仙人の祈り

ネット広告に侵される「プライバシー」

ベネッセによる個人情報の流出事件が社会問題となっているが、今回の事件を機にDM(ダイレクトメール)に社会的なメスが入ったことは、郵便受けがいつも不要なDMに支配されている一消費者としては、大変ありがたいことである。

私の場合、恐らくは、新聞屋や、EC業者や、クレジット会社などが裏で情報を横流ししているのであろうが、見ず知らずの組織に、氏名や性別、人種、年齢、住所、職業まで知られていると思うと気分が悪いし、ゴミ箱直行なので紙の無駄でもある。

x-pose201407企業による個人情報の取り扱いに関しては、本質的にはDMだけでなく、今後はいろいろな方面へ問題が波及していくだろう。消費者は会員カードをつくったり、アンケートに答える度に個人情報を取られるのに対して、企業側への厳格な罰則規定がないため、安全性がまったく担保されていない。まずはこの辺りの法整備が進みそうだ。

一方で、インターネット上で勝手に吸い取られている個人情報までは、今回は踏み込むことはできないだろう。最近流行の「ビックデータ」は「個人を特定できないように加工してあるのでOK」という企業側の論調が支配的になってきているが、何処で何を見て、何を買って、その後どうしたか、などの詳細なデータは十分に個人情報と言えるものであるし、それらを繋ぎ合わせれば、実際には個人を特定することも可能となる。


ECサイトで検索して眺めていた商品が、別のサイトを見ている時にも広告として出てきたことがある人は多いだろう。これはリターゲティング広告と呼ばれるものであり、Cookieを使用してその消費者を追尾し続けてくるという煩わしいだけの広告であるが、そもそもCookieが個人情報かどうか、また、商用目的で利用してよいかどうかなどは、規制当局の俎上にも載っていないのが現状である。

ネット広告の最先端であるRTB(Real-Time Bidding)広告などは、消費者の知らないところで、更に踏み込んだ個人情報を扱っている。RTB広告とは、ウェブサイトを見ている人の属性情報を分析した上で、買い手(広告主)と売り手(メディア)との間で瞬間的に広告の売買を行う、株式市場のような仕組みのことを言う。この場合、取引と値決めの材料となるのは、消費者の個人情報である。

実際のRTB市場での買いつけは、広告主の代理人であるDSP業者というプロが行っており、彼らがサイトを見ている消費者の属性を分析した上で、広告主の広告効果が高まりそうな枠をリアルタイムで買っている。今後問題となるのは、DSP業者は分析の精度を上げるために、広告主が別ルートで入手した個人情報も使用しているという事実であり、現時点では誰も定義ができていないグレーな領域となっている。

Facebookが消費者に無断で心理分析テストを行っていたことが発覚し、謝罪したことは記憶に新しい。ネット広告業界は、テレビと違ってコンテンツの面積が狭いというデメリットを克服しようと、事業者側があの手この手で競争をしているが、その熾烈さ故に、消費者の個人情報とプライバシーの問題が置き去りになってしまっている感は否めない。

日本の3年先を行く米国では、すでにこのことが論点として浮上しており、「Tapad社」や「DrawBridge社」のように、Cookie以外から個人情報を効率的に取得しようとする会社もあるが、消費者の意見としては、手段が何であれ、行動を補足され、潜在意識を先回りして提案される広告自体に嫌悪感を抱いているため、根本的な解決策とはなっていないと言える。

このように、ネット社会となって、テレビが主要なマス広告であった時代には起こり得なかった問題が数多く浮上してきている。法制度がまったく追いついていない今、消費者側できることは、個人情報の提供を最低限に留めることや、不快に感じる広告に「No」を突き付けることであろう。DMではできなかった消費者の意思表示が、ネット広告の場合には「アドミュート機能」などで、ある程度はできる。

現状のままネット広告の進化に歯止めがかからなければ、結局は「押売り」や「ストーキング行為」と同類になってしまう。広告業界の健全な発展のためにも、事業者側は消費者の意思を反映する手段を「こっそり」とではなく、誰にでも分かるようなかたちで提供することが求められる。

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[ 2014/07/25 18:00 ] 経済社会 | コメント(4)
一体何を知りたいのかな?
売った情報が、多いのに驚き、売った数の割りに手にした額が小さいのにも驚いた。失った信用と天秤にかけたら、わかりそうなものなのにね。
[ 2014/07/25 21:11 ] [ 編集 ]
そうそう!そうなんだよな!何でか俺のPCやスマホの画面にHなお姉ちゃんのアップの広告が必ず出て来るんですよ主様!
迷惑で迷惑で!他の人が見たらまるで私が愛用してる風に思われそうで迷惑!
なんでこんな広告ばかり出て来るんだろう?・・・・えっ!クリックしたんだろうって・・・汗・・・覚えてません・・・あっ!間違って・・・チョットだけ・・・・・・・・・・見たら悪いんですか?
[ 2014/07/26 13:57 ] [ 編集 ]
責任割合
自動車などの事故の場合を参考にしてみると10:0の責任割合になることは稀です。
ネットで画面を見ることが既にアクションを起こしていると考えたとしたら、動いて居るもの同士の接触と見なされ、個人に責任が発生しない事はあり得ないでしょう。
法整備は現場に即していないのかもしれませんが、既存の法に準じて考えることは可能だと思います。
個人が守られるべきという考えは尊重したいですが、実際は我々にも責任負担が生じている意識を持つことが重要だと思います。

x.poseは面白い試みですがデザインが既に露出度が高すぎて、接続したことによる露出が何処までか見えにくく作品の意図が伝わりにくいですね。
[ 2014/07/26 18:41 ] [ 編集 ]
こんなとこかな?
個人情報の価値は、その対象の年収で決まる。年収が高ければ高いほど、DMによるタカリを受けやすいだけの話だ。Facebookやベネッセなんて、所詮は低所得者層という安い客を相手に行っている貧困ビジネスなんだから、個人情報自体に価値はない。ただ、安い客は情弱なので衝動買いをさせ易い。いかにして、絞りとるかということが真理だろう。ただし、致命的な欠点があって、所得者層という安い客は富裕層の何千万倍といるので、数の暴力で動かれると、人気取りをしたい政治家がマスゴミを操って、問題を起こした企業をフルボッコにしてしまうということだ。
[ 2014/07/27 16:19 ] [ 編集 ]
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筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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