仙人の祈り

Googleに見るIT革命の行方

少し前まで「テクノロジーの進化」と言えば、半導体の微細化や液晶の薄型化、省電力化に象徴されるようなハードの進化を指すことがほとんどであった。株式市場でも、半導体大手の月次や、装置メーカー、化学メーカーの最新動向などに一喜一憂していたものだが、今ではあの手の山師たちは何処へ行ってしまったのか、正直言ってよくわからない。

それに変わって近年では「テクノロジーの進化」と言えば、ITサービス系のソフトの進化を指すことが当たり前になってきた。中でも、トップランナーというか、すでにルールメーカーの地位を確立しつつあるのがGoogleである。検索エンジンとして世界制覇を完了したのは周知の事実であるが、彼らは今、ITの力で世界を変えるような壮大なビジョンを有している。

ITrevolution_by_google2014その前段階として、近い将来に制覇を狙っている分野に関しては、すでに私たちにも見えるかたちで動きを示している。それを簡単にテーマごとにまとめると、「プラットフォーム・OSを制する」「インターフェイスを制する」「クラウドを制する」「通信インフラを制する」「エネルギーを制する」「デバイスを制する」と大別できる。

例えば、Androidを搭載したGoogle Glassで見たものにウインクをすると、その商品をGoogleで検索でき、内容を見て欲しいと思ったら「買い」と声を出せば、その場で購入できる。Googleは自社のプラットフォームからECサイトへ送客をし、成果報酬を徴収する。これらのデータ通信そのものは、すべてがGoogleの仮想通信ネットワークインフラによって成されており、Ciscoのルーターなどをまったく経由していない。
[ 2014/07/10 18:00 ] 経済社会 | コメント(3)

ネット革命の最先端 - 次世代インターフェイスの可能性

「ネットとリアルの融合」ということで「オーツーオー(Online to Offline)」という言葉を最近よく目にするが、インターネットはすでに私たちの実生活になくてはならないものとなっているため、「ネット」というものを敢えて一つのカテゴリーとして切り出してフォーカスすることは、それ自体が古臭い気がする。

後世の歴史の教科書から見れば、我々が目にしているものは17世紀の「産業革命」と並んで、21世紀に勃興した「インターネット革命」と呼ばれるようなものであり、2010年代はまだその途端にすぎない時代として語られることだろう。つまり、急速な生活環境の進化は、まだ始まったばかりにすぎない。

telepathy201407いろいろな会社を取材していて最近感じていることは、どうやら「インターネット革命」の現時点での最先端は「インターフェイス」にあるようだ。消費者がリアルの生活の中でインターネットを活用することは定着したが、現在はネット世界への「入口」を、いかに効率化することができるのかに注目が集まっている。

先日発表されたAmazonのオリジナルスマホの「Fire Phone」はその一例と言える。欲しい商品にスマホをかざすと、搭載されたカメラで映像や音声を認識し、その情報をAmazonデータベースと照合することができる。つまり消費者は、スマホに文字を打って検索するという手間を省き、リアルの生活から簡単にオンラインショッピングができるようになる。
[ 2014/07/04 18:00 ] 投資全般 | コメント(16)

日本人は「真面目?」それとも「クソ真面目?」

世界の人々に「日本人の性格を一言で表現するなら何ですか?」と聞けば、十中八九「真面目」と答えるだろう。

それはイタリア人が「女好き」で、インド人が「時間にルーズ」で、ブラジル人が「陽気」というレベルのステレオタイプに過ぎないものだが、「真面目」という言葉は少なくとも良い意味で使用される形容詞であるので、我々は先人たちに感謝した方がいいかもしれない。

umbrella_shibuya201406実際には、私の周りには異性と話すのが苦手なイタリア人の友人がいるし(ちなみにサッカーも下手)、いつも定時よりも早めに来るインド人の同僚もいる。根暗なブラジル人や、正直者の中国人、貯金好きのギリシア人なども、探せばたくさんいるだろう。

こうした中、不思議なことにアメリカ人だけはステレオタイプを体現したような、ジョークが好きで、楽しみ上手で、大雑把な人たちが多い。移民だらけのアメリカ人が「アメリカ人的」に変化するメカニズムは解明されていないが、もしかしたらそれは様々な呪縛から解放された、本来の人間らしい姿に一番近いと言えるのかもしれない。
[ 2014/06/27 18:00 ] 経済社会 | コメント(6)

自分の夢に生きるということ

創業社長とミーティングをする時に、私が相手に必ず聞くことがある。それは「貴方の夢は何ですか?」ということだ。機関投資家からそのような抽象的な問を投げかけられたことに対して不意をつかれたようなリアクションを見せる人もいるが、大概の社長がとても嬉しそうに、そして少しあらたまって話しを始める。

「戯言だと思って聞いて下さい」と言いながらも、力のある人物ほどにその眼差しは強く、イキイキと話をする。「時価総額1兆円の会社になりたい」とか「世界中の人々に自分たちのサービスを届けたい」とか「圧倒的なパイオニアである競合他社をいつの日か抜き去りたい」というようなことを語る社長が多い。

NYC201406大風呂敷を広げているなどとは誰も思うまい。彼らはある程度の成功を収めて上場企業にまでなったわけだし、今も無我夢中(我なし夢の中)で夢の軌跡を歩んでいる最中である。逆に、今の延長線上にあるようなものを夢として語るようでは、この先の成功は期待できないだろう。

こうした中で、特に印象に残っている人物がいた。私がいつものように夢を聞くと、彼は「自分で描いた夢」を生きることが如何に大切なことかを切々と語り始めた。学生時代から他の誰にもできない新しい価値を創造したいと思っていたため、卒業後もどこにも就職せずに自宅で新サービスの構築を黙々と準備していた。
[ 2014/06/19 18:00 ] 雑感 | コメント(10)

気圧の変化と気持ちの変化 - 謎の飛行機頭痛とともに

飛行機での移動は何度繰り返しても好きになれない。上空にいる時は機内の気圧が低いためか、血の巡りが悪くなり、気分が陰鬱になってくる。

もっと酷いのは着陸に向けて飛行機が降下し始める時で、地上が近づくにつれて機内の気圧が上がり、眉間の奥の副鼻腔のあたりがその変化に対応できずに激痛を返してくる。経験上、行き先が海沿いの空港であるほどにその痛みが大きくなることがわかっているのだが、それが何故なのかは現代の科学では未だ解明されていない(多分)。

移動中このことは私の周囲の人間にいつも訴えているのだが、理解してくれる人は誰もいない。「耳栓をすれば?」とか「寝てればいいんだよ」という返事はまったく頂けない。それで万事解決するくらいなら誰も苦労はしない。今のところ考え得る策としては、与圧ができるヘルメットを開発し、移動中ずっと装着するというものであるが、そのようなことはまず航空法が許してくれまい。

これまでに、唯一この悩みを共有できたのは、カナダのオタワ空港の待合室で出会った初老の紳士だけであった。私が雑誌を捨てる前に、折り目を付けて記事を切り取っていると、近くにいた彼が話し掛けてきた。元大手エナジーで掘削機の開発をやっていたらしく、私がそれっぽい記事を読んでいたことと、雪でフライトが遅れており暇だったことが重なり、たわいもない会話のパス回しをしていた。
[ 2014/06/11 18:00 ] 雑感 | コメント(9)

お知らせ - 読者の皆様へ(part4)

いつも当ブログをご覧頂ましてありがとうございます。引き続き決算等のフォローアップに忙殺されており、更新ができません。

5月の日本市場は荒れましたが、米国市場は落ち着いた成長をエンジョイしており、対照的な状況となりました。心配している投資家も多いかもしれませんが、私が皆さんにお伝えできる範囲でのコメントは前回のエントリーに記載しましたので、追加的なものは特にありません。

cat's typing2014個人的には、日本の政府首脳はよく仕事をしていると思っています。安倍首相は非合理的・形式的なことを嫌う、経営者のような視点も併せ持った人物かと思います。トップの日々の言動からそれが閣僚や官僚にも伝わり、合理的で効率的な選択を善しとする空気が醸成されてきています。

後は、それが短期思考に陥らず、中長期的に日本経済が低迷から脱却できる道筋を示せるかどうかにかかっていると言えるでしょう。私であれば、足元の株価を上げるためだけの施策を見せられたら、かえって失望します。むしろ日本人の秘めたる力を信じた上で、結果的にそれが引き出されるような施策を見せてくれた方が信用できます。
[ 2014/06/02 18:00 ] 投資全般 | コメント(4)

お知らせ - 読者の皆様へ(part3)

当ブログをご愛読頂きありがとうございます。

昨年の今頃も書きましたが、この時期は決算が集中しており多忙を極めています。よって例年通り、更新はしばらくお休みし、ご質問があればそれに答えるというかたちの運営にしようと思います。

sleeping_w_PC2014日本経済に関心の高い読者が多いと思いますので、私の考えを少しシェアすると、ポイントはやはり第三の矢の内容になります。特に、法人税改革GPIF改革NISAの拡充労働人口の増大は大きなテーマとなり、早ければ6月にも新しい施策の概要が見えてくるでしょう。

海外投資家はアベノミクスによる施策の効果が予想よりも小さく、日本経済のダウントレンドに変化がないとの見方が大勢を占めています。しかしマクロデータを細かく見ていると、これまでになかったような大きな変化の片鱗が見られるようなものもあります。
[ 2014/05/04 18:00 ] 投資全般 | コメント(23)

「さとり世代」の攻略に悩む消費系企業

「近頃の若者は」という論調は、いつの時代も大人による無用の介入であることが多いが、IT革命と景気の長期低迷という大きな時代の変遷を経た現代の若者においては「さすがに従来のパターンでは補足できない世代となっている」という声が多い。

博報堂のブランドデザイン若者生活研究所の原田氏は、現代の20代のことを「さとり世代」と呼ぶ。日本経済が下降する局面しか知らないため、現実を悟っており、超安定志向であることを形容したものである。また中学時代からケータイを持ち、SNSにドップリと浸かっていることから「監視社会」「過剰な気遣い」「既視感」という、特殊な社会性を持っていることも特徴だ。

LINE疲れ201404石井聖也(26歳♂、仮名)は、この世代のごく平均的な男性である。千葉県の某市で生まれ育ち、取り敢えず都内の3流大へ進学したものの、大学生活に馴染むことができず、もっぱら中学時代から仲の良い「いつメン」とばかり付き合い、卒業後は地元でエリア限定社員として働いている。

年収は270万円だが、実家であるため愛車の「ムーヴカスタム」のローン支払い後でも、遊びに使うお金は十分にある。休日は家にいる場合はマンガを読んで過ごすのが好きだが、「セレナ」を持っている「いつメン」とパチンコへ行ったり、イオンモールやドンキを徘徊したり、ラウンドワンでゲームをしたりもする。半径5kmより外に出ることは滅多にない。
[ 2014/04/24 18:00 ] 経済社会 | コメント(6)
筆者紹介

check 小松原 周

こまつばら・あまね/ファンドマネジャー・アナリスト
徹底した企業リサーチと業績予想をもとに投資を行う。現役のファンドマネジャーであるため、外部への情報発信において、個別銘柄の投資推奨などは行っておらず、報酬も得ていない。

(会社四季報より引用)

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