仙人の祈り

ギリシャの「Xデー」とその後のシナリオ

ギリシャの救済プログラム(ELA)の期限切れが迫るなか、依然としてギリシャ政府とユーロ圏の債権団との議論は終着点が見えておらず、予断を許さない状況が続いている。ここで今後のギリシャ問題を、重要な日程とともに、あらためて整理してみたい。

【6/30】この日は、上記の救済プログラムが終了し、かつIMFへの€1.5bnの償還期限を迎える。一般的にはこの日がXデーのように報じられているが、実はそうではない。何故ならIMFのような公的機関の債務不履行は、格付け機関の評価として「デフォルト」とは見なされないため、イベントのトリガーは発生しないからだ。

greece2015【7/17】この日は、ギリシャ国債の利払い€0.07bnが発生する。この支払いができない場合は、民間の債権者への支払い不能と見なされるため、間違いなく「デフォルト」となる。しかし、金額が小さいことと、30日間の支払猶予が設定されているため、現状の混沌とした状態の中では、それほど大きな問題とはならないだろう。

【7/20】この日は、ECB(欧州中央銀行)が保有するギリシャ国債€3.5bnの償還日であり、大きな山場を迎える。6/30に終了する救済プログラムが延長されていない限り、返済は不可能であり、ギリシャ政府は、この数日前から国内銀行への資本規制を導入し、預金の移動が禁止されることとなるだろう。


つまり、Xデーの最有力候補は7/20となる。銀行が機能停止した場合には、当然、経済活動は著しく停滞し、不景気に拍車がかかる。また、政府は公務員の給料や年金を支払う代わりとして、国民へ「借用証書」を発行することになるが、預金を封鎖するような政府が発行する借用証書の信用力は低く、転売する場合でも額面から大幅にディスカウントされた価格でしか取引されない。

ギリシャの大衆は、こうなった後で、債権団の要請に従って支援を受けた方がましであったことに気づき、後悔するかもしれない。しかしそれは後の祭りである。ギリシャは、破綻した債務整理国家として経済的な主権をなくし、公的サービスも年金も、大幅なカットを余儀なくされる。

これまで多大な支援を行ってきたECB(欧州中央銀行)も、保有するギリシャ国債がデフォルトするため、資本の大部分が飛ぶ。ただし、ECBは資本の部が赤字になっても破綻しない特殊な銀行であるため、今後何年間かの他国からの収入によって、時間とともに復活することが予想されている。

最後の問題は、当のギリシャがユーロ圏に留まるかどうかだが、ユーロ圏からギリシャを離脱させるコストは、他の加盟国にとっても膨大であり、また破綻してしまったギリシャも、自国を再建させるためにはユーロ圏に留まることが必要であることから、離脱という選択肢は取らないだろう。

結果的には、ギリシャ国民が割を食うという、至極まっとうな結論で落ち着き、ユーロ圏の自浄作用によって、時間をかけて回復へ向かうことになりそうだ。ギリシャ問題は今後1ヶ月が正念場となるが、一時的な波乱の後、落ち着きを取り戻すと私は考えている。

BLOGOSで読む
[ 2015/06/22 18:00 ] 経済社会 | コメント(17)
私と同じ考えだわ(私のレポート漏れてるんじゃ?)!主様は相当できると見た、私もウカウカしてられない。・・・マンハッンー・・・
[ 2015/06/23 12:47 ] [ 編集 ]
小松原さん、あいかわらずブロゴスで人気ですね。

ちょっと良質な記事提供しすぎじゃないですかね笑
[ 2015/06/23 23:17 ] [ 編集 ]
この人もヒナ○タン。
コメ欄閉じてもいいのではないですか?
書きたい人は、ブロゴスに書けば荒れないですよ。
[ 2015/06/24 08:33 ] [ 編集 ]
ギリシャで一喜一憂するマーケットは疲れますね。でも中長期的には特に影響ない感じがしてきました。中小型になかなか本格的に資金が流れてこないので、つまりはファンド勢がまだまだ出来高の大部分ということなのでしょうね。
ちょっと世界的にバブルなので、何かがキッカケで崩れたら、下は結構もろいような印象をもっています。ギリシャ程度ではなく、何か。
小松原氏がどこを見ているのかが気になります。皆が見てないところに、何かがあるような気がするのです。
[ 2015/06/25 21:06 ] [ 編集 ]
どこよりも的確なギリシャ情勢の分析と、ご著書のおかげで、今回の調整も俯瞰した気持ちで眺められています。これもすべて小松原さんのおかげです。
ブログが終わるかもしれないとのことなので、御礼だけでも申し上げたかったです。ありがとうございます。
[ 2015/06/29 15:58 ] [ 編集 ]
紀子様と佳子様に軋轢でデフォルトの恐れ、一時的な波乱の後、落ち着きを取り戻すと私は考えている、皇室を離脱する事はないでしょう。

※なんだか気が休まらない昨今です・・・マンハッンー。
[ 2015/07/01 08:59 ] [ 編集 ]
いつかはゆかし。
アブラハム、再開していたのですね。
悪い人は一生悪さをして終えるのでしょうか。

ところで、最近 生業関連の本を読み、
サラリーマンの在り方を考えるきっかけになりました。

自社も年功序列が完全撤廃となり、ただ頑張って仕事しているだけでは評価ポイントが基礎点止まりで平均所得遥か下、残業代で補填する本末転倒な生き方となります。
3〜5割給与削減となった40-60代は、残った住宅ローンや各種保険などを憂いてどう働き方を変えるのか、武器を手に入れようとするのか、考えさせられます。

もちろん、投資も含めて。
[ 2015/07/05 15:00 ] [ 編集 ]
主様のお蔭でギリシャの反対派の喜んでいる若者が可哀相に見えるんです!
今までとは違った視点の自分に高揚してるんです!
でもキャーキャーお姉ちゃんとはしゃいでたギリシャの兄ちゃん自分に似ていたのは気のせいでしょうか?・・・マンハッンー・・・
[ 2015/07/06 18:52 ] [ 編集 ]
中国の件
何かお話お願いします
[ 2015/07/07 22:22 ] [ 編集 ]
中国オワタ^ - ^
売買停止なんてやる国の市場は誰も信用しない。ここから更にナイアガラ〜
[ 2015/07/08 10:49 ] [ 編集 ]
やっぱり話題がでたので便乗
中国の防衛策はたまげたなあ タコ壺ってこれですか?
[ 2015/07/10 12:37 ] [ 編集 ]
小松原氏は従来から中国に潜む、プロしかしらないような危険を言外に述べているように思う。
今回のトンデモ措置も、その警戒のシナリオのひとつにはなっていそうだ。あんななんちゃって資本主義がGDP2位なのだから怖い。

だから教えてケロ~~笑
[ 2015/07/10 13:30 ] [ 編集 ]
大きい声では言えませんが中国は必死で頑張って復活すると私は考えています!・・・
・・マンハッンー・・・

※あまり私を目の仇にするとコメント書くのを止めますよ!・・・えっ?!願ったり叶ったり?・・・それは無いでしょう!

[ 2015/07/10 17:03 ] [ 編集 ]
コロコロ名前変えないでください。
あなた、 流れや空気 読めない?
なら、見てるだけで お願いします。
[ 2015/07/10 20:20 ] [ 編集 ]
気圧の変化と気持ちの変化 - 謎の飛行機頭痛とともに、について
ブログ過去に遡り拝読しています。飛行機の離陸、着陸の時は気圧の変化により頭痛が起こる方がいます。このような場合は離着陸前30分くらいに漢方薬の「五苓散」を服用していただくと回避することができます。我が国の五苓散の知見は以下で確認願います。因みに気圧がさがると鬱になり(天気が悪いと気分が晴れない)、知覚神経が過敏になり、アレルギー反応(天気の悪い日喘息発を起こしやすい)を起こしやすくなります。
http://plaza.umin.ac.jp/~ISOMjpn/pdf/goreisan_opening.pdf
[ 2015/07/10 23:26 ] [ 編集 ]
柔軟な知
FBで友人の某著名人が本を紹介していたので、読みました。
片山さんと同年代とは思えぬほど、多くの経験と柔軟な発想力をお持ちで、ただただ感嘆しています。
ブログのエントリーはどれも興味深いものばかりで、行間には、言えないこともいろいろとある上で書いていらっしゃるのだろうと感じました。
片山さんとは対照的にエリートなのに、価値観や人物がそういった尺度で計れないところにいらっしゃるのが特徴でしょう。それを見出し、重要なポジションを任せてくれる周りの大人も、やはりすごいですね。これからの時代、そういった投資家的な目利き力は、どの仕事にも必要なものかと思います。
[ 2015/07/11 01:09 ] [ 編集 ]
中国のこと、小松原さんから、是非聞きたいですね。よろしくお願いします。
[ 2015/07/14 04:21 ] [ 編集 ]
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筆者紹介

check 小松原 周 (あまね);

ファンドマネージャー・アナリスト。日本株(東京)や米国株(ウォール街)の経験が長く、取材した会社は5,000社を超える。徹底したリサーチと業績予想に基づき投資判断を行うファンダメンタリスト。

*ブログ記事は、どのような場合であっても個別銘柄の投資判断に関して述べることはありません。

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