仙人の祈り

四季報オンラインに出稿しました

巨額資金を動かす機関投資家の、知られざる4つの実態

今回は初回ということもあり、機関投資家について基本的なことを書いてみました。

今後とも続けていく予定なので、読者の皆さまから、記事のリクエストなども頂けると助かります。
[ 2016/06/16 18:00 ] 投資全般 | コメント(19)

人手不足で変わる企業の競争環境

世界の人口は直近100年で3倍に増加したが、次の100年では更に倍になると言われている。ただし、これから人口が増加するのは途上国が中心であって、日本のように成熟した先進国では、逆に人口が減っていってしまう。

ここでも述べたように、経済学的には、人口の増減と経済の浮き沈みは、完全にリンクする。安い労働力を確保し、利益を捻出しようとする消耗型の企業は、人口が増加する国では通用するが、人口が減っていく国では機能しない。日本でも最近、それが顕著になってきた。

empty_bldg2015つまり、これから成長する日本企業を見つけるためには、まず人手不足という問題をクリアできているかどうかが重要なポイントとなる。ビジネスモデルや競争環境の分析はもちろん必要だが、従業員に対する会社の姿勢なども、念入りにチェックした方がよい。

この点、ブランド力のある大企業や、給与水準の高い会社には、一定の歩がある。これらの会社の離職率は低く、結果的に商品開発や営業の競争力が高まり、シェアが向上していく傾向がある。新卒の獲得競争においても、すでに大きな差がつき始めている。
[ 2015/10/02 18:00 ] 投資全般 | コメント(14)

このバブルを何と名付けよう

バブルというものはいつも、それが崩壊してから気が付く。そして、キッカケとなった象徴的な出来事によって諡(おくりな)される。リーマン・ショックの発生から7年経った今、これまでの期間がバブルであったかどうかは、やはり事後的にしかわかならい。

米国株や債券、不動産などは、ほぼ一直線に上昇を続けている。もちろん、そのことに違和感を感じる人は世界中にいる。しかし、崩壊しない限り発生しないバブルに対して、未然に予防策を施せる人はいない。ここにバブルという現象の本質がある。

kanaria2015専門家は「資源価格や新興国の通貨が先に暴落をしていた」とか「中国の実態経済の悪化が、中央政府の施策によって隠されていた」とか「米国の利上げが過剰流動性相場の終わりを示していた」などと述べるだろう。ただ、このような警笛も、事後的にしか出てこない。

経済は、伸縮を繰り返しながら前に進む性質がある。大切なのは、「100年に1度」の次のバブル崩壊が当たり前のように来ることを、心のどこかに置いておくことだ。もちろん、それがいつ来るのか、何をトリガーとするのかは、誰にもわからない。しかし、そのような客観性を持っているかどうかが試される日が、またやってくる。それだけは言える。

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[ 2015/08/02 18:00 ] 投資全般 | コメント(31)

日本のメカトロ技術と人型ロボット

日本が「ものづくり大国」であることは、今も変わらない。いわゆるアナログとか、職人技による「メカトロ系」の技術では、高い競争力を保ち続けている。

世界のトップを走り続けている自動車産業や機械産業がその好例である。一方で、半導体や液晶のように、製造工程と装置が標準化され、お金を出せば誰でもつくれるような製品では、衰退の一途を歩んでいる。

doraemon201590年代後半からは、インターネットの普及によって、米国系のデジタルや、ソフトウェア系の技術が脚光を浴びているが、長期的な時代の流れを読んでいくと、日本のこの「メカトロ」系の技術が再び世界を席巻する可能性は、十分にあると思う。

そのシナリオを具体化する上での最有力候補は「人型ロボット」だ。「鉄腕アトム」や「ドラえもん」、「ガンダム」のように、日本人が潜在的に夢見てきた近未来の世界は、いよいよ産業として本格的に立ち上がる準備が整ってきた。
[ 2015/07/14 18:00 ] 投資全般 | コメント(12)

原油価格の暴落と中東勢復権の可能性

原油価格の暴落は、ロシア経済に飛び火し「逆オイルショック」とも言うべき信用不安の連鎖を想起させたが、中銀の政策金利引き上げや、為替介入、FOMCにおけるハト派的な文言の継続などにより、一旦は落ち着きを取り戻した。今後の動きが気になるところだが、その行く末を考えるにあたっては、今回の騒動の要因を「金融」と「実需」という2つの側面から見る必要がある。

まずは金融だが、リーマンショック後の先進国の度重なる量的緩和により、行き場を失ったマネーの一部は、原油先物市場に流れていた。事実、NYMEXとICEの原油先物市場における買い建玉(期近物)は、リーマンショックの前の約10倍に当たる50万枚まで積み上がっており、FRBが量的緩和策の終了を模索し始める中で、同市場は破裂寸前の風船のような状態となっていたのである。

oil_strage201412次に実需だが、政情が落ち着いたイラクとリビアが原油の増産を開始してきたため、この一年だけで世界の原油の供給は2.7%も増加した(需要は0.8%の増加のみ)。両国とも採掘のキャッシュコストは$40と、競争力の高い油田を保有しており、増産をすればするほど儲かる状況にある。近年の米国のシェールオイルに加えて、中東勢が増産をしたことで、世界の原油は供給過多に陥ってしまったのである。

このように量的緩和の逆回転リスクと、需給バランスの崩れが決定的となったことで、投機家にとっての絶好の攻撃のチャンスが出現したことが、原油価格の暴落を招いた主要因である。メディアは、世界最強の油田を有するサウジアラビアが、敵国やシェールオイルを潰すために減産を拒否していることが要因であると報じているが、それは勝手な想像に過ぎず、真偽のほどは明らかでない。
[ 2014/12/21 18:00 ] 投資全般 | コメント(13)

スコットランドの猩々たちを訪ねて

多忙につき、今回は散文的な内容に留め、後は皆さんからの質問にお答えすることにしようと思います。このエントリーに限って、可能な範囲で返答をします。

私の最近の活動の中で、印象深かった出来事は、エディンバラの大手基金のトップたちとのミーティングでした。当初は、私から投資先企業の説明をする予定でしたが、彼らの時間軸と視点が、あまりにも大きな流れで物事を捉えていたため、次第にトピックが歴史や民族史、自然科学などへとシフトしていきました。

Edinburgh2014_09まるで、スコットランドの森の猩々(しょうじょう)たちに教えを請う若手といった構図でしたが、彼らの基金は次世代へ受け継がれることを前提に戦略を組んでいるため、今上の物事を俯瞰して見ています。深いディスカッションのお陰で、私も新たな気づきを得ることができたので、彼らから受託しているファンドの投資先を、一部変更することに決めました。

皆さんが気になる日本株では、コーポレートガバナンスの強化や、機関投資家の行動指針(スチュアードシップ・コード)策定など、資本市場の改革に取り込もうとする動きが出てきています。あまりにもレベルの低い東京市場のクオリティーが上がれば、回転率の高いヘッジファンド以外の投資家も、日本株へのアロケーションを増やしてくるかもしれません。

それでは、皆さんよい週末を。~ウィリアム・ウォレスに思いを馳せて~スコットランドの森深くより。

小松原 拝
[ 2014/09/12 18:00 ] 投資全般 | コメント(45)

ベネッセに学ぶ - ホールディングス体制の危うさ

『会社名に”ホールディングス”が付く会社は慎重に見た方がよい』と以前にコメントしたが、今回のベネッセ・ホールディングス(HD)による顧客データの流出騒動はこの法則にピタリと一致する事例と言えるだろう。

この話題はセンシティブな時期にあるので、すべてを語ることは控えたい。ただ、外部から企業を観察する一投資家としては、ノーサプライズというのが正直な感想である。そのくらい同社のガバナンスはザルであるという認識を持っていた。

benesse_promo_poster2014最初に違和感を覚えたのは今から3年ほど前であった。ベネッセの成長ドライバーであった中国の「こどもチャレンジ」(楽智小天地)の成長率が、僅かに期待を下回り始めていた。その後、私の情報網から同事業の現地での評判があまりよろしくないという報告も上がってきた。

私はこれらを受けて、ホールディングスの経営陣に会う度に中国事業の進め方や、責任者の仕事ぶり、現地の事業パートナー(福利会)との関係等について多くの質問を投げかけたが、毎度満足のいく回答は得られなかった。

[ 2014/07/18 18:00 ] 投資全般 | コメント(3)
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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