仙人の祈り

日本人は「真面目?」それとも「クソ真面目?」

世界の人々に「日本人の性格を一言で表現するなら何ですか?」と聞けば、十中八九「真面目」と答えるだろう。

それはイタリア人が「女好き」で、インド人が「時間にルーズ」で、ブラジル人が「陽気」というレベルのステレオタイプに過ぎないものだが、「真面目」という言葉は少なくとも良い意味で使用される形容詞であるので、我々は先人たちに感謝した方がいいかもしれない。

umbrella_shibuya201406実際には、私の周りには異性と話すのが苦手なイタリア人の友人がいるし(ちなみにサッカーも下手)、いつも定時よりも早めに来るインド人の同僚もいる。根暗なブラジル人や、正直者の中国人、貯金好きのギリシア人なども、探せばたくさんいるだろう。

こうした中、不思議なことにアメリカ人だけはステレオタイプを体現したような、ジョークが好きで、楽しみ上手で、大雑把な人たちが多い。移民だらけのアメリカ人が「アメリカ人的」に変化するメカニズムは解明されていないが、もしかしたらそれは様々な呪縛から解放された、本来の人間らしい姿に一番近いと言えるのかもしれない。
[ 2014/06/27 18:00 ] 経済社会 | コメント(6)

自分の夢に生きるということ

創業社長とミーティングをする時に、私が相手に必ず聞くことがある。それは「貴方の夢は何ですか?」ということだ。機関投資家からそのような抽象的な問を投げかけられたことに対して不意をつかれたようなリアクションを見せる人もいるが、大概の社長がとても嬉しそうに、そして少しあらたまって話しを始める。

「戯言だと思って聞いて下さい」と言いながらも、力のある人物ほどにその眼差しは強く、イキイキと話をする。「時価総額1兆円の会社になりたい」とか「世界中の人々に自分たちのサービスを届けたい」とか「圧倒的なパイオニアである競合他社をいつの日か抜き去りたい」というようなことを語る社長が多い。

NYC201406大風呂敷を広げているなどとは誰も思うまい。彼らはある程度の成功を収めて上場企業にまでなったわけだし、今も無我夢中(我なし夢の中)で夢の軌跡を歩んでいる最中である。逆に、今の延長線上にあるようなものを夢として語るようでは、この先の成功は期待できないだろう。

こうした中で、特に印象に残っている人物がいた。私がいつものように夢を聞くと、彼は「自分で描いた夢」を生きることが如何に大切なことかを切々と語り始めた。学生時代から他の誰にもできない新しい価値を創造したいと思っていたため、卒業後もどこにも就職せずに自宅で新サービスの構築を黙々と準備していた。
[ 2014/06/19 18:00 ] 雑感 | コメント(10)

気圧の変化と気持ちの変化 - 謎の飛行機頭痛とともに

飛行機での移動は何度繰り返しても好きになれない。上空にいる時は機内の気圧が低いためか、血の巡りが悪くなり、気分が陰鬱になってくる。

もっと酷いのは着陸に向けて飛行機が降下し始める時で、地上が近づくにつれて機内の気圧が上がり、眉間の奥の副鼻腔のあたりがその変化に対応できずに激痛を返してくる。経験上、行き先が海沿いの空港であるほどにその痛みが大きくなることがわかっているのだが、それが何故なのかは現代の科学では未だ解明されていない(多分)。

移動中このことは私の周囲の人間にいつも訴えているのだが、理解してくれる人は誰もいない。「耳栓をすれば?」とか「寝てればいいんだよ」という返事はまったく頂けない。それで万事解決するくらいなら誰も苦労はしない。今のところ考え得る策としては、与圧ができるヘルメットを開発し、移動中ずっと装着するというものであるが、そのようなことはまず航空法が許してくれまい。

これまでに、唯一この悩みを共有できたのは、カナダのオタワ空港の待合室で出会った初老の紳士だけであった。私が雑誌を捨てる前に、折り目を付けて記事を切り取っていると、近くにいた彼が話し掛けてきた。元大手エナジーで掘削機の開発をやっていたらしく、私がそれっぽい記事を読んでいたことと、雪でフライトが遅れており暇だったことが重なり、たわいもない会話のパス回しをしていた。
[ 2014/06/11 18:00 ] 雑感 | コメント(9)

お知らせ - 読者の皆様へ(part4)

いつも当ブログをご覧頂ましてありがとうございます。引き続き決算等のフォローアップに忙殺されており、更新ができません。

5月の日本市場は荒れましたが、米国市場は落ち着いた成長をエンジョイしており、対照的な状況となりました。心配している投資家も多いかもしれませんが、私が皆さんにお伝えできる範囲でのコメントは前回のエントリーに記載しましたので、追加的なものは特にありません。

cat's typing2014個人的には、日本の政府首脳はよく仕事をしていると思っています。安倍首相は非合理的・形式的なことを嫌う、経営者のような視点も併せ持った人物かと思います。トップの日々の言動からそれが閣僚や官僚にも伝わり、合理的で効率的な選択を善しとする空気が醸成されてきています。

後は、それが短期思考に陥らず、中長期的に日本経済が低迷から脱却できる道筋を示せるかどうかにかかっていると言えるでしょう。私であれば、足元の株価を上げるためだけの施策を見せられたら、かえって失望します。むしろ日本人の秘めたる力を信じた上で、結果的にそれが引き出されるような施策を見せてくれた方が信用できます。
[ 2014/06/02 18:00 ] 投資全般 | コメント(4)

お知らせ - 読者の皆様へ(part3)

当ブログをご愛読頂きありがとうございます。

昨年の今頃も書きましたが、この時期は決算が集中しており多忙を極めています。よって例年通り、更新はしばらくお休みし、ご質問があればそれに答えるというかたちの運営にしようと思います。

sleeping_w_PC2014日本経済に関心の高い読者が多いと思いますので、私の考えを少しシェアすると、ポイントはやはり第三の矢の内容になります。特に、法人税改革GPIF改革NISAの拡充労働人口の増大は大きなテーマとなり、早ければ6月にも新しい施策の概要が見えてくるでしょう。

海外投資家はアベノミクスによる施策の効果が予想よりも小さく、日本経済のダウントレンドに変化がないとの見方が大勢を占めています。しかしマクロデータを細かく見ていると、これまでになかったような大きな変化の片鱗が見られるようなものもあります。
[ 2014/05/04 18:00 ] 投資全般 | コメント(23)

「さとり世代」の攻略に悩む消費系企業

「近頃の若者は」という論調は、いつの時代も大人による無用の介入であることが多いが、IT革命と景気の長期低迷という大きな時代の変遷を経た現代の若者においては「さすがに従来のパターンでは補足できない世代となっている」という声が多い。

博報堂のブランドデザイン若者生活研究所の原田氏は、現代の20代のことを「さとり世代」と呼ぶ。日本経済が下降する局面しか知らないため、現実を悟っており、超安定志向であることを形容したものである。また中学時代からケータイを持ち、SNSにドップリと浸かっていることから「監視社会」「過剰な気遣い」「既視感」という、特殊な社会性を持っていることも特徴だ。

LINE疲れ201404石井聖也(26歳♂、仮名)は、この世代のごく平均的な男性である。千葉県の某市で生まれ育ち、取り敢えず都内の3流大へ進学したものの、大学生活に馴染むことができず、もっぱら中学時代から仲の良い「いつメン」とばかり付き合い、卒業後は地元でエリア限定社員として働いている。

年収は270万円だが、実家であるため愛車の「ムーヴカスタム」のローン支払い後でも、遊びに使うお金は十分にある。休日は家にいる場合はマンガを読んで過ごすのが好きだが、「セレナ」を持っている「いつメン」とパチンコへ行ったり、イオンモールやドンキを徘徊したり、ラウンドワンでゲームをしたりもする。半径5kmより外に出ることは滅多にない。
[ 2014/04/24 18:00 ] 経済社会 | コメント(6)

ダメなアナリストを見分けるための5つの言葉

証券会社のアナリストの推奨ほど当たらないものはない。それは彼らがリサーチャーとしてもインベスターとしても未熟である故である。「新聞記者よりは幾らかまし」と言う意見もあるが、それは事実のみを書いてくれる新聞記者に対して失礼というものである。

一部には優秀なアナリストもいるため、全てを否定するわけではない。しかし大部分は、ヤフーファイナンスの予想屋や、株式新聞、タブロイド誌の記者と同じようなレベルにあるため、個人投資家は注意が必要である。以下のような文言をレポートで述べるアナリストがいれば三流である可能性が高いので、そのようなレポートはスルーするに限る。

「押し目買いの好機」

gesturesfortrader2014買い推奨していた銘柄が暴落してしまった時に使うのが「押し目買いの好機」という言葉である。企業業績の悪化や株価の下落を予想できなかったことを見事に棚に上げ、平然と今が好機であると推奨をする。他人のお金でなければ決してできない芸当である。

「悪材料出尽くし」

なぜ悪材料が出てしまったのかという根本的な問題を無視し、今回ほど悪いことはもうないので「来期は増益→買い」という推奨をする。出尽くしどころか更に業績が悪化したとしても彼らには関係ない。その頃には別の銘柄で同じようなことを言えばよいだけである。反省などしていたら彼らの商売はそもそも成立しない。
[ 2014/04/16 18:00 ] 投資全般 | コメント(8)

消費税の不都合な真実 – 中小企業の叫びを聴け

日本の消費税が4月より8%へ引き上げられた。消費税は消費者にとってはある意味で平等な税だが、これを製造業のバリューチェーンの中で見ていくと、実に不平等な税法となっていることはあまり知られていない。

消費税は最終製品・サービスの売上に対して8%を消費者から徴収する。税込108円の製品を売れば8円分の消費税は、それを生産した企業全体で負担することとなる。これが何を意味するか。すなわち、交渉力の強い大手企業や、ピラミッド構造の頂点にいる企業が当然有利となるということだ。

ヒエラルキー201404例えば、トヨタのためにネジを納入している足立区の会社があるとしよう。この会社が「消費税が上がったので、4月から値上げをします」とトヨタに言えるだろうか?そんなことを言ったら「墨田区の会社は気合の据え置きで頑張ると言ってますよ」と言ってくるに決まっているのだ。

トヨタは、下請けにとってはまさに鬼のような存在である。某部品メーカー大手に対して09年に部品の納入価格を3割引き下げるよう要請し、11年には更に仕入れ値の半減を提示してくるような会社である。このような会社が「消費税上がったから仕方ないよね」と言う訳がない。
[ 2014/04/03 18:00 ] 経済社会 | コメント(15)
筆者紹介

check 小松原 周 (あまね);

ファンドマネージャー・アナリスト。日本株(東京)や米国株(ウォール街)の経験が長く、取材した会社は5,000社を超える。徹底したリサーチと業績予想に基づき投資判断を行うファンダメンタリスト。

*ブログ記事は、どのような場合であっても個別銘柄の投資判断に関して述べることはありません。

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