仙人の祈り

本年もよろしくお願いいたします

読者の皆さま、新年明けましておめでとうございます。本年も経済や社会に関して、私の考えていることを(公開可能な範囲で)シェアしていこうと思います。

資本市場の方は年明けから大きく動いており、心穏やかでない投資家も多いと思います。一方で、私個人としては、米国・欧州・中国・日本という主要国において、それぞれの置かれた状況や構造的な問題点がよりクリアになってきたため、確信度の高い投資アイディアを発見できる気がしています。

monkey2016昨年は上場企業における日本版コーポレート・ガバナンスコードの導入という明るいニュースがありましたが、それに対する各社のリアクションは後ろ向きなものばかりであり、かえって世界の投資家を失望させる内容となってしまいました。

日本における保守層の知力の弱さはすさまじく、また、本人たちがそのことに気づいていないことに危機感を覚えています。世界における次の10年のイノベーションの行方が見えてきた今、日本経済は、その波に乗れるかどうかの瀬戸際にいる状況と言えそうです。

難しい話をするつもりはありませんので、ブログらしく散文的な記事や、ゆるい記事も書いていこうと思います。本年もどうぞよろしくお願い致します。
[ 2016/01/14 18:00 ] 雑感 | コメント(32)

中国は「中進国の罠」から抜け出せるのか

来年の世界経済の動向を考える上で、注目するべきは、やはり中国であると考えている。近年の急成長は、ある意味で歴史の必然と言えるもので、十分な土地と、人口をもった中国に、世界の工場としての順番が回ってきたことが要因である。

しかし、広州・深センのような第二次産業の集積地帯における工員の給与は、すでに3,000元/月を越えるレベルにまで上昇しており、その役割は、東南アジア諸国へとバトンタッチする時がきている。

yellow_GUNDAM途上国から中進国になることは簡単なことだ。安価な労働力、それだけで達成できる。だが、中進国から先進国になることは非常に難しく、それを明確に実現した国は日本しかないと言われている。

中国の識者たちは、日本の高度成長期になぞらえて、「この現象は当時の日本のこれにあたる」とパターン認識をすることで、次に起こる現象を予想しようとしている。だが、これはまったく、的外れなアプローチである。
[ 2015/12/15 18:00 ] 経済社会 | コメント(45)

小売店の縮小にみる将来の人口減少

最近の日本の企業動向の中では「イトーヨーカドー」や「ヤマダ電機」のような業界トップ企業が、次々と大規模な店舗縮小を発表していることを興味深く見ている。

人口が減少する国で、店舗面積を縮小していかなければならないことは、当然のことのようではあるが、実際の店舗の整理縮小というのは、机上の計算ほど簡単にはいかない。

no_cloud2015余談だが、大型店を閉鎖する場合は、土地の貸借契約や、従業員の異動・解雇に加えて、空いた店舗のテナント探しなども行わなければならず、一筋縄ではいかない。閉鎖する店舗が比較的新しい場合には、店舗除却損などの特損も発生するため、決算にも影響が出る。

しかし、逆に言えば、経営者としてはそれを押し切ってでも、店舗の縮小をせざるを得ない状況に追い込まれていると言える。日本の小売店舗面積は、ついに昨年マイナス成長に転じた。もちろんこれは始まりにすぎない。
[ 2015/11/27 18:00 ] 経済社会 | コメント(26)

2015年10月の雑感

秋風の中に、冬の匂いがする今日この頃。特に記事にするべきネタもないので、ブログの更新が少なくなっていますが、あまり何も書かないと、読者の方にも申し訳ない気がしてくるので、散文的に最近思うことを、書いていこうと思います。

鯨が巨像を飲み込む

最近になってメディア業界、ビール業界、半導体製造装置業界、金融業界などで、大型の企業買収が増えてきています。まさに鯨が巨像を飲み込むような大企業同士の合併ですが、日本勢はいつものように蚊帳の外にいます。

autumn_5th_ave日本人は戦術レベルでの技巧を駆使するのが得意ですが、戦略レベルでの思考が弱い傾向があります。何故、世界的に圧倒的なシェアを持つ大手同士が合併を急ぐのか、もっと深く考えた方がよい気がします。戦略レベルでの負けは戦術レベルでは覆すことができないのですから。

MBO社長

最近、日本企業の中でもMBOをして復活してきた社長に勢いのある人が多い気がしてます。自分が経営権を握らなくてはならないという思いで、リスクを負ってMBOをするわけですから、当然と言えば当然ですが、やはりオーナーシップを持って事業に取り組む人々は、感性が研ぎ澄まされていると感じます。
[ 2015/10/25 18:00 ] 雑感 | コメント(13)

人手不足で変わる企業の競争環境

世界の人口は直近100年で3倍に増加したが、次の100年では更に倍になると言われている。ただし、これから人口が増加するのは途上国が中心であって、日本のように成熟した先進国では、逆に人口が減っていってしまう。

ここでも述べたように、経済学的には、人口の増減と経済の浮き沈みは、完全にリンクする。安い労働力を確保し、利益を捻出しようとする消耗型の企業は、人口が増加する国では通用するが、人口が減っていく国では機能しない。日本でも最近、それが顕著になってきた。

empty_bldg2015つまり、これから成長する日本企業を見つけるためには、まず人手不足という問題をクリアできているかどうかが重要なポイントとなる。ビジネスモデルや競争環境の分析はもちろん必要だが、従業員に対する会社の姿勢なども、念入りにチェックした方がよい。

この点、ブランド力のある大企業や、給与水準の高い会社には、一定の歩がある。これらの会社の離職率は低く、結果的に商品開発や営業の競争力が高まり、シェアが向上していく傾向がある。新卒の獲得競争においても、すでに大きな差がつき始めている。
[ 2015/10/02 18:00 ] 投資全般 | コメント(14)

集団が体制に依存するリスク

歴史的な観点から国の統治体制を見ると、長く続いた独裁者による専制政治は国民によって打倒され、民主主義へと変遷していった。それが膨大な犠牲の上に成立してきたという背景からか、現代における「民主主義」とは、絶対的な正義であり、史上最も進んだ統治形式であるという風潮がある。

もちろん、私も民主主義の方がよいと思う一人である。ただし、「よい」と言うのは、「好き」か「嫌い」か、で言うところの「好き」という意味であって、それが「優れている」か「優れていない」か、と聞かれたら、「専門家ではないのでよくわからない」と答える。

domino2015もしも私が公人であって、こんなことを発言したら大変なことになりそうだが、私が言いたいのは、どのような制度にも完璧なものなどなく、どのような崇高な理念や価値観にも、絶対的なものなどないということである。

同じようなことが、企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)にも当てはまる。会社の重要な意思決定は取締役会という、いかにも民主的な多数決の場で決定され、そこに社外取締役も入れることで、より広く公正な判断ができるようになるとされている。
[ 2015/09/18 18:00 ] 経済社会 | コメント(29)

B.B.Kingと青い夕陽

子供の頃は、周りの大人たちを見て「自分も早く大人になりたい」とよく思ったものだ。大人になれば、好きなものを好きなだけ食べられるし、好きなものを買ったり、好きなところへ行ったり、自分の願望の多くを叶えられるに違いないと、ワクワクしていた。

しかし、様々な経験を積みながら、実際に大人になってみると、大きな誤算があったことに気づく。あの頃の願望の多くは叶えることができるようになったものの、大人になった自分には、それが大して重要ではなくなってしまっているのだ。

moon_venus_mars2015ここで問題になるのは「大して重要ではない」ということで、子供の頃の願望を無視してしまってよいのかどうかということだ。ある意味で契約不履行のような状態と言える。「過去も、現在も、どちらも自分であるのだから別にいいではないか」と思うかもしれないが、それは違う。

何故なら、それを許容してしまうと、今度は「未来の自分が、現在の自分の願望を履行しなくてもよい」、ということになってしまうからだ。それは困る。だから過去の自分との契約を、しっかりと実行していく。例えそれが、現在においては「バカらしい」と思うことであっても。
[ 2015/08/29 18:00 ] 雑感 | コメント(34)

このバブルを何と名付けよう

バブルというものはいつも、それが崩壊してから気が付く。そして、キッカケとなった象徴的な出来事によって諡(おくりな)される。リーマン・ショックの発生から7年経った今、これまでの期間がバブルであったかどうかは、やはり事後的にしかわかならい。

米国株や債券、不動産などは、ほぼ一直線に上昇を続けている。もちろん、そのことに違和感を感じる人は世界中にいる。しかし、崩壊しない限り発生しないバブルに対して、未然に予防策を施せる人はいない。ここにバブルという現象の本質がある。

kanaria2015専門家は「資源価格や新興国の通貨が先に暴落をしていた」とか「中国の実態経済の悪化が、中央政府の施策によって隠されていた」とか「米国の利上げが過剰流動性相場の終わりを示していた」などと述べるだろう。ただ、このような警笛も、事後的にしか出てこない。

経済は、伸縮を繰り返しながら前に進む性質がある。大切なのは、「100年に1度」の次のバブル崩壊が当たり前のように来ることを、心のどこかに置いておくことだ。もちろん、それがいつ来るのか、何をトリガーとするのかは、誰にもわからない。しかし、そのような客観性を持っているかどうかが試される日が、またやってくる。それだけは言える。

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[ 2015/08/02 18:00 ] 投資全般 | コメント(31)
筆者紹介

check 小松原 周 (あまね);

ファンドマネージャー・アナリスト。日本株(東京)や米国株(ウォール街)の経験が長く、取材した会社は5,000社を超える。徹底したリサーチと業績予想に基づき投資判断を行うファンダメンタリスト。

*ブログ記事は、どのような場合であっても個別銘柄の投資判断に関して述べることはありません。

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