ違うように、副鼻腔の形や開放口の位置も人それぞれと思って下さい。
要は自然口に薬が届き開放すれば、圧の調節が可能ということです。


また、鼻粘液のネトネトを低くし、流れを良くする方法も有ります。
通常、痰の切れを良くする為に処方される事が多い薬剤ですが、副鼻腔炎にも効果があります。
こちらはの成分は風邪薬に配合されている事が多いですが、単味での服用の方が良いと思いますので、
受診して医師に処方してもらう方が良いと思います。


いつも有益な情報を頂けるので、今回はこちらの専門で御返し出来ましたら幸いです。
どうぞお身体に気を付け、ブログを頑張って下さい。

失礼、アメリカに居られる事を失念していました。
オバマケアは全くの頓挫で終わるのですかね。
医療費が高いアメリカは大変ですね。

成分名を記載しておきますので、薬局で相談してみて下さい。

点鼻薬 (血管収縮剤) : Naphazoline Nitrare あるいは Oxymetazoline Hydrochloride
去痰薬 : LーCarbocisteine あるいは、 Ambroxol hydrochloride

記載したのは日本での汎用品です。
そちらの薬局で、aerotitis media あるいはaviation otitisと言って相談して見て下さい。
薬の副作用に関して、アメリカの薬剤師の説明は飲む気が失せるらしいですよ。(笑)

[ 2014/06/13 18:29 ] [ 編集 ]
初めまして
私も飛行機が少しづつ降下し始めると顔面のどこかが痛くなります。
頬骨より上のどこかですね。痛みの範囲もまちまちです。
眼球?視神経?が痛いこともあります。

ガムをかんでも、唾をのみこんでもダメです。
意識的に頻繁にやってもダメです。

初めてその痛みを感じたのは20年以上前で、
顔を上げれない位のあまりの痛みに、
重い病にかかってるのでは?と思ってしまいました。
(その前から飛行機はのってました)

最近は、その状況にも慣れ、高度下がり始めたと顔で感じ始めたら、
鼻をつまんで、口を閉じ、ひたすら、耳抜きをします。
少しは、症状が緩和されます。

ずーっとやってるので、隣の席の人には不審がられますが、
やらないと痛みがひどくなるので、
ひたすら気圧の変化と戦います。

最近は何気に痛みを楽しんだりしてます。

航空性中耳炎というんですね。
勉強になりました。

遺伝的?に親兄弟、鼻が悪い(アレルギー性鼻炎)ので、
そのせいかな?と思ってます。

自分の症状からダイビングは一生しない方がいいと
勝手に思ってます。
[ 2014/06/14 00:30 ] [ 編集 ]
小松原さんの感性に惹かれるものがあり、ブログ拝見させて頂いています。宇宙に流れている時間のことを考えると、私達の八十年ほどの人生にどんな意味があるのだろうと考えさせられることがあります。人類といえるものが誕生して、七百万年ほど。恐竜の時代は、六億年続いたと聞きます。人類の歴史もそれくらい続く可能性があると考えると、私達は人類の歴史が始まったばかりの時代に生まれ合わせているといえます。恐竜は絶滅しても、地球まで滅ぼしはしませんでしたか、人類は地球を放射能まるけにして、死の星にしてしまう危険を孕んでいます。このままで人類に未来はあるのだろうかと考えてしまう今日この頃です。

[ 2014/06/20 06:51 ] [ 編集 ]
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筆者紹介

check 小松原 周 (あまね);

ファンドマネージャー・アナリスト。日本株(東京)や米国株(ウォール街)の経験が長く、取材した会社は5,000社を超える。徹底したリサーチと業績予想に基づき投資判断を行うファンダメンタリスト。

*ブログ記事は、どのような場合であっても個別銘柄の投資判断に関して述べることはありません。

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