仙人の祈り

日本のメカトロ技術と人型ロボット

日本が「ものづくり大国」であることは、今も変わらない。いわゆるアナログとか、職人技による「メカトロ系」の技術では、高い競争力を保ち続けている。

世界のトップを走り続けている自動車産業や機械産業がその好例である。一方で、半導体や液晶のように、製造工程と装置が標準化され、お金を出せば誰でもつくれるような製品では、衰退の一途を歩んでいる。

doraemon201590年代後半からは、インターネットの普及によって、米国系のデジタルや、ソフトウェア系の技術が脚光を浴びているが、長期的な時代の流れを読んでいくと、日本のこの「メカトロ」系の技術が再び世界を席巻する可能性は、十分にあると思う。

そのシナリオを具体化する上での最有力候補は「人型ロボット」だ。「鉄腕アトム」や「ドラえもん」、「ガンダム」のように、日本人が潜在的に夢見てきた近未来の世界は、いよいよ産業として本格的に立ち上がる準備が整ってきた。
[ 2015/07/14 18:00 ] 投資全般 | コメント(8)

原油価格の暴落と中東勢復権の可能性

原油価格の暴落は、ロシア経済に飛び火し「逆オイルショック」とも言うべき信用不安の連鎖を想起させたが、中銀の政策金利引き上げや、為替介入、FOMCにおけるハト派的な文言の継続などにより、一旦は落ち着きを取り戻した。今後の動きが気になるところだが、その行く末を考えるにあたっては、今回の騒動の要因を「金融」と「実需」という2つの側面から見る必要がある。

まずは金融だが、リーマンショック後の先進国の度重なる量的緩和により、行き場を失ったマネーの一部は、原油先物市場に流れていた。事実、NYMEXとICEの原油先物市場における買い建玉(期近物)は、リーマンショックの前の約10倍に当たる50万枚まで積み上がっており、FRBが量的緩和策の終了を模索し始める中で、同市場は破裂寸前の風船のような状態となっていたのである。

oil_strage201412次に実需だが、政情が落ち着いたイラクとリビアが原油の増産を開始してきたため、この一年だけで世界の原油の供給は2.7%も増加した(需要は0.8%の増加のみ)。両国とも採掘のキャッシュコストは$40と、競争力の高い油田を保有しており、増産をすればするほど儲かる状況にある。近年の米国のシェールオイルに加えて、中東勢が増産をしたことで、世界の原油は供給過多に陥ってしまったのである。

このように量的緩和の逆回転リスクと、需給バランスの崩れが決定的となったことで、投機家にとっての絶好の攻撃のチャンスが出現したことが、原油価格の暴落を招いた主要因である。メディアは、世界最強の油田を有するサウジアラビアが、敵国やシェールオイルを潰すために減産を拒否していることが要因であると報じているが、それは勝手な想像に過ぎず、真偽のほどは明らかでない。
[ 2014/12/21 18:00 ] 投資全般 | コメント(13)

スコットランドの猩々たちを訪ねて

多忙につき、今回は散文的な内容に留め、後は皆さんからの質問にお答えすることにしようと思います。このエントリーに限って、可能な範囲で返答をします。

私の最近の活動の中で、印象深かった出来事は、エディンバラの大手基金のトップたちとのミーティングでした。当初は、私から投資先企業の説明をする予定でしたが、彼らの時間軸と視点が、あまりにも大きな流れで物事を捉えていたため、次第にトピックが歴史や民族史、自然科学などへとシフトしていきました。

Edinburgh2014_09まるで、スコットランドの森の猩々(しょうじょう)たちに教えを請う若手といった構図でしたが、彼らの基金は次世代へ受け継がれることを前提に戦略を組んでいるため、今上の物事を俯瞰して見ています。深いディスカッションのお陰で、私も新たな気づきを得ることができたので、彼らから受託しているファンドの投資先を、一部変更することに決めました。

皆さんが気になる日本株では、コーポレートガバナンスの強化や、機関投資家の行動指針(スチュアードシップ・コード)策定など、資本市場の改革に取り込もうとする動きが出てきています。あまりにもレベルの低い東京市場のクオリティーが上がれば、回転率の高いヘッジファンド以外の投資家も、日本株へのアロケーションを増やしてくるかもしれません。

それでは、皆さんよい週末を。~ウィリアム・ウォレスに思いを馳せて~スコットランドの森深くより。

小松原 拝
[ 2014/09/12 18:00 ] 投資全般 | コメント(45)

ベネッセに学ぶ - ホールディングス体制の危うさ

『会社名に”ホールディングス”が付く会社は慎重に見た方がよい』と以前にコメントしたが、今回のベネッセ・ホールディングス(HD)による顧客データの流出騒動はこの法則にピタリと一致する事例と言えるだろう。

この話題はセンシティブな時期にあるので、すべてを語ることは控えたい。ただ、外部から企業を観察する一投資家としては、ノーサプライズというのが正直な感想である。そのくらい同社のガバナンスはザルであるという認識を持っていた。

benesse_promo_poster2014最初に違和感を覚えたのは今から3年ほど前であった。ベネッセの成長ドライバーであった中国の「こどもチャレンジ」(楽智小天地)の成長率が、僅かに期待を下回り始めていた。その後、私の情報網から同事業の現地での評判があまりよろしくないという報告も上がってきた。

私はこれらを受けて、ホールディングスの経営陣に会う度に中国事業の進め方や、責任者の仕事ぶり、現地の事業パートナー(福利会)との関係等について多くの質問を投げかけたが、毎度満足のいく回答は得られなかった。

[ 2014/07/18 18:00 ] 投資全般 | コメント(3)

ネット革命の最先端 - 次世代インターフェイスの可能性

「ネットとリアルの融合」ということで「オーツーオー(Online to Offline)」という言葉を最近よく目にするが、インターネットはすでに私たちの実生活になくてはならないものとなっているため、「ネット」というものを敢えて一つのカテゴリーとして切り出してフォーカスすることは、それ自体が古臭い気がする。

後世の歴史の教科書から見れば、我々が目にしているものは17世紀の「産業革命」と並んで、21世紀に勃興した「インターネット革命」と呼ばれるようなものであり、2010年代はまだその途端にすぎない時代として語られることだろう。つまり、急速な生活環境の進化は、まだ始まったばかりにすぎない。

telepathy201407いろいろな会社を取材していて最近感じていることは、どうやら「インターネット革命」の現時点での最先端は「インターフェイス」にあるようだ。消費者がリアルの生活の中でインターネットを活用することは定着したが、現在はネット世界への「入口」を、いかに効率化することができるのかに注目が集まっている。

先日発表されたAmazonのオリジナルスマホの「Fire Phone」はその一例と言える。欲しい商品にスマホをかざすと、搭載されたカメラで映像や音声を認識し、その情報をAmazonデータベースと照合することができる。つまり消費者は、スマホに文字を打って検索するという手間を省き、リアルの生活から簡単にオンラインショッピングができるようになる。
[ 2014/07/04 18:00 ] 投資全般 | コメント(16)

お知らせ - 読者の皆様へ(part4)

いつも当ブログをご覧頂ましてありがとうございます。引き続き決算等のフォローアップに忙殺されており、更新ができません。

5月の日本市場は荒れましたが、米国市場は落ち着いた成長をエンジョイしており、対照的な状況となりました。心配している投資家も多いかもしれませんが、私が皆さんにお伝えできる範囲でのコメントは前回のエントリーに記載しましたので、追加的なものは特にありません。

cat's typing2014個人的には、日本の政府首脳はよく仕事をしていると思っています。安倍首相は非合理的・形式的なことを嫌う、経営者のような視点も併せ持った人物かと思います。トップの日々の言動からそれが閣僚や官僚にも伝わり、合理的で効率的な選択を善しとする空気が醸成されてきています。

後は、それが短期思考に陥らず、中長期的に日本経済が低迷から脱却できる道筋を示せるかどうかにかかっていると言えるでしょう。私であれば、足元の株価を上げるためだけの施策を見せられたら、かえって失望します。むしろ日本人の秘めたる力を信じた上で、結果的にそれが引き出されるような施策を見せてくれた方が信用できます。
[ 2014/06/02 18:00 ] 投資全般 | コメント(4)

お知らせ - 読者の皆様へ(part3)

当ブログをご愛読頂きありがとうございます。

昨年の今頃も書きましたが、この時期は決算が集中しており多忙を極めています。よって例年通り、更新はしばらくお休みし、ご質問があればそれに答えるというかたちの運営にしようと思います。

sleeping_w_PC2014日本経済に関心の高い読者が多いと思いますので、私の考えを少しシェアすると、ポイントはやはり第三の矢の内容になります。特に、法人税改革GPIF改革NISAの拡充労働人口の増大は大きなテーマとなり、早ければ6月にも新しい施策の概要が見えてくるでしょう。

海外投資家はアベノミクスによる施策の効果が予想よりも小さく、日本経済のダウントレンドに変化がないとの見方が大勢を占めています。しかしマクロデータを細かく見ていると、これまでになかったような大きな変化の片鱗が見られるようなものもあります。
[ 2014/05/04 18:00 ] 投資全般 | コメント(23)
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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