仙人の祈り

集団が体制に依存するリスク

歴史的な観点から国の統治体制を見ると、長く続いた独裁者による専制政治は国民によって打倒され、民主主義へと変遷していった。それが膨大な犠牲の上に成立してきたという背景からか、現代における「民主主義」とは、絶対的な正義であり、史上最も進んだ統治形式であるという風潮がある。

もちろん、私も民主主義の方がよいと思う一人である。ただし、「よい」と言うのは、「好き」か「嫌い」か、で言うところの「好き」という意味であって、それが「優れている」か「優れていない」か、と聞かれたら、「専門家ではないのでよくわからない」と答える。

domino2015もしも私が公人であって、こんなことを発言したら大変なことになりそうだが、私が言いたいのは、どのような制度にも完璧なものなどなく、どのような崇高な理念や価値観にも、絶対的なものなどないということである。

同じようなことが、企業のコーポレート・ガバナンス(企業統治)にも当てはまる。会社の重要な意思決定は取締役会という、いかにも民主的な多数決の場で決定され、そこに社外取締役も入れることで、より広く公正な判断ができるようになるとされている。
[ 2015/09/18 18:00 ] 経済社会 | コメント(28)

B.B.Kingと青い夕陽

子供の頃は、周りの大人たちを見て「自分も早く大人になりたい」とよく思ったものだ。大人になれば、好きなものを好きなだけ食べられるし、好きなものを買ったり、好きなところへ行ったり、自分の願望の多くを叶えられるに違いないと、ワクワクしていた。

しかし、様々な経験を積みながら、実際に大人になってみると、大きな誤算があったことに気づく。あの頃の願望の多くは叶えることができるようになったものの、大人になった自分には、それが大して重要ではなくなってしまっているのだ。

moon_venus_mars2015ここで問題になるのは「大して重要ではない」ということで、子供の頃の願望を無視してしまってよいのかどうかということだ。ある意味で契約不履行のような状態と言える。「過去も、現在も、どちらも自分であるのだから別にいいではないか」と思うかもしれないが、それは違う。

何故なら、それを許容してしまうと、今度は「未来の自分が、現在の自分の願望を履行しなくてもよい」、ということになってしまうからだ。それは困る。だから過去の自分との契約を、しっかりと実行していく。例えそれが、現在においては「バカらしい」と思うことであっても。
[ 2015/08/29 18:00 ] 雑感 | コメント(32)

このバブルを何と名付けよう

バブルというものはいつも、それが崩壊してから気が付く。そして、キッカケとなった象徴的な出来事によって諡(おくりな)される。リーマン・ショックの発生から7年経った今、これまでの期間がバブルであったかどうかは、やはり事後的にしかわかならい。

米国株や債券、不動産などは、ほぼ一直線に上昇を続けている。もちろん、そのことに違和感を感じる人は世界中にいる。しかし、崩壊しない限り発生しないバブルに対して、未然に予防策を施せる人はいない。ここにバブルという現象の本質がある。

kanaria2015専門家は「資源価格や新興国の通貨が先に暴落をしていた」とか「中国の実態経済の悪化が、中央政府の施策によって隠されていた」とか「米国の利上げが過剰流動性相場の終わりを示していた」などと述べるだろう。ただ、このような警笛も、事後的にしか出てこない。

経済は、伸縮を繰り返しながら前に進む性質がある。大切なのは、「100年に1度」の次のバブル崩壊が当たり前のように来ることを、心のどこかに置いておくことだ。もちろん、それがいつ来るのか、何をトリガーとするのかは、誰にもわからない。しかし、そのような客観性を持っているかどうかが試される日が、またやってくる。それだけは言える。

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[ 2015/08/02 18:00 ] 投資全般 | コメント(29)

日本のメカトロ技術と人型ロボット

日本が「ものづくり大国」であることは、今も変わらない。いわゆるアナログとか、職人技による「メカトロ系」の技術では、高い競争力を保ち続けている。

世界のトップを走り続けている自動車産業や機械産業がその好例である。一方で、半導体や液晶のように、製造工程と装置が標準化され、お金を出せば誰でもつくれるような製品では、衰退の一途を歩んでいる。

doraemon201590年代後半からは、インターネットの普及によって、米国系のデジタルや、ソフトウェア系の技術が脚光を浴びているが、長期的な時代の流れを読んでいくと、日本のこの「メカトロ」系の技術が再び世界を席巻する可能性は、十分にあると思う。

そのシナリオを具体化する上での最有力候補は「人型ロボット」だ。「鉄腕アトム」や「ドラえもん」、「ガンダム」のように、日本人が潜在的に夢見てきた近未来の世界は、いよいよ産業として本格的に立ち上がる準備が整ってきた。
[ 2015/07/14 18:00 ] 投資全般 | コメント(8)

ギリシャの「Xデー」とその後のシナリオ

ギリシャの救済プログラム(ELA)の期限切れが迫るなか、依然としてギリシャ政府とユーロ圏の債権団との議論は終着点が見えておらず、予断を許さない状況が続いている。ここで今後のギリシャ問題を、重要な日程とともに、あらためて整理してみたい。

【6/30】この日は、上記の救済プログラムが終了し、かつIMFへの€1.5bnの償還期限を迎える。一般的にはこの日がXデーのように報じられているが、実はそうではない。何故ならIMFのような公的機関の債務不履行は、格付け機関の評価として「デフォルト」とは見なされないため、イベントのトリガーは発生しないからだ。

greece2015【7/17】この日は、ギリシャ国債の利払い€0.07bnが発生する。この支払いができない場合は、民間の債権者への支払い不能と見なされるため、間違いなく「デフォルト」となる。しかし、金額が小さいことと、30日間の支払猶予が設定されているため、現状の混沌とした状態の中では、それほど大きな問題とはならないだろう。

【7/20】この日は、ECB(欧州中央銀行)が保有するギリシャ国債€3.5bnの償還日であり、大きな山場を迎える。6/30に終了する救済プログラムが延長されていない限り、返済は不可能であり、ギリシャ政府は、この数日前から国内銀行への資本規制を導入し、預金の移動が禁止されることとなるだろう。
[ 2015/06/22 18:00 ] 経済社会 | コメント(17)

ネットとリアルの境界線

この度の著書における一部のネット界隈での盛り上がりは(ex. 痛いニュース)、曖昧となったままで浮遊する「ネットとリアルの境界線」に関して、興味深い問題提起となっているように思える。

言うまでもないことだが、私は五月さんのアクションを全面的に支持している。五月さんからは、自身のブログで述べていることと同じ要旨で、事前に相談頂いており、私も情報開示請求を行うことに賛同している。

Amazon-review2015ネット上では、Amazonのレビューで☆を低くつけた人に対して、情報開示請求を行っているかのような引用をされているが、これは事実ではない。本当の目的は、創作話で人を貶めるようなアンフェアな行為に対して、異議を唱えることにある。

ネットの匿名性は、人の内面にあるマイナスな感情を、増幅して引き出してしまう。リアルであれば「社会性」という名のストッパーがかかるが、ネットの場合は、まるで自分だけが透明な存在であるような錯覚に陥り、巧みな嫌がらせができてしまう。
[ 2015/06/17 18:00 ] 経済社会 | コメント(32)

社長が8割

「会社を見る上で最も大切なことは何かと問われれば、間違いなく「社長の質」と答えます。会社の業績が伸びるか伸びないかを決める要素の8割以上は、社長しだいといっても過言ではありません。」

著書の中で述べたこの一節について、多くの読者から反響の声を頂いているが、この「社長が8割」説は、私が機関投資家として数多くの失敗を繰り返しながら発見した、効率のよいリサーチ手法の一つであると思っている。

80%2015ビジネスモデルや競争力の分析というのは、経験を積んだ人ならば、ほとんどが同じ結論に達する。皆が同じ結論に達するということは、ギャップがないことを意味しており、株で利益を得ることはできない状態と言える。

だが、皮肉なことに、現実にはまずそのようなことにはならない。会社と言うのは良い意味でも悪い意味でも、市場参加者の予想を大きく裏切り、まさかの展開を見せるのが世の常だ。まさかの大ヒット、まさかのシェアアップ、まさかの粉飾決算,,,etc。
[ 2015/06/03 18:00 ] 仙人 | コメント(11)

【告知】「勝つ投資 負けない投資」

表題にありますように、著名投資家の五月さん(片山さん)と共著で、本を執筆しましたので、告知させて頂きます。

勝つ投資 負けない投資
究極の個人投資家である五月さんと、不敗の機関投資家である小松原、それぞれの立場のトッププレーヤーがタッグを組むという、ある意味で史上初の投資本となっています。

本書を執筆するにあたって五月さんと何度も打ち合わせをさせて頂きましたが、二人の間で共通の思いとして『これまでにない、誠実な本にしたい』というものがありました。ですので、もしかしたら読者の中には、もっと具体的な手法などが公開されているものと期待して購入される方もいるかもしれませんが、私たちはそれよりも大切な根っこの部分に、あえて絞って執筆しているということをお含みおき下さい。

私自身も、五月さんという有能な投資家のたどり着いた境地に直接的に触れることができて、本当に多くの示唆を得ることができました。読者の皆様にも、それを共有して頂きたいと思っています。これから投資を始めたいという方から、今よりもスキルアップしたいという方まで、すべての投資家にとって新たな発見があることと思いますので、ぜひお近くの書店やオンラインでお求め下さい。

東証Project(五月さんのブログ)
Flier
四季報オンライン

*Kindle版はこちら
*【FC2】本のプレゼントキャンペーン実施中‼︎(←たくさんのご応募ありがとうございました)
*【御礼】6/10 第4刷が決定しました。
[ 2015/05/01 18:00 ] 仙人 | コメント(37)
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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